生き延びるための建築
誰かさんの書物の名なんかではない。
「ノアの箱家」のことである。
文字通りこの家は、私が生き抜いていくための建築だ。
「あんた、素人ちゃうでしょう。なんかやってる人とちゃいますか?」
役人は昨日私にそう言った。
理由は、法務局に提出した図面を私が描いたものと知ったからである。
残念ながら、ずぶの素人だ。
そのずぶの素人が素人ゆえに専門家を信じ、窮地に追い詰められた。
自分の運命を呪い、人を信じることは馬鹿のすることだと思った。
そのおかげで孤立し、さらに自分を窮地に追い込んでいったのだ。
馬鹿は馬鹿なりに歩いていくしかない、生き抜ていくしかない。
“一寸の虫にも五分の魂”である。
杓子定規に物ごとを推し進めていくのがお上なら、庶民も筋を通させていただこう。
今後の私の暮らしがかかっているのだ。
私が自己の正当な主張をここで主張できなかったらどうするのだ。
KOKKO、頑張れ!! 自分で自分を励ました。
KOKKO:「私は誤魔化して儲けようとは思いません。でも、損をするのは嫌です。
税金の算定は事実にのっとった金額でなければ納得できません。」
「2週間時間を下さい」と役人は言っていたが、今日向こうから電話がかかってきた。
市側としての最高金額の提示だった。
「これ以上の金額にはしません。だから、これで異議申し立てはせんとってくれますか?」
いろいろ話し合った結果、再度検討の余地ありということになった。
市の役人としても、困っただろう。
コンテナなんて初めて。
鉄板造鉄板葺も初めて。
廃棄品だらけで造られた新築家屋なんてとてもありえない話なのだ。
だが、実際にそんな家「ノアの箱家」がここに存在する。
結論は、次週への持ち越しとなった。
昨日、高槻市役所が貼っていった家屋調査済証