迷建築「ノアの箱家」

ひょんなことからNOAに選ばれし者として迷建築「ノアの箱家」に住むことになったKOKKOの笑ってあきれる自宅建築奮戦記

家屋調査

2010-08-27 19:39:24 | 本人登記とお金

生き延びるための建築

 

誰かさんの書物の名なんかではない。

「ノアの箱家」のことである。

文字通りこの家は、私が生き抜いていくための建築だ。

 

「あんた、素人ちゃうでしょう。なんかやってる人とちゃいますか?」

役人は昨日私にそう言った。

理由は、法務局に提出した図面を私が描いたものと知ったからである。

残念ながら、ずぶの素人だ。

そのずぶの素人が素人ゆえに専門家を信じ、窮地に追い詰められた。

自分の運命を呪い、人を信じることは馬鹿のすることだと思った。

そのおかげで孤立し、さらに自分を窮地に追い込んでいったのだ。

馬鹿は馬鹿なりに歩いていくしかない、生き抜ていくしかない。

“一寸の虫にも五分の魂”である。

杓子定規に物ごとを推し進めていくのがお上なら、庶民も筋を通させていただこう。

今後の私の暮らしがかかっているのだ。

私が自己の正当な主張をここで主張できなかったらどうするのだ。

KOKKO、頑張れ!! 自分で自分を励ました。

 

KOKKO:「私は誤魔化して儲けようとは思いません。でも、損をするのは嫌です。

税金の算定は事実にのっとった金額でなければ納得できません。」

 

「2週間時間を下さい」と役人は言っていたが、今日向こうから電話がかかってきた。

市側としての最高金額の提示だった。

「これ以上の金額にはしません。だから、これで異議申し立てはせんとってくれますか?」

いろいろ話し合った結果、再度検討の余地ありということになった。

 

市の役人としても、困っただろう。

コンテナなんて初めて。

鉄板造鉄板葺も初めて。

廃棄品だらけで造られた新築家屋なんてとてもありえない話なのだ。

だが、実際にそんな家「ノアの箱家」がここに存在する。

 

結論は、次週への持ち越しとなった。

 

                                                           

                                                            昨日、高槻市役所が貼っていった家屋調査済証

                                                          

 

 


 

 

 

 


ドリトル先生動物園倶楽部

2010-08-26 23:12:19 | 建築一般

世田谷村の白足袋とその飼い主

 

ドリトル先生動物園倶楽部事務局長の白足袋が任務を放棄し、会員からの郵便物をこともあろうに飼い主に代読させているようだ。 こう暑ければ、猫の手も役には立たぬらしい。

 しかし、飼い主の方はたいしたもの。石山修武なる飼い主の文章は面白すぎて、なかなか抜けられない。

こんな人を教えてくれるなんて、アトリエ・ノアの若い設計士玉城さんは罪作り。

 

「SELF BUILD」

実に面白く、一気に読んでしまった。

その勢いで、山梨のコンテナの店(ワジアジア)まで、結露対策の調査に出向いてしまったのが3月、母の墓参りのついでだった。

「ノアの箱家」の工事が始まり、お次は「生き延びるための建築」の紹介。

まあ、なんていい感覚!!

 

で、「建築家突如雑貨商となりて至極満足に生きる」を300円で買って読んだ。

笑い転げた。

「うちの家の窓は安全農作物だ。」

「学生をビニールハウスで育てることにした。」etc.

 

他にも本を読もうと思い・・・。

そうだ、「バラック浄土」なんて、タイトルからして私にピッタシ!

が、アマゾンで調べたらプレミアがついて40000円!

これじゃ、買えない。三球四脚の方がまし。

 

 仕方なく「世田谷村日記」の過去ログを見ていたら・・・。

「睨むんです」の件なんてもう、サイコー!!

出てくる人がみんな大騒ぎして喜びまくってて、なんて素敵なのかしら!!

“馬鹿本”に感動している姿に感動した。

 で、会津若松の猪苗代湖の建物の建築中の写真を発見。

いいねえ!!

実にいい!!

この光・・・ひょっとしてバルセロナパビリオン? なんて思っちゃった、一瞬だけど。

 

で、はたと思ったのだ。

そうだ、40000円なんて大金はないから、

この際「世田谷村日記」を過去10年分最初から読んじゃえ!!

出費ゼロだ。

ありがたい。

というわけで、「世田谷村日記」10年分読破にトライすることにした。

時々レトルトカレー食ったの冷やしそうめん食ったのとどうでもいいことまで知らされちゃうけど、まあいいや。

「世田谷村」の実践をともなう生き方が素晴らしいと思うから。

馬鹿馬鹿しいぐらいみっともなくて誰にでも出来るやり方のグリーンカーテン牽引を、しかも雑草然とした葛を、あそこまであっけらかんとやってくれちゃうなんて、爽快。

“カッコ悪い”は“カッコいい”の見本だ。

うん、面白い。

 

「世田谷村」の思想性については、小難しく語らずともよい。

 とにかく、過去10年分、タダで楽しませてもらいましょう。

 

 



不動産評価額調査

2010-08-26 21:21:58 | 本人登記とお金

「ややこしくするかしないかは、そちら次第だよ~。」

 思わず言ってしまった。

やっぱり言ってしまった。

 

予定より早く市役所の資産税課の役人が二人はるか向こうの道に。

車から降りるなり、

「えっ、屋根がついてるんかいな~。」

「KOKKO:「ついてますよ、でなきゃ確認申請降りないもの。」

困ったような表情で階段を登ってくる二人の役人を見ながら、

「ささ、どうぞ。」

うやうやしくお出迎え。

 

役人:「設計図どおりの建て方になってませんね。」

KOKKO:「 そんなはずないですけど~。」

年配の役人が、先日コピーしまくっていた建築確認申請書(副)のコピーを開き、

「ほら、屋根が・・・。」

KOKKO:「いいえ、設計図どおりですよ。このラインが屋根で、コンテナの上に乗ってます。」

設計図を指差しながら説明した。

役人:「え? このラインが屋根かいな。へ~。」

おいおい、大丈夫かい? (彼は建築士の有資格者である。)

役人:「僕も一応建築士ですから、奥さん(奥さんではない!元奥さんである。)の仰る気持ちは分かるんですが、税金算定の基準がありまして・・・。」

KOKKO:「算定があろうとなかろうと、見れば分かるでしょ~。これが資材費470万円もするわけないじゃない。コンテナ16万円、それが四つですよ、金額メモしといてね。屋根と柱は日当込みで120万円で付けた。」

役人:「でも、運賃がすごく高かったでしょ?」

KOKKO:「知り合いの大工に頼んだから34000円。クレーンも4万円。でも、固定資産税の算定は確か資材費だけだったはず。」

 

あちこちの写真を撮りまくっていた二人。

役人:「・・・、本とだ、窓も流し台も中古品ですね。何で、中古品なんか使うんですか?」

KOKKO:「お金ないから~。どれが新品か言いましょうか? IHヒーター、電気温水器、風呂桶、シャワー用蛇口、それだけ。あ、基礎が新品でした!」

役人:「風呂は外だ、温水器も外・・・、これ、算定対象にはならないですね。」

KOKKO:「あらま、嬉しい~。」

 

役人:「まだ家出来上がってないじゃないですか。」

KOKKO:「これで出来上がりなんです。何しろ、お金がないもんで。これで出来上がりとしなければならないんです。贅沢は敵なのです。」

役人:「でも、風呂もむき出しで固定されてないし・・・。」

KOKKO:「私はこれでいいの! これで入るしかないの。私のライフスタイル、自由にさせてよ~。」

役人:「壁も鉄、内装は?」

KOKKO:「内装無しということで建築確認を通しました。完了検査が済んで引越しして来てから、10年ぐらいかけて少しずつお金貯金して工事していくんです。私にお金がないからこういう設計になったの。」

役人は、「よく分かりましたした。」と言いつつ、その後も頓珍漢な質問を一杯。

私は、そのたび「お金ないから~。」

  

 役人:「これ、重量鉄骨ではなく軽量鉄骨なんです。税法上は軽量鉄骨でもありません。鉄板造鉄板葺平家建てです。」

KOKKO:「え?法務局では鉄骨造ということで申請書を書きましたが・・・。」

役人:「あなた、まだ登記簿見てないの?」←実は、登記完了証しか貰ってきていなかった。(-_-;)

役人から法務局の用紙を見せてもらった。

役人:「鉄骨造の部分に線を引いて消してあり、鉄板造となっていました。向こうが書き換えたんですね。」

ふ~ん、後で内部で話し合ったんだな。

こんなケースないから、皆さんちんぷんかんぷんなんだ~。

 

役人:「実は困ってるんです。高槻でもコンテナをわざわざ建築確認取ってまで建ててるケースなんてないし、ましてや鉄板造なんてのは規定にないから、税金計算できないんです。あなたが初めてで最後のケースになると思います。」

KOKO:「じゃ、私は高槻の歴史を切り開いたわけね。カ~コッイイ~! だったら、市役所の人たち、しっかり計算して頂戴ね。異議申し立てされたら、ややこしくなっちゃうよ~。」

役人:「ややこしくせんとって下さいよ。」

ここで冒頭のセリフ。

KOKKO:「ややこしくするかしないかは、そちら次第だよ~。」

 役人は「上司と相談する時間を2週間下さい。」と言って帰って行った。

 

KOKKOは粘ります。

自分の土地に自分の責任で自分の家を建てることの自由は事実上なかった。国家に奪われたも同然だ。理不尽と思いつつも違法建築をやる根性がない模範的国民・小市民ゆえに、私は何とか法的にクリヤーしようとしてひどく苦しみ続けたのだ。

この上たくさん税金取ったら許せない。

これはもう囲炉裏茶屋の蚤たちを引き連れて一気に一揆。

そうだ、立ち上がろう、立ち上がるんだ~、全国の蚤たちよ、立ち上がれ~! 我々“蚤の会”の存在をアピールする時が来たぞ~! (私は“カムイ伝”のファンだ)

そうだ、世田谷村の白足袋にも言いつけて・・・いや、ダメだ、奴はあてにゃならない。蚤は奴の天敵だ。

 

 ※建築基準法の矛盾については、「ノアの箱家」物語に書いた。姉歯事件後、法改正が行われたが、「改正」なのか「改悪」なのか悩ましい点をおおいに含んでいる。事細かな規制が増大し施主側のあまり意味のない負担が増した。経済的にゆとりのない人間はますます建てにくくなり、受注が減ることで建築業界にも大きな打撃となったのである。


 


ブログリニューアル

2010-08-24 21:40:54 | お知らせ

ブログタイトル変更

 

「ひょんなことからNOAに選ばれし者となり、迷建築「ノアの箱家」に住むことになった樫の木@樫田の笑ってあきれる自宅建築奮戦記」

「ひょんなことからNOAに選ばれし者となり、迷建築「ノアの箱家」に住むことになった玉野井いづみ笑ってあきれる自宅建築奮戦記」

に本日より変更しました。

 

さんざん、人の実名を書きまくっているので、この際自分も本名でいくことにします。

別に今までも隠しているつもりじゃなかったけれど、樫の木@樫田には、私なりの意味があったので、ハンドル名にしたかった。

今後もメール送信者名は樫の木@樫田を使います。

KOKKOは、メルアドの7855で分かるように、“にわとり”から来ています。

今後ともよろしくお願いします。

 

 


セルフビルド考⑨

2010-08-24 20:31:37 | セルフビルド考

「自分の帰るところを見つけます。」

 

その言葉を見つけたとき、胸が締め付けられた。

今日、和泉学園(少年院)で見た。

阪南市にある和泉学園には、エントランスに学園生たちが書いた抱負が貼ってある。

一人一人うろこ状の紙に抱負を書き、全体で一つのこいのぼりを形作っている。

全てのうろこに眼を通した。

 

「失敗してしまったことを正直に話す勇気を持ちます。」

「人を大切にして愛せる男になる。」

「自分の大切なものを絶対に守れる強さをつけて、幸せな人生にする。」

「生きている時間を大切にし、大きく広い心を持って生きていく。」

「幸せになり、幸せにする。」

 

ポスターや絵手紙のような物もあった。

「ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、何度言っても言い足りない。」

「はかない蝉の一生も土の下では大きな努力」

 

多くは、法務教官から言われたことを彼らなりに受けとめ消化しようとして出てきた言葉ではあろう。

上手い日本語ではないが、胸を打つ。

冒頭の「自分の帰るところを見つけます。」には参った。

 

「自分の家」ってどんな家のことだろうとここ数日ずっと考えていた。

帰るところが「無い」我が青少年達のことを考えていた。

そして、この文に出会ったのだ。

この少年も帰ることろが「無い」。

けれども、我が青少年達の「無い」と、この少年の「無い」は意味がまるで異なる。

帰りたいのに帰れない状況なのか、帰りたくないから他に帰れそうなところを求めているのか、もともと帰るところがないのか・・・精神的に拠り所とするとこころがこの少年にはないのだ。

少年院に入所する触法少年達の中には少なからずこのような少年がいる。

受け入れ先のない人生を生きているのだ(親は受け入れ先とは限らない)。

 

このような少年達は、「自分の家をつくる」という行為をどのようにイメージするだろう?

イメージしにくいのではないか。

そもそも彼らには、初めから「家」らしき「家」、「家庭らしき家庭」がないケースが多い。

家族の絆があってこその家だ(勿論、単身者の家もあるけれど)。

人生設計あっての家だ。

羅針盤なき状況の中では、人は「自分の家をつくる」という発想は持ちにくいだろう。

 

帰るところがない少年はどうするか。

たとえそれがよくない人であったとしても、優しく声をかけてくれる人間のところへ行ってしまうのではないか。

差し出された椅子に座ってしまうのではないか。

そして、一般的に「悪」と呼ばれる社会を構成していく。

そして、累犯につぐ累犯。

ひょっとしたら、これは彼らなりの自分の居場所の“セルフビルド”なのではないのか・・・。

鉄格子に囲まれたプールで体操をしている彼らを見て、そんな気がした。

 

 奈良少年刑務所で行なわれている更生教育「社会性涵養プログラム」で詩の講座を担当している寮美千子さんの本がある。

 

 「空が青いから白をえらんだのです」             

タイトルにもなっているたった一行の受刑者のこの詩が胸に突き刺さる。

                 

                 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4860954025/harmonia-22

   ※ 奈良少年刑務所は、山下啓次郎(ジャズピアニスト山下洋輔さんの祖父)の設計だ。

     美しい建物である。