棺桶ハウスで一晩明かした話
「アホか!」と笑われつつ棺桶ハウスを作っていた。
「どうやった?」と兄ちゃんや中ちゃんが聞いてくるたび「まだ寝てない」。
が、とうとう寝てみた。
棺桶に横たわって新年を迎えたことになる。縁起がいい。
私の死装束は、起毛パジャマに登山用寝袋と寝袋カバー。
棺桶の底のダンボールは2枚敷き。その上にボアの毛布を2枚。
風邪をひいている状態なので、念のために寝袋カバーの上からさらに毛布を一枚。
寒くて目が覚めた。
未明、寒くてというより、それを通り越して痛くて目が覚めた。
床に触れている部分が痛い。棺桶の隙間部分に近いところも痛い。
「いかん、 またもや熱が出る!」
棺桶から抜け出して台所の布巾を見ると、布ではなく板状態に凍結。
茶碗についている水の雫も乾燥しないまま凍結。
窓ガラスの結露も屋内凍結。
室内は-1℃。
ということは、屋外は-5度ぐらいだったということだ。
車に乗って囲炉裏茶屋に向かう時の幸福感と言ったら・・・。
暖かいということはこんなにも幸せだったのか・・・。
しみじみと幸せをかみしめた元旦であった。