迷建築「ノアの箱家」

ひょんなことからNOAに選ばれし者として迷建築「ノアの箱家」に住むことになったKOKKOの笑ってあきれる自宅建築奮戦記

コンテナ⑦(仮設住宅としてのコンテナハウス)

2011-09-04 08:57:39 | コンテナ

坂茂氏の仮設住宅(東日本地震津波支援プロジェクト)

「コンテナ・居住」をキーワードにネットサーフィンをしていたら、坂茂氏がコンテナでの仮設住宅を提言しているのを知った。

彼のことだから、当然といえば当然。

坂茂氏は、阪神大震災の時は、鷹取教会をダンボールで再建?した建築家だし、確か、東京のお台場で、コンテナによる仮設美術館建設に携わっていた人物と記憶している。

以下にプロジェクトの概略を紹介しておく。

 http://www.shigerubanarchitects.com/SBA_NEWS/SBA_van_p2.htm

 

以前から、仮設住宅にコンテナを使えばいいのにと私も考えていた。

設置は簡単だし、コンテナ一個あれば何とか最低限の生活は可能だからである。

基礎さえ造成すれば一気に箱の設置は可能だから、急いでことを運ばねばならない場合には、速攻で対応できる。

各戸にキッチン・風呂・トイレを設置するのが理想ではあるが、建築の量が量なので、昔の長屋風に中庭に共同キッチンやトイレ・共同浴場用のコンテナ棟を設置する集合住宅(団地)建設という手も考えられる。

こんな非常事態に“建築基準法”もヘッタクレもない。

ISO規格かJIS規格かでさんざん苦しんできた私としては、“建築基準法”糞食らえ!!の面持ちだったので、嬉しい。(ただし、今回のコンテナが何規格のものかは知らない)

岩手では最後の避難所が閉鎖となったが、被災者にとっては、新たな移動先も「避難所・仮説住宅」の延長である場合が多いことを考えると、安価な賃貸・無償の集合住宅の提供は意味が大きい。

知己と離れ離れにならなくてすむ安定した新たな居住地は、被災者の精神的安定にとって、重要な要素となり、今後長く影響し続けることを思うと、コンテナ集合住宅(安価・もしくは無償)の提供の意味は、経済性以上の意味があると私は思っている。

 


 


全国コンテナハウス居住者連絡会

2011-03-08 06:02:13 | コンテナ

コンテナ同志

あらまあ、こんなにたくさんコンテナに住んでいらっしゃる方があちこち隠れて(?)おられたものだと最近とても感心している。

日本ブログ村むらに「コンテナハウスで田舎暮らしをしよう」というブログがあって、相互リンクを貼っているが、2週間ほど前から千葉の海沿い辺りのどうやらサーファーだと思しき夫妻がコンテナハウスのブログを掲載し始めた。「KIKUCHI BACE」http://ameblo.jp/kikuchibace/

こちらは、正居ではなく、どうやら「海の家」のような印象だが、モニュメントなどを作って楽しんでいる様子がいい。

おお、この調子なら全国コンテナハウス居住者連絡会(正式名称:蚤の会・・・違法か合法かは問わない、自分の土地に自分の責任でコンテナハウスを建てて住んでいるというのが唯一の条件)なんてのをホントに作れそうだなんてうきうきしてきた。

この間は、千葉のリゾートマンションに住んでいるという人から一宮の海岸近くでこんな物件が出ているとコンテナハウスに関するコメントがあった。

一宮と言えば、知人の写真家T氏が以前住んでいたので何度か行ったことがあるが、風が結構強かったと思う。海の潮風でコンテナが傷んでいないか気になったが、390万円で140㎡の土地付き。

外房のここまで来てわざわざコンテナハウスに住もうという御仁がいたら、何をやって生活していくのだろう?らっきょうと落花生とさつま芋を作り、魚を釣って・・・。

とにかく、その御仁とも連絡を取り合えたらいいなあ!!

お~い!!

あたいたちはどうせ蚤なんだ。力を合わせていこうじゃないか。

蚤の皆さん方、この指とまれ~!!

というわけで、本日から、名前を“蚤付き病的苔KOKKO”と名のることにした。

 

さて、近いうちに長野県内の蚤に会いにいくことになった。

同志だから、勿論コンテナさんである。コンテナ居住者というよりも、コンテナさんに会いに行くのだから、私はもうコンテナフェチというか、犬の飼い主が「うちの子」と犬を呼び、町で行きかう他人の犬にまでデレ~ッとしているのと同じ状態かもしれない。

とにかく、長野県のその蚤は、なかなかカッコイイコンテナに住んでるようなのだ。

以前紹介した「EX-CONTAINER」吉村靖孝氏)にもなかなかスタイリッシュなコンテナ建築が載っていたが、ネット検索したら・・・

他にも!!!  一杯あった!!!

建築確認対応型のJIS規格コンテナを使えばそれらは都市部でも充分実現可能だが、自分で建築士の資格を取って建築するなら話は別だが、業者任せにする場合、費用は業者が謳っているほど実は安くはない。

貧乏人の私にとっては、あくまで目の保養。

それよりも見捨てられている中古コンテナを生かす方法を考えたい。いや、王族Bライフの蚤付き病的苔KOKKOちゃんは、いやでも考えていかざるを得ないんである。


 


コンテナの断熱

2011-01-28 21:47:22 | コンテナ

迷案・珍案

コンテナ建築が決まった時から、断熱が一番の懸案だった。

いろんな人がいろんな意見を言って教えてくれた。

教えてくれた中の迷案をひとつ。

「コンテナにパンチの穴と同じようなのをいくつも開けると、それが通気口になるから、結露がだいぶましになる。」

コンロで沸かしたときに出る湯気じゃあるまいに・・・。???

空気中の水蒸気は冷たいものに触れると結露するわけだから、穴以外の部分が結露するのは目みえるのだが・・・???

どれだけましになるか実験してみたいと思ったが、実験が失敗に終わったときのことを考えると、こいつはいただけない。(錆と強度低下というリスクのみが残る)

そう言えば、「EX-CONTAINER:発想の視点」(吉村靖孝 著)の中に穴の開いたコンテナの写真が載っていた記憶がある。中の灯りが屋外に漏れてとても綺麗だった。

                   EX‐CONTAINER (発想の視点)

 

しかし、私はデザインのよさを狙ってコンテナを選んだのではない。

あくまで耐震性だ。たとえ90度にひっくり返っても原形を留めておいて欲しい。

これは、私にとっては、命の問題だけではない。壊れた家を見るのはもうたくさんだ。もう見たくない・・・これが一番大きかった。

デザインでいうなら、屋根が乗っていなかった頃の「ノアの箱家」はなかなか綺麗だった。スタイリッシュな造形だった。

が・・・。私は、木の方が好きなんである。

 あ、話がそれた。

 

珍案というのは、他にもあって、NOAの若い設計士が言った「ビニールハウスかテントをコンテナの中に張って、そこで寝たら?」というもの。

これは、世田谷村の白足袋の飼い主君(石山修武氏)が倉庫のような家(ドラキュラの家)に住むことになったドラキュラ君に言ったセリフとほぼ同じ。

ドラキュラ君は本当にそうして生活していたようだが、私はそんなのごめんだ~。

 失敗するわけにはいかないから、また、自分が納得して結論を出したいから、

「一冬なら死なへんて!」

周囲の反対を押し切って、鉄むき出しの無断熱で暮らすことにした。

兄ちゃんや中ちゃんは様子を見に来て、屋外零下7℃・屋内-1℃と聞き、

「俺はいやや、そんな生活!」

震えまくる彼らにストーブとホットカーペットをつけてあげるKOKKO(一人ならつけない)。

近所の人も皆私を「変な人」と思っている。

はい、それでよし!

お金の問題を抱えていなかったら、深く考えないであっさり人の言うことを聞いていたかもしれない。失敗してもやり直しをするお金がないから、ひつこくもなる。

 

実際生活し始めると、この寒気は確かに堪えた。

家の中でスキー場か登山かという恰好だ。

だが、昔の北海道の人間は囲炉裏だけで暮らしていたんだ。そのことを考えると、これなどたかが知れてるじゃん!! 

でも、さすがにコンテナ鉄壁にもたれると冷たくて本を読むのに集中できないから、こういう場合を想定して残しておいた引越しの時の食器包み(40センチ四方ぐらいの薄い発泡スチロールシート)を壁にガムテープで留めて様子を見ている。

温い。

平気で鉄壁にもたれられる。たったの3ミリの厚さしかないのに。

アルミ蒸着したシートも貼り付けて様子を見ている。

壁の錆防止を兼ねて、いっそのことシートを鉄壁全面に隙間なく貼り付けてから、スタイロ断熱という手もあるなあ・・・。と思いながらネット検索していたら、それ用のシートが発明されていて、特許も出ていた。

お~、苔KOKKOちゃん。特許と同じこと考え出したじゃん、おぬし、鶏頭のくせになかなかのものよのう。悦に入る。

このシート実験は、カーテンを二重に縫って、その中にシートを挟み込んで窓の断熱をすることも考えているので、その前段実験でもある。(カーテン生地は50メートル巻きのをタダで1本囲炉裏茶屋から貰い受けているので、これで充分二重カーテンを縫える。)

寒さに耐えて生活しているうちにも、次々アイデアが湧いてくるんだなぁ。

急いで結論出さずに良かったと思う。

 

夏のコンテナ

 樫田は冷涼な気候な上、「ノアの箱家」は屋根尽きで通気層部分の隙間がかなり高い(南側50cm、北側30cm )。おまけに、日中の直射日光は、早朝の東側のコンテナと、夕方の西側のコンテナの一部の壁のみ、しかも、それぞれ1時間ほどしかない。

家の位置と設計が功を奏して、直射日光はそれほど当たらず、風が吹きぬけ続ける。

コンテナと聞いて、みんな「暑いでしょ?」と言うが、「ノアの箱家」は、実はとても涼しい。

当然エアコンなど必要ない。

だから、断熱は、あくまで冬のためと考えてきた。

コンテナと屋根の隙間を広く取ってあるのも実はそのためだ。

外部天井にスタイロフォームを敷くかもしれないことを想定して隙間を広めに取ってくれるよう設計士に依頼した。(ここは、“竹”の隠れ家でもある)

 

もしもコンテナハウスを建てるなら、断熱と結露は何としてでもクリアーしなければならない

幸い、ブログを開設してから、実際にコンテナに住んでいる人との出会いがいくつかあって、いろいろアドバイスをいただいてはいる。(見学しに行った所:山梨のワジアジア)

設計士が言った「セルフビルドは、仲間と情報収集が大切ですよ。」というのが身にしみる。

しかし、最終的に結論を出すのは私だ。その結果を引受けるのも私だ。

納得いくまで考えよう・・・と言っても、内壁用の板を問屋が預かってくれるのは7月まで。あと半年)



コンテナと建築確認申請

2011-01-21 21:34:39 | コンテナ

屋根の扱い

「コンテナハウスに暮らそう」http://www.kumiage.info/の屋根の写真を見ていて、はたと思った。

このブログのコンテナは、コンテナの天井の上に屋根を乗せるための柱?を載せている。

・・・ということは、建築確認申請の必要がないエリア(無指定区)に建てたものかもしれないと。

 

アトリエ・NOAの本庄正之さんによると、「屋根をつけなければ、まず建築確認申請は降りないだろう」とのこと。

コンテナにはすでに天井という立派な?屋根があるのに、わざわざ屋根をつけなければならないなんて理不尽だが、建築物は構造体が明確でなければならず、コンテナの天井はあくまで天井であって屋根としては扱われない。私にしてみれば、「いきなり天井にコンパネ載せればいいじゃん!」てなもんだけれど、ところがどっこい、法律はそうは問屋が卸してくれなかった。合法的建造物を目指すためには、お金のかかる工事をしなければならないのだ。

「無駄なことさせるなぁ~っ」と心の中で叫んだのは勿論だが、負け犬の遠吠え。

で、思いついたのが、「コンテナハウスに暮らそう」と同じ工法による屋根の載せ方だった。

が、それも本庄さんに「それでは役所は認めてくれない」と言われた。

KOKKO:「え? 何で?」

「建築確認申請対応型のコンテナ(JIS規格)は、構造計算できるような鋼材を使用して周囲の鉄骨(柱や梁に相当する部分)を造っているが、ISO規格のコンテナは、そういった鋼材を使用していないため、構造計算できないからだそうだ。(正確に言うと、現時点で使用されている計算方式では計算できないだけ。計算式を確定すれば計算できるが、そもそもISO規格コンテナは、建築用ではなくあくまで運搬用に造られているため、必要性がないので計算式も存在しない)その鋼材の上に屋根を載せるための柱をつけるということは、もめてしまうことになる。そこで、アトリエ・NOAとしては、コンテナの鉄壁は単なる「間仕切り」扱いとし、柱をコンテナの鉄壁の外周に立て、その上に梁と屋根を載せて構造体とする方法をとっている」という趣旨のことを仰っていた。

鉄壁が構造に無関係の単なる間仕切り扱いとなることによって、開口部の自由度は増した。ほとんどやりたい放題で窓やドアをつけることが出来るのである。コンテナの開口部もそのまま開口部として活用できることになった。

役所は実際の強度がどうなるかなんて問題にしない。あくまで、書類上の構造のみが整っていさえすればいいのである。

腑に落ちないのだが、法律なんて所詮そんなものなんだろう。矛盾だらけの世の中なのよ。

 

え? どうしてそんなややこしい目にあってもコンテナがよかったのかって?

ほら、言うじゃない?「蓼食う虫も好き好き」ってさ。

惚れたら一途の女心。

コンテナ様一筋の大恋愛だったわけ。


  


コンテナの結露対策

2011-01-20 21:30:26 | コンテナ

コンテナの断熱

鉄ゆえに断熱対策は万全を期したい。

結露対策には断熱と通気が一番である。

で、囲炉裏茶屋のコンテナを昨年一冬観察し続けた。

 

囲炉裏茶屋のコンテナは三棟ともグラスウールによる内断熱である。

「グラスウール? これはやばいのではないか」

何故なら、袋に穴が空いていたりしようものなら、其処から水蒸気が入り込んでカビだらけとなるばかりでなく、断熱効果が一気になくなるからだ。グラスウールが断熱効果を発揮出来るかどうかは、ひとえに丁寧な施工にかかっているのだが、大工も人の子、適当にやってしまうケースが後を絶たない・・・これは、「ノアの箱家」建築に至る前に、コンテナを断念して木造建築の道を歩んでいた頃勉強して知っていた。

私が断熱するときは、素材はスタイロフォームにするだろう

そう決めていた。

が、とにかく観察だ。

というわけで、囲炉裏茶屋のコンテナの内部の温度を測り続けたのである。

結露は残念ながら内壁があるので観察できない。

が、想像は付いた。

コンテナ内装下部の壁が黒ずんでいたのである。

カビだ!

ということは、内壁は結露だらけで、場合によっては腐っているかもしれない。

案の定、内装修理をすることになった。壁を支える内側の木も一部はすでに腐っていたという。

結露が原因である。

狭いコンテナ内部は、断熱がきちんとされていれば、ストーブをつけると一気に温度が上昇する。

温度が上昇するということは湿度も増すということで、冷たいコンテナ壁に水蒸気が触れて結露が生じるということだ。

囲炉裏茶屋のコンテナの暖は、全て石油ストーブ、水蒸気を大量に発生させる装置である。

最もヤバイ組み合わせ。(電気ストーブなら水蒸気は発生しにくい。エアコンは空気を乾燥させる)

卓ちゃんコンテナの外壁はコンテナむき出しで-2℃ということがあったが、ログハウス風に間伐材で覆ってある他のコンテナは、たったそれだけの覆いだけでも内部は卓ちゃんコンテナより2℃高かった。間伐材が外断熱機能を果たしていたのである。

だが、どのコンテナも早朝の流し台の水道は凍結していた。桶を置いておくと、中の水は綺麗に氷の塊になっていた。樫田の冬の鉄の実態である。

それに対し、私の部屋(離れ、木造)は、同じグラスウールの断熱ではあっても屋内温度は最低でも4℃以上あった。

 

ノアの若い設計士、玉城さんは言った。

「コンテナに住む以上、結露はどうしても避けることは出来ません。結露を生じさせないためには、いっそのこと暖房しないでコンテナの中にビニールハウスかテントを持ち込んで、そこで生活したら?」

むむむ、白足袋の飼い主君(石山修武氏)みたいなことを言ってくれるじゃん!

まさか、そんな生活するわけにはいかないから、囲炉裏茶屋とは条件の違う私の土地ではどうなるか、一冬観察してみたくて断熱なしのコンテナむき出しで生活してみることにしたのだ。

これが一生続くなら辛い。が、一冬ぐらいなら冒険根性!!楽しめる。

というわけで今の暮らしをすることになったのである。

 

私は当初は内側は土壁にして、それで断熱と結露対策を兼ねるつもりだった。(滋賀県の大工でよしずやすだれをラスや藁代わりにして土壁を塗っている人がいる)が、皆の意見に押される形で、たまたま北摂スーパーで檜の腰板が大安売りしていたこともあって、土壁をやめて木の壁にすることにしてしまった。断熱と結露対策については、私は新たに必死で考えることになった。(正直言って、今も土壁には未練が残っている)

とにかく、工事関係者を含め皆言うアイデアが違った。

「外は廃材で覆うのだから、断熱なんていらない。内側に木の壁をすれば、それが断熱になる。」

「内断熱で充分。水蒸気は木の壁が吸ってくれるから、結露なんてたいしたことない。」

「結露は避けられない。我慢して生活せぇ。」

「吹きつけ断熱は?」

「絶対外断熱!」

「外断熱なんて、面倒なことせんでええ。金高こつくで。」

かくして、外断熱派と内断熱派に分かれ、しかも施工方法のアイデアが皆異なった。

頭の中が混乱し、収拾が付かなくなった。

とうとう、「え~い!やかましい!! 一冬、鉄むき出しのまま過ごすんじゃぁ~!!」

KOKKOは嘴で周囲の人間を突付きまくったのである。

 

正直言って、何が正解なのか今も分からない。

また、今の暮らしが実験になっているのかどうかも不明である。何しろ、ストーブを焚きまくっても室内温度が一向に上昇しないのだから・・・。

室内温度が20度以上になれば、おそらく長野県でコンテナに住んでいる人の言うように、滝の如く結露の汗がコンテナに流れるのではないかという気がしてはいるのだが、実際にこの目で見ていないから、想像しきれない・・・。