「女性セブン」の最新号に、「マッサン」の人気と今後の展開に関する特集記事が掲載されました。
この中で、解説しています。
以下は私のコメント部分なので、記事全体は、ぜひ本誌をご覧ください。
またネタバレ有りのため、ご注意を(笑)。
「マッサン」未来事件簿10
人気の理由をメディア論が専門の上智大学文学部教授、碓井広義氏が言う。
「これは夫婦の物語でありながらNHKでかつて人気を博した『プロジェクトX』のようでもある。竹鶴政孝とサントリーの創始者・鳥井信治郎(ドラマでは鴨居欣次郎)など、ウイスキー造りに熱心に取り組む男たちを描き、サラリーマンも好むようなドキュメンタリー要素があるのです」
●大阪から広島の実家へ
ある日、大阪にいるマッサンとエリーの元に実家の亀山酒造から「チチキトク、スグ、カヘレ」と伝言が届く。血相を変えて広島に向かうマッサンとエリーだが――
「この電報をきっかけに舞台が勤務先の大阪から実家のある広島に戻ります。そこでマッサンに新たな”ライバル”が登場するなど広島でのドタバタ劇が再び始まるのです」(碓井さん)
●マッサンの母とエリーの和解
マッサンはウイスキー造りに対する熱意を取り戻し、もう一度大阪に戻ってイチからやり直す決意をするという。
そして、結婚にあれだけ反対していた早苗がエリーと和解するという。
「『エリーさんは妾にして日本人の本妻をもらえばいい』などと意地悪な発言を連発した姑の態度がどう変わっていくのかは見所です。あれだけ強烈な姑を演じた泉ピン子さんがどう和解を表現するか、楽しみですね。またエリーはマッサンのお姉さんの猛特訓で“ある料理”が作れるようになるんです。その料理を完成させる姿に若い日の自分を重ねてしまうベテラン主婦の方は多いのではないでしょうか」
(碓井さん)
●マッサンの独立
その頃から、竹鶴は鳥井のウイスキー造りに対して疑問を抱くようになっていたといわれているのだが・・。
「壽屋(現サントリー)の工場長を務めた竹鶴が独立し、大日本果汁(現ニッカウヰスキー)を起業する重要なシーンです。マッサンのウイスキー造りを支援してきた鴨居に後ろ足で砂をかけるように出て行ったのか、それとも鴨居がマッサンを生かし切れなかったのか、マッサンは鴨居にどう義理立てをしたのか。仲違いするふたりをドラマでどう描くのか注目したいところです」(碓井さん)
●ニッカウヰスキー出荷後の苦労
しかし時は第二次世界大戦直前。出荷直後に酒は「価格統制品」になってしまう。また、「奢侈品等製造販売制限規制」によってウイスキーの製造販売自体も制約を受けることになる。しかし、これは竹鶴にとって不幸なことではなかった。
「せっかく念願のウイスキーができたのに、戦争でウイスキーを自由に出荷できない。ですが、これは竹鶴にとっては大きな商機になりました。それはなぜか。ドラマでマッサンが謎解きをしてくれるはずです」(碓井さん)
●エリーの死
愛し合う合うふたりにも必ず別れの日がやってくる。気になる結末だが、史実は衝撃的だ。
「リタは竹鶴を残し先に亡くなってしまうのです。あまりのショックで、竹鶴は2日間部屋から出てこなかったというエピソードが残されています。ドラマでもマッサンがエリーを見送ることになると思いますが、エリーの死は大きな見せ場となるでしょう」(碓井さん)
(女性セブン 2014.11.20号)