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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

街とその不確かな壁

2023-05-10 19:01:08 | 村上春樹

村上春樹 二〇二三年四月 新潮社
村上春樹の新しい長篇小説が出るって、なんかで目にして、発売日にはさっさと買いにいったさ、4月13日だったかな。
そしたら、その日の朝のテレビ報道で、タイトルが『街とその不確かな壁』って言ってたのを聞いて、ちょっと驚いた。
それって、あれじゃん、第3作でしょ、文藝誌に発表はしたけど、その後、本としては出版されてないやつ。
村上龍との対談『ウォーク・ドント・ラン』において、
>龍 ブローティガンに会ったら、いいにくいこというんですよ。ぼくが、二作目書いたよ、っていったら、彼がいうのね。要するに、二作目は一作目で修得した技術とイマジネーションで書ける。「きみ、問題は三作目だよ」って(笑)。
>春樹 あ、それは、ぼくも非常によくわかる。こないだ、まあ短いものだけど順番からいくと三作目というのを書いたんですよ。『街とその不確かな壁』っていう題です。一作目と二作目は関連してるけど、三作目でがらっと変えたの。いいか悪いか自分でもわからないわけ。とにかく、変えなきゃいけないという意識が起こったんですよ。(略)(『ウォーク・ドント・ラン』p.50-51)
とか、
>龍 表地と裏地みたいな関係が、常に作家にはあると思うのですよ。(略)で、ぼくは『ピンボール』と『風の歌』と、『街とその不確かな壁』でしたっけ、あれはね、おそらく対なはずの作品じゃないかと思うわけ。(略)ぼくは裏地としての『街とその不確かな壁』の続篇とかね、あれに類するものをもっともっと書いたほうがいいと思うんですよね(略)
>春樹 ぼくはいまの予定では『壁』の話を少し作り変えてね、あれにコラージュみたいな、そういうものいっぱいくっつけて、それでまとめたいなという気はあるんです。(略)(同p.105-106)
とかって、語られてて、読んだことないもんだから、気になってたんだが。
それが一層気になることにはさー、どこで読んだんだったか(何に書いてあったんだろ?)、その作品は、私がこの世でいちばん面白いと思ってる小説のひとつである『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』の元になってるっていうんだよね、そりゃ気になる。
(ほんと、その情報の出展なんだっけ? たしか村上さんが「『世界の終り~』は自伝的小説だ」みたいなこと言ってたと思うんだけど。)
でも、なんだかんだ、そのうち、なんかの形で収録されて本として出るだろ(だって、出版社は商売商売だろうから)って思ってたら、ぜんぜん出てこない。
待ってたら、30年以上が経ってしまった。
(ほんと、最近、こうやって長い年月が経過したのを振り返ってみたりすると、死なないでいられてよかったな、なんてふうに思ってしまう、人間いつ死んぢゃうかわかんないからねえというトシに達してるから。)
それが出るっていうんだから、驚いてばかりいるんぢゃなくて、読まなきゃなんないぢゃない。
原型を知らないんで、どこまでのどれが(たとえば『ノルウェイの森』のあたまが『蛍』であるように)元々のものかはわかんないんだけど、まあ読んでみたら、なるほど「世界の終り」でした、壁に囲まれた、一角獣のいる街に、夢読みとしてやってきてしまった「私」が出てくる。
村上作品の初期のものらしく、主人公が名前をもってるけど名前で呼ばれたり名乗ったりしないままで物語は進んでく。
っつーことで、出版されたばっかの新しいものに関する常として、あまり細かな話の筋にかかわるようなことは、とりあえず今ここでは書きません。


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