碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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見ないのはもったいない、クドカンドラマ「ごめんね青春!」

2014年11月13日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評



日刊ゲンダイに連載している「TV見るべきものは!!」。

今週は、ドラマ「ごめんね青春!」(TBS)について書きました。


「わかるヤツ、ついてこい!」こそが
クドカンドラマの真骨頂

NHK朝ドラ「あまちゃん」の終了から1年。脚本家・工藤官九郎の新作「ごめんね青春!」(TBS)が登場した。

舞台は静岡県三島市にあるという仏教系男子高とミッション系女子高だ。片や偏差値ガタガタの汗臭い男子生徒たち。片や才色兼備だけど一筋縄ではいかない女子生徒たち。

この2校が隣同士で、しかも女子高の経営難から合併話が浮上する。試験的な共学クラスを担当する教員は、男子高OBの錦戸亮と女子高OGの満島ひかりだ。

さてクドカンの脚本だが、NHKでも朝ドラでもなく、国民的ドラマを求められているわけでもないので、見事なまでにノーテンキな笑いに徹している。生徒も先生も「バカだねえ」と苦笑いするエピソードの連続。

もちろん得意の小ネタも満載で、特に錦戸の父親である風間杜夫や校長の生瀬勝久などが嬉々として演じている。

確かに視聴率は高くない。というか、元々クドカンドラマは万人向けとは言えないのだ。

それは「池袋ウエストゲートパーク」も「木更津キャッツアイ」も同様で、世代を超えた幅広い支持を受けることを狙っていない。むしろ「わかるヤツ、ついてこい!」という暴走こそが真骨頂であり、だからこその魅力なのだ。

クドカンテイストに溢れたこのドラマ、オトナの男も見ないでいるのはもったいない。

(日刊ゲンダイ 2014.11.12)