尿を肥料に
し尿処理についてこれまでの経過を書き出したら、それだけでも膨大な量になる。
使えるものをお金を出してまで捨てる気にはどうしてもなれなかった。
で、肥料として活用しようとはずっと考えていた。
が、臭いをどうやって解決するかが課題だった。
俗にい言う“汲み取り便所=ポッタン便所”を限りなく無臭に近づけるためには、好気発酵させなければならない。(悪臭は嫌気発酵が原因)
だったら、糞尿を分離するのが一番。酸素の供給と水分の除去がキーポイントになってくる。
電気式のバイオトイレは臭いもなく尿も蒸発させてくれるが、電気代が一月2500円もするようなので、エコとは言えない。火石燃料の使いすぎな上、不経済だ。
(私は最高でも一月5000円も電気代を使わない。毎月せいぜい3000円ぐらいだ。)
ということは、電気を使わないコンポストトイレにしなければならない。
一時は、「庭仕事ひろば」で販売しているカナダ製のコンポストトイレを採用しようと考えたこともあったが、簡単な仕組みなのに35万円もする。
それはないよな~。大阪のオバチャンはB人なので、費用の節約は非常に重要だ。
で、閃いた。
そうだ、自分で作ろう!!
早速、実験開始。下(都市部)に住んでいたときのことである。
当時は、下水道整備の水洗トイレエリアに住んでいたので、実験用のトイレを作った。
恐ろしく簡単に言えば、“バケツの中に○○○を入れて土をかけていく”・・・たったそれだけの原理である。(デザインなどの見てくれ問題は後から考えた。)
大便の堆肥化は、すぐに出来た。
大便も生ごみと考えれば、すぐに処理方法は思いつく。
生ごみ処理と同じ方法でクリアーできると確信していたが、正解だった。(大腸菌などの病原菌の増殖防止のためには、初期発酵を一気に進めることが重要である)
だが、尿の処理だけは思いつかない。頭が痛かった。
で、尿だけは水洗便所に流していた。
先のカナダ製のコンポストトイレは糞尿一体型なので、メーカーは「それほど臭わない」とは言っていても、屋内で使う分には少なからず臭ってしまうだろう。こいつはいただけない。
それに、デザインがダサイ。(後に糞尿分離式型のコンポストトイレなるものについて、フィンランドやノルウェーでは普及していることを知ったが、当時は知らなかった)
尿をどう処理しよう?
「庭仕事ひろば」のサイトでは、穴を掘って、そこに朽木や炭を入れてその上から尿を浸透処理するようなことを書いていたが、これから住もうと考えているところは山の中の一軒屋ではない。もしもそのようなことをしていると、近隣から苦情が出るだろう。それに法的にどうかという心配もあった。
ということは、大便を堆肥にするにしても尿だけは便壷に溜めて、汲み取り依頼するしかないのか。
汲み取り料金は一人あたり1ヶ月900円もする。(×人数分だ。役場は世帯の住民票から徴収費を割り出す)
こいつはいただけない。何しろ私は大阪のBオバチャンなのだ。
何かいい方法はないのか?
で、いろいろ調べているうちに、尿が肥料になると知った。
私は、大便が肥料分を含むと知っていたが、「尿は草にかけると枯れる」と思い込んでおり、肥料になるとはちっとも気付いていなかった。が、何と希釈すればかなりよい肥料になるという記事を発見した。
一気に気持ちが明るくなり、次々調べて行った。
で、糞尿分離型コンポストトイレ開発にいそしみ始めた。
が、所詮素人。
手に入る資材で作ると、どうしても不細工なものにしかならなかった。
じょうごを使ってホースからポリタンクに尿を集める、植木鉢の穴から尿を分離する。←これらはかなりのアクロバット的スタイルで用を足すことが強いられた。
いくら開放系技術・開放素材と言っても、あまりにダサいのは嫌~!!
じゃあ、こんなのはどうだ?
大きなバケツの中にざる状の容器を入れ、その上から用を足し、ざるからの自然落下水分のみバケツに溜まるようにして、それを蒸発させる。←これは、やはり臭い。その上、建築確認申請チェックマニュアルの文面から推察するに、仮に建築確認申請は通ったとしても、完了検査ではパスしないかもしれないことが予想された。(便壷は、防水資材で外部から隔離されている必要があると規定されている)
仕方ない。
かくなる上は市販品はないのか、あるならそれでいこう。
が、国内で家庭用の糞尿分離型コンポストトイレを販売しているところはなく、輸入すると恐ろしく高額になってしまうことが分かった。
ようするに糞尿分離型の便器開発に、私は挫折したのである。
で、考えた。
「大便用は自作して、尿用に汲み取りトイレを設置しよう。それを汲み取り依頼せず自家処理すればいいのだ。」
かくして、ピストル付きの簡易水洗トイレ(水代の節約)を施主支給で購入し、ホームセンターで13500円の特売の農業用タンクを購入して尿用便壷にすると決めた。これなら、10万円あれば充分にお釣りが来る上に臭いもない!
が、大便用と小便用、トイレが二つになってしまうじゃないか!! 場所をとる。
でも、まあ~、それも仕方ないか。
歳をとって農業が出来なくなった時のために逃げ道を残しておこう・・・。
我が家の青少年達が私の死後家を引き継いだ時、私のような暮らしをするか分からないし、彼らのためにも逃げ道を残しておこう・・・。
日和見思考(いや、現実的思考?)が私の気持ちを揺らつかせた。
だが、内心はどうしても納得しきれない。
建築基準法上は、簡易水洗トイレもコンポストトイレも“汲み取り”扱いなので、とりあえず「汲み取り便所」として建築確認申請しておいたが、最後の最後まで設計士にも語ることなく、一人うんうんうんうん唸りながら道を探り続けることになった。
自作しても不細工なものにしかならない、それに完了検査でパスしないような代物になってしまうかもしれない。NOAの設計士には絶対迷惑をかけられないし・・・。 う、う、う・・・。
七転八倒、四面楚歌。
そうこうするうち、Greenlyの山本ちづこさんから、「糞尿分離型コンポストトイレの開発に成功し、販売にこぎつけた」との連絡をいただいた。
初期製品なので、改良の余地は絶対にあるとは思っていた。が、これも色んな面でのネットワークを拡げるための何かの縁、多少高くてもええかあ~。モニターとして引き受けてみよか~。
で、購入したコンポストトイレが、完了検査の時のブログに掲載したステンレス製のコンポストトイレである。
改良点は以下の通り
①見てくれが悪い。
②緊急用栓や尿用ホースなどの取り付け方に工夫がいる。
③ハエの紛れ込み防止の工夫(現時点では使用者が工夫しなければならない)
④高い(初期費用が約20万円)
こういった環境を意識した商品は家計に対してはエコではないことが多い。
費用面での改善は絶対クリアーしないことには普及は望めない、つまり環境改善のための劇的パワーにはならない。そのためには、購買意欲をそそるようなデザイン上の工夫をして量産化し、コストダウンを図るしかない。
フランスの農村で使用されているコンポストトイレなど、糞尿一体型ではあっても非常に見栄えがいい。訳の分からん建築基準法だの完了検査だの、「建築の自由」が阻まれることのないエリアや家に居住、もしくは確信的違法建築の道を突き進もうと考えている御仁にとっては選択肢のひとつだと思う。
EMPREINTE
http://www.habitat-ecologique.org/enquete.php
茨城県では、このタイプのトイレできちんと建築確認申請を通した人がいる。
水洗トイレ普及エリアでは水洗トイレしか認められていないので、いったん水洗トイレを設置した上で、新たにこれを設置する必要がある。←めんどうなんだ、とっても。北海道のとあるバイオトイレ製作会社なんて、自社の新築の際、バイオトイレで建築確認申請を出したが建築確認が下りず、「社員は隣の他社のトイレを借りますから」というアクロバット的方便で建築確認をやっと通せたというなんとも矛盾した話がある。住居建築の場合は、キッチンとトイレについては他所から借りるという方便では通用しない確率が高い。私の隣の家には屋外トイレがあり、私の家から10メートルしか離れていない。「これを借りるということで建築確認を取って、自作バイオトイレの道もありだ!」隣家の了承を得たものの、高槻市に問い合わせたところ、「トイレを他所から借りるという住居は認められません。」とあっさり言われた。
寝太郎さんからコメントがあったので、とりあえずトイレのことを書いたのだが、ここに来て、はたとまたもや閃いた。
籾殻や葉っぱに吸い込ませた尿はコンポストでいちいち堆肥化するのではなく、一気に燃やしてしまえばいいじゃん!!
で、燃やした後の灰を肥料として畑に撒けばいいのだ!!
尿はリンを多量に含むそうだから、炎の色は青白いかな?
面白そう。
早速実験しなくっちゃ!!