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碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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佐藤二朗のハマり役 「ひきこもり先生シーズン2」で見せる完全没入の圧巻演技

2022年12月22日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

佐藤二朗のハマり役

NHK「ひきこもり先生シーズン2」で見せる

完全没入の圧巻演技

 

あの男が帰ってきた。

ひきこもり歴11年のメタボ中年、上嶋陽平(佐藤二朗)だ。NHK土曜ドラマ「ひきこもり先生シーズン2」である。

かつて陽平は梅谷中学校の不登校クラスで非常勤講師を務めていた。生徒は家庭の事情も本人の性格も異なるが、「不登校の問題は命の問題」という点で共通していた。

2年ぶりの学校だが、校内の空気は以前よりも重い。不登校クラスの生徒へのいじめも横行している。

そんな中で起きたのがホームレス襲撃事件だ。陽平が副担任をサポートする3年A組の生徒、松田篤人(寺田心)がその現場にいた。

篤人は寝たきりの母親(高橋由美子)の面倒を見る、ヤングケアラー。心の中に鬱屈をため込んでいた。

生徒たちは表面的にはおとなしい。教師の指示にも素直に従う。周囲から浮くことを恐れ、自分の意見や気持ちを口にしないのだ。問題を抱えていても、「大丈夫」としか言わない。そんな姿が実にリアルだ。

陽平自身も精神的に不安定な元ひきこもりだ。だからこそ生徒たちが抱える苦しさが分かる。彼らの気持ちに“共振”することができる。それが救いとなっていく。

佐藤が見せる、完全没入の演技は圧巻。「鎌倉殿の13人」の比企能員にも負けないハマり役だ。

前作は全5話だったが、今回は2話完結で今週末の後編で終わってしまう。見逃すことなかれ!

(日刊ゲンダイ「テレビ 見るべきものは!!」2022.12.21)


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