村上春樹 2020年7月 文藝春秋
先月18日に村上さんの新しい短編集が出るときいてて、当日忘れて一日だけ遅れたけど、さっさと買ってさっさと読んだ。
最初の三つ、「石のまくらに」「クリーム」「チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ」は、二年前に雑誌掲載されたとき読んださ。
あとは去年から今年にやっぱ「文學界」に発表されたもの四つと、書き下ろしが一つ。
特徴的なのは、どれも「僕」として作家・村上春樹らしき主人公を立てた形式で、リアルっぽくて、村上さん特有のフィクションからちょっと離れたとこかな。
だから、羊男もやみくろも氷男も出てこないで、一周まわって伝統的な日本の小説に戻したかって感じ。
・ウィズ・ザ・ビートルズ With the Beatles
高校の廊下で「ウィズ・ザ・ビートルズ」ってレコードかかえた女生徒とすれ違うところから話はじまるけど、主題はその女の子ではなく、当時「僕」とつきあってた女の子のお兄さんと会ったことのほう。
・「ヤクルト・スワローズ詩集」
『夢で会いましょう』でおなじみの「ヤクルト・スワローズ詩集」なんだが、村上さんが東京移住とともにヤクルトファンになり、神宮球場で観戦しながらつくった詩集を刊行するに至った話。
・謝肉祭(Carnaval)
「謝肉祭」ってのは、私は知らないんだけど、シューマンのピアノ曲だそうで。友人の紹介で知り合った女性と、無人島に持っていくただひとつのピアノ音楽をあげるとしたら、それだってことで同意して、いろいろ聴き比べたりした話。
・品川猿の告白
あ、やっぱ、この作品にだけいましたね、羊男的・村上さん想像の産物の登場キャラ。群馬県で出会った、前は品川区で飼われてて今は温泉宿で働いている人の言葉を話す猿の話。
・一人称単数
ふだんスーツを着ることはないけど、クローゼットを点検するとスーツ着てネクタイしめることも試してみたくなる。そうやって着てみると、せっかくなんで一人で街に出てみようかって気になり、知らないバーに入った話。
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