神長官資料館(茅野市)
ゴールデンウィークに、茅野市の神長官資料館へ行った。土壁の農家風の土俗的でどこか懐かしさを感じる建築。何年か前から行きたかったところ。諏訪大社は観光バスで大勢の人が押しかけていたが、ここはまばら。
畑の中に立っている、素朴な姿は、とても美しいのだが、おそらくは、さりげなさすぎて素通りしてしまう人の方が多かろう。
人がいないので、おねだりしたところ、はね階段を降ろし、普段は未公開の2Fまで上げてくれた。ラッキー!!
たった100円の入館料。儲けたろうという気は全くない。
内壁に飾ってある鹿と猪の頭の大きさがまちまちなので、「数が足りなかったから、間に合わせしたみたいですね。」と言ったら、「本当は全て鹿のはずだったのですがね、鹿が足りなくて猪も使いました。また、成獣が足りないので、子どもも使いました。」とのこと。
まちまちでも何とか見れたけれども、思わず??ニチャッとしてしまった。
それにしてもいい。
「私、こんな家に住みたい。」と言ったら、「使う方にしたら、使い勝手は良くないですよ。暗いから。」
「でも、農家の倉庫をイメージしているのだから、暗くなるのは当然ですね。」と返したら、戸惑ったような笑顔が返ってきた。
建築家の美意識と施主の生活意識とは常にリンクするとは限らないのだ。
でも、あたしゃ、こんな薄暗さの方が落ち着くんだけどね。
あたしに別荘として、この資料館、下さい!!
畑の中の神長官資料館
畑の横に溶け込むように立っている。何も知らない人が見たら、それこそ、農家の倉庫に見えるだろう。いいねぇ。神長官末裔の個人宅の敷地の中。外からいけいけなので、誰でも勝手に行ける。散歩している人やら、農家の人やらを畑の小道で見かけた。
敷地内の社というか祠にお参りに来た老女が、「神様に挨拶もしないで素通りして行くの?ダメですよ。こっち来なさい。拝みなさい!」で、彼女に従って祠に向かってお参りし、後ろにある木の幹を抱きかかえ、気を身体に取り入れるしぐさを真似た。その後、お供えした団子をいただく。
「ここの男神は、酒が好きで、女神は団子が好きで・・・。」ひとしきり、諏訪の神と神長官について話を聞く、というより、聞かされる。彼女は、毎日ここにお参りしに来ているらしい。どうやら諏訪大社の神様よりも、こちらの負けた神様(神長官)の方に肩入れしているらしかった。
祠の四隅には、諏訪大社と同じく、御柱が建っていた。諏訪のいたるところで同じ光景(御柱)は見られる。
神長官資料館(個人宅)の裏の畑の中というか、畑の上からぶら下がっているのは、これまた藤森照信設計の茶室。
まるでUFOだね。風が吹けば、お茶がこぼれちゃいそうだ。
あたしも登ってみたい。あたしも揺られてみたい。
茶室下のすぐ側に、梯子が二本置いてあった。一本は、茶室用で、もう一本は、どうやらさらに畑の上を登った所にあるツリーハウス用?
あたしゃ、ここの家の子どもに生まれたかった。
遊びまくってみたかった!!
ジョーズの口
茶会をするのは、ジョーズに食べられてから。梯子からにじり口に乗り移る時は、けっこうスリルだね。
でも、あたしも食べられたい!!
ツリーハウス
ツリーハウスの下には、ふきやらたらの木やらなんやら一杯植えてあった。畑の片隅にあり、取り澄ました様子がない。いいねぇ。真似して造ってみたい。うちの家の横の小丘の柿の木に。隠れ家だ。冒険心をくすぐるよ。
秋野不矩美術館の吹き抜けのライト
今年の連休は、富士山の母の墓参りはやめて、元天竜市二股(現浜松市)の秋野不矩美術館へ。ここは、以前来た時、休館日で、ガックリしながら帰ったところだ。藤森照信の建築。靴を脱いで中に入るという美術館。
別荘にしたいよ、この雰囲気は。ほっとする空間。特に、外壁の雨天時の水落としなんて、最高だね!!
遠州灘(袋井)で、イチゴ狩りをするのは古くからの我が家の慣わしだった。その後、富士山で墓参りし、裏富士を巡るのが常だったが、 今年は、秋野不矩美術館を見て、浜松餃子と浜松祭りに浮かれた後、山道を走って天竜川を遡上し、飯田へ抜けた。そこから諏訪へ藤森建築巡りの旅ときた。
帰りは、高遠から駒ヶ根・中津川。中央道の夜は単調で、眠くて眠くて・・・。歳も歳だし、パーキングごとに仮眠をしながら帰るという疲れよう。
今回の旅は、茅野のカナディアンファームもお目当ての一つだった(これについては、後日報告)。