7月3日、熱海の土石流災害の映像を見た瞬間、あの10年前の東日本大震災の津波の映像と重なってしまいました。アアッ!という言葉しか出ませんでした。
思えば、昨年の熊本の水害も同じ頃。昨日その1年目の追悼式が確かテレビで放映されていましたが…。
俳句に「半夏生(はんげしょう)」という時候の季語があります。二十四節気七十二候の一つで、「半夏」は半夏草、即ち烏柄杓(からすびしゃく)のことで、この草が生え始める頃という意味です。陽暦では7月2日頃で、今年の半夏生も7月2日でした。この頃はまだ梅雨が明けていないので雨が多く、この日にはさまざまな禁忌があって、物忌みをする風習なども古来からありました。また、この日の雨を「半夏雨」といって、これが降ると大雨が続くと、昔から恐れられていたものです。
先を読むことの空しさ半夏雨 佐藤鬼房
作者鬼房(さとうおにふさ)については、wikipediaをお借りして…
1919年~2002年、82歳で死去。岩手県釜石市出身の俳人。本名は喜太郎。現・塩釜市立第一小学校を卒業。10代からロシア文学を耽読する一方で俳句に目覚め、1935年より新興俳句系の「句と評論」に投句、渡辺白泉の選句を受ける。1936年より長谷川天更の「東南風」同人。1940年、徴兵により入隊、中国・南方に転戦。なお占領地の南京でそれまで面識のなかった鈴木六林男に出会っている。
戦後は西東三鬼に師事し、「青天」「雷光」「梟の会」などに参加。1953年「風」同人。1954年、第3回現代俳句協会賞受賞。1955年、「天狼」同人。のち「頂点」「海程」にも参加した。1985年、宮城県塩竃市で「小熊座」を創刊、主宰。1989年、『半跏坐』で第5回詩歌文学館賞、1993年『瀬頭』で第27回蛇笏賞受賞。……(中略)……新興俳句から「権威というものに対するエネルギッシュな抵抗」を感得したと語り(『俳句研究』1947年)、戦後は社会性俳句の代表的作家として活躍。陸奥に根ざした風土性・土俗性、人間性への意志的な眼差しを特徴とし、戦争の記憶や神話などもモチーフとした。
さて、上掲の句、ここに描かれているのは「半夏雨」のみ。後の上五中七は言わば理屈です。ここで〈先を読む〉というのは、自分の前途や将来がどうなるかと予測するということ、または大きく日本のこれからがどうなるかということともとれます。要するに見通しが利くかということなんでしょうが、普通は先が読める人などは〝先見の明〟があるなどといって賢い人のことを言いますよね。しかし、そういう人はなかなかいませんから、普通の人には「難しい」ことだと思うのです。ところが鬼房はそういわず、〈空しさ〉と言っているんです。そこに彼の考え方や生き様が投影されているような気がします。もしかしたら、鬼房は先を読みすぎてそれが裏目に出た経験があるのかも…ね。
この句が、何年頃の、鬼房が何歳の時に詠まれたものか分かりませんでしたので、はっきりとは言えませんが、もし戦後のまだ日本の情勢が混沌としている頃だとすれば、今後どう世の中が転んでいくのか、全く見通しの利かない時代に、〈先を読むこと〉は、ある意味まるで〝捕らぬ狸の皮算用〟よろしく、はかなくも空しいものに思えたのではないのかとも考えられます。
そういえば、この鬼房の〈先を読む空しさ〉は、まるで今の先の読めないコロナ禍の時代にぴったりな感じがしませんか。あの世から鬼房さんも見ていらっしゃるかしら?
この天からの雨だってなければ困りますが、これがいつ災厄に変化するかは分かりません。特に最近の地球温暖化での異常気象は全く先が読めないことが多いんですから。昔の農家の人たちが先の天候を読むことなどは、当時では非常に難しかったでしょう。だから人々は昔からの言い伝えなどを信じ、それを守って少しでも災難を逃れようと、日々注意を怠ることなく敬虔に暮したのではないでしょうか。
しかし、天災が襲ってきた時にはもう為す術はありません。これは今も昔も同じです!昨年の熊本も今年の熱海も、ちょうど〝半夏雨〟の頃だったのですから。あの東日本大震災の時もよく聞きましたが、私たちは先人の残してくれた教訓というものを、もっともっと心から真摯に受け止めて、行動しなくてはいけませんよということかも。
ところで、この〝半夏雨〟については、私の過去のブログ(2019年7月3日〝半夏雨?〟)に書いていますので、よろしかったら読んでみて下さい。
https://blog.goo.ne.jp/kanekuti3515/preview20?eid=6395d24edc9aaf3a399851e486e598b9&t=1625677946444
ちなみに、「半夏生」といって、ドクダミ科ハンゲショウ属の臭気のある多年草があります。同じ頃に咲く花ですので、よく間違いますが、これは「半夏生草(はんげしょうそう)」とするか「片白草(かたしろぐさ)」と詠みましょう。
写真は、先日の阿弥陀寺で撮ったもの。烏柄杓も半夏生草も我家にあるのですが、今年は草を刈った後で皆小さくて…それで烏柄杓はお借りしました。ゴメンナサイ!
私も、土石流の映像を見ながら、津波映像と重なりました。
うちの辺りは、あのような箇所はないのですが、
あれだけの雨量ですと、川の氾濫が怖いです。
本当に災害の多い国ですね。先を読む事なんて誰も出来ないと思います。
コロナ禍でのオリンピックも、恐ろしいものがあります・・・
大雨で被害が出る度に…ただ胸がつぶれる思いです。
今まで私の関係で被害に遭ったことが誰もありませんので、もしそういう状況に遭遇したとしたら、こんな暢気なことは書いておられないのではと思います。
どんなに心が痛んだとしてもそれはやはり他人事なんですね。
過去ブログのURLをコピーして貼り付けたんだけど、…ダメみたいですね。
以前やり方を教えて貰ったかしら?だったらもう忘れているのよね。
困ったもんです!
故郷というのは何時までも忘れられないものですね。拝読して勉強させて貰っています。
先を読むことの空しさ半夏雨 佐藤鬼房
裏覚えでした。釜石の俳人 同郷の人でした。
少し勉強したいと思います。
熱海の土石流 映像に心が張り裂けそうになります。あの3.11 と重なります。
なんとなく見ていた半夏生 半夏雨・・そういう
意味があったのですね。
今日は初めてのワクチに 又お邪魔します。
コメント初めてですよね。ありがとうございます。
三浦っ子さんも釜石の出身ならあの東日本大震災に遭って被災されたお身内の方がいらっしゃるのでは?
心が張り裂けそうになるというお気持ちよく分ります。全く関係のない私でさえそう思うのですから。
俳句をされているのですね。私のつたないブログが参考になるのでしたらアリガタイコト!
こちらの方がお礼言わなくっちゃ!読んで頂いてと…
ワクチンの接種いかがでしたか?
まだ2回目があるでしょうから、気をつけて下さいね。
多分 二度目です (笑)
ちわき先生の名前 間違えてごめんなさい。
俳句勉強してから数年 新聞に投句が唯一の楽しみで掲載に一喜一憂。
先生のコラムを見つけてから必ず読んでおります。
お優しいご家族関係・・素敵なお方と尊敬の念で一杯でございます。
年甲斐もなく心配していたワクチン 杞憂に終わ
りました。有難うございました。
編集画面∞のマークをクリックしてURLを入力する又はそのまま、検索にコピーしてもいいと思います。
https://blog.goo.ne.jp/kanekuti3515/preview20?eid=6395d24edc9aaf3a399851e486e598b9&t=1625469366093
を試してみたのですが2019年7月3日〝半夏雨”は出てこないようです。previewでなく投稿のコピーで,間違っていたらごめんなさい。災害の多い昨今、先人の知恵・教訓は忘れずにですね。
KM
編集画面∞のマークをクリックしてURLを入力する又はそのまま、検索にコピーしてもいいと思います。
https://blog.goo.ne.jp/kanekuti3515/preview20?eid=6395d24edc9aaf3a399851e486e598b9&t=1625469366093
を試してみたのですが2019年7月3日〝半夏雨”は出てこないようです。previewでなく投稿のコピーで,間違っていたらごめんなさい。災害の多い昨今、先人の知恵・教訓は忘れずにですね。
KM
名前はよく間違われますので気にしないでね。〝ちわき〟の方が珍しいですから。
自分の作品が活字になると嬉しいでしょう。俳句はせっかく作ったのならやっぱり誰かに見て貰いたい…そして評価してもらいたいと思うものです。
初めて字を書いて先生に見せたら〇を貰って嬉しいのと同じ…そうやって上達していくものです。
一喜一憂できるというのがいいのですよ。
ワクチンは2回目がヒドいという人もいますから気をつけて!
出来ました!
以前出来たので、ブロ友さんに教えてあげたのに…いつも使わないとすぐに忘れるんですね。
これが年を取った証拠ですもの…更に昔覚えたものはまだマシですが、こういうPCの操作などというものはさっぱり。何度教えて貰っても…哀しいかな!脳に刻まれません。
これからもよろしくお願いしますね。