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クラブ経営について53

2013-08-04 00:43:09 | サッカー(Jリーグ(J1・J2)・国内)

 事例紹介コラムです。話題的に少し遅れました。
 J1・J2全40クラブの2012年シーズン決算が先日発表されました。単年度赤字のクラブは、2011年度の18から12に、債務超過のクラブも11から9に減少。単年度赤字のクラブはJ1で札幌、鹿島、横浜FM、名古屋、神戸の5つ。J2では栃木、群馬、富山、岐阜、鳥取、福岡、熊本の7つ。債務超過のクラブはJ1で札幌、横浜FM、神戸の3つ。J2では栃木、群馬、岐阜、北九州、大分、熊本の6つとなっています。
 赤字及び債務超過のクラブが減少した点について、クラブライセンス制度適用1年目の緊張感が多少あったのではないかと言われています。リーグ戦の総入場者数が3年ぶりに800万人を超え、Jクラブの営業収入合計が過去最高の約773億円に達したそうです。

 J2の2012年度個別情報開示資料を観てみました。個人的に目を留めたのが松本と徳島。甲府も気になりましたが、J1とJ2の年があるのでよくわからない。数字はしっかりしていますが。岡山の数字は、4月の記事で既に知っておりましたが、改めてよそのクラブと比べる事ができました。以下、その3クラブで並べて比較してみましょう。
【3クラブ比較: 損益&貸借】 収入/費用/当期純利益    資産/負債/資本 (単位:百万円)
                           徳島: 1,060/976/52          648/140/508
                           松本:    893/827/39          221/  56/165 
                           岡山:    878/848/26          351/259/  92
【3クラブ比較: 3年間推移】 2010/2011/2012(収入・当期純利益) (単位:百万円)
                           徳島:  854・23   / 967・22   / 1,060・52
                           岡山: 695・▲36 / 797・▲16 /    878・26
                           松本: なし     / なし     /    893・39
 
 改めて、J1年目の松本さんのスゴさがわかりますね。4年目の岡山をすでに1年目でほとんどの項目で上回っています。徳島さんは経営的に安定した数字で、地域・社会貢献活動にも熱心であり、J2の中でJ1に昇格してもいいクラブの仲間入りをしたのかもしれませんね。数字だけ良ければいいというものでもありませんので。公共財という意味では松本さんもJ1昇格が近いかも。
 あと、損益計算書に、2011年から「アカデミー関連収入」「アカデミー運営経費」「女子チーム運営経費」が分けて計上されるようになりました。アカデミー事業をしっかりしなさいと、将来的にはレディースチームを持ちなさいという、Jリーグのメッセージを個人的に感じました。レディース事業費を計上しているのは、J1で3クラブ(仙台・浦和・新潟)、J2で4クラブ(千葉・東京V・愛媛・大分)でした。
12年度Jクラブ情報開示資料HP:http://www.j-league.or.jp/aboutj/document/pdf/club-h24kaiji.pdf
   
 「マリノスがJリーグから消える? もっとも成功を収めているのは甲府」というタイトルがあった気になるコラムがあり、読んでみました。マリノスについては、しっかりしたスポンサーが付いているし、フリューゲルスの過去の苦い記憶があるので、消えるという事はないと思いますが、読み応えのある記事でした。以下、抜粋して紹介。 

 単年度赤字の12チームの中で、横浜FMの6億2,900万円が突出。3期連続の赤字で、赤字額も年々増加。債務超過も16億7,700万円を突破。この状態が2014年度末までに解消されないと、クラブライセンスを剥奪され、JFLへ降格する事になります。
 この事態の原因として、赤字クラブに共通する一般論として「最初に経費ありきの経営」を指摘。チームの基本方針の一つに「チームが上位争いをするために必要なレベルを維持する」があり、それに伴う金額となったが、結果として総収入が予算に対して大きく不足。
 高額年棒のベテラン選手が多く、J1で7位の年棒額に対して、入場料収入が微減で、収入への見通しが甘い結果に。
 「人件費を削るのは夢がない」という話でこの赤字になっているが、赤字解消には入場料収入アップや高額選手の放出、債務超過の脱却には、親会社の増資しか選択肢は残されていないだろうと書かれています。入場料収入を増やすなら、平均3万人台(現在:2万4,275人)という高いレベルをキープするしかなく、クラブの苦悩は続くとしています。

 経営面でもっとも成功を収めているのはJ1甲府。海野社長になってから12年連続で単年度黒字を計上。内部留保も3億円弱に到達。不利な環境でかつては「Jのお荷物」と揶揄されたクラブが健全経営になっているのは、経営者としています。
 海野社長は、まずは収入を増やすことに最大の努力をしており、入場者数が多少は落ち込んでも、ここまでは収入を確保できるということを念頭に置いた上で選手人件費などの経費を固めていて、絶対に赤字にはならない仕組みが確立されているとか。
 チームスポンサーの数は軽く700社を突破。広告料収入も5億5,400万円に到達。市民クラブの抜きんでた存在。現在は通算3度目のJ1昇格といういわば「エレベーター」状態だが、今後はJ1定着がテーマとなってくると思われる。

 また記事では、Jリーグは将来へ向けた成長戦略で、J1ビッグクラブとなりえるチームに「規模をさらに大きくして、常にアジア王者を獲れるような巨木」となることを要望しているとあり、甲府などの市民クラブの幹をさらに太くし、J3に代表される根っこの部分をさらに広くしたいとしていますが、これは「J1のプレミア化」につながる発想につながり、J1の2部カテゴリ化、J2、J3それぞれ3部、4部カテゴリ化につながり、とても危険な考え方だと個人的に思います。
 この記事では海野社長とともに、J2岡山の木村社長の名前もJクラブの理想の社長像として名前が出ており、岡山県民としてはうれしい出来事でしょう。

 少し話がずれますが横浜さんといえば、11月上映予定の映画「ヨコハマ物語」の全面協力をしたという事例(合わせ技でごめんなさい)もあります。主人公の奥田瑛二氏が、マリノス職員を演じる内容で、大東チェアマンも出演しているとか。先日31日の黄色い試合に撮影されているそうで、これはどんなものか観ねば(笑)。詳しくはこちらをご覧下さい。
 クラブ経営ですが、甲府さんは「ホームタウンレポート」を観ても、Jクラブとしての付加価値はとても高いと当ブログでは認識しており、経営で苦しんでいるクラブさんはぜひ、甲府さんをお手本にされてはと思います。また、当ブログでもJクラブの付加価値ページで甲府さんを取り上げてみましょうかね。
「THE PAGE」該当ページ:http://thepage.jp/detail/20130712-00010001-wordleafs
J1甲府「ホームタウンレポート関連:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20120713

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