『日刊ゲンダイ』の連載コラム「テレビとはナンだ!」。
本日分(30日付け)で、NHKの音楽番組「タビうた」について書いた。
タイトル:
「タビうた」は手間暇をかけた贅沢な音楽番組
本文:
番組タイトルは、旅をしながら歌うから「タビうた」(NHK)。
「人気アーティスト」が2組出演する。しかも「地方ロケ」中心だ。
たとえば夏川りみと秋川雅史が北海道の富良野・美瑛へ。岩崎宏美と平原綾香で長崎といった具合。
さらに、「屋外で歌う」という、音楽番組にとって一番面倒なことをやっている。
24日は水谷豊といきものがかりで横浜だった。
いきものがかりの3人が、デビュー前から応援してくれた地元FM局を訪ね、大黒埠頭で歌う。
水谷はなじみのバーに立ち寄り、汽車道で歌う。“場所のチカラ”が加わるためか、歌い手のテンションが高いのが分かる。
NHKにはかつて「ふたりのビッグショー」という番組があった。
93年から10年続いて終わってしまったが、司会者は置かず2人の歌手だけで進行する点が「タビうた」に似ている。
しかし、あちらはホールでの収録であり、歌手の組み合わせも演歌やシャンソンなどジャンルでくくっていた。
「タビうた」は「ふたりのビッグショー」の旅版ともいえるが、制作上の手間と予算はこちらのほうが大きい。
この番組の良さは、単なる“新曲のプロモーション大会”ではないこと。
「SONGS」同様、アーティストと制作側による「視聴者に音楽をどう届けるか」の共同プロジェクトといえる。
ゼイタクな音楽番組なのだ。