kasaruの今日も有り難う

僧侶歴46年。講演依頼受付中
サルコイドーシス・バセドウ病の旦那
岡山へ就職長男23歳
アペール症候群次男19歳

お別れに当たり

2009-11-20 | Weblog
今日の空は何処までも晴れ渡り、

冬支度をするには絶好のお天気です。

夕べの寒空を心配したUさんが太陽を連れてきたのかもしれません。

私たちだけではなく

この空の何処かで、愛する人とお別れをしている人たちがいるのですね。

そんな私たちを温かく包み込んでくれる 柔らかな太陽です。


寺に生まれたからかもしれませんが、

私は教わった教義を信じています。

臨終のその時、諸仏・諸菩薩をはじめ大勢の御先祖様を従えて、

阿弥陀様が「大丈夫だよ」と寄り添って下さるということ。

一人で心細い思いを受け止め、送られるほうも、送るほうも、

どちらの心の中にも光を照らし導いて下さる尊い教えであるということ。



まだ今よりも若かりし頃は、

そんなことを言ってみても詭弁であり、在りもしない絵空事のように受け止めていました。

「死んでしまえば終わり」そんな話にも頷ける自分がいたのです。

しかし、多くの人たちのお別れとその後の生活を見守る毎に、

キチンとした自分なりの世界を持つことは、

大事なことだと感じ始めたのです。

漠然とした世界に憧れるのではなく、

自己満足なエゴの世界ではなく、みんなが一つになり解合える世界、

自分が常に戻れる確固たる世界を持つことこそが、

生きる上でも、いのち尽きた後も、自分と周りの人たちの生き方を

支えることにもなるのだと 今は胸を張って言えます。


その道を歩き始めたUさんの思いはきっと「南無阿弥陀仏」を共に頂くことで、

同じであったのだと思っています。


多くの人の心に笑顔と真情を残し、「有り難う」という花の種を蒔いて行ったUさん。

誰にも分け隔てなく接して下さったその姿は後生忘れることはありません。

また お会いするその日まで残された家族、そして関わった人々の側に寄り添い、

仏様と共に迷える私たちを導いてくださることと信じています。


「さよなら」は言いません。

「有り難う」でお別れです。

共にUさんの頂いた「南無阿弥陀仏」の灯明は受け継がれて生きます。

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