片岡たまき 二〇二三年三月 ちくま文庫版
サブタイトルは「ボスと私の40年」、単行本は2014年だって。
これは先月なかばころだったか、書店で積んであるのみて、買ってみた、すでに二刷。
著者はRCの元マネージャーで、本書読むと、最初は衣装係だったらしい。
中学生のときRCのファンになって、聴いたり観たりしてるだけにとどまらず、なんとか働きたいと思いつづけて所属事務所に連絡とったりして、とうとう就職したっていうんだから熱意がすごいね。
しかし、マネージャーとか衣装とかってよりも、あの『忌野旅日記』の構成をやったひとだっていうんで、それがいちばん読んでみたくなったとこかもしれない。
『忌野旅日記』のあとがきの最後んとこみたら、
>そして、俺の友人、知人に関するうわごとを、いつも楽しそうに聞いてくれて、文章にしてくれたゴースト・ライターのたまきにも、とても感謝している。彼女はあきれるくらいEセンスをしてると思うね。彼女になら、俺は何だって話しちゃうよ。
って、ちゃんと書いてあった。
で、本書には、1982年ころのRCのツアーにスタッフとして同行していろいろ仕事したこととか、やがてRCが休止状態になったときのこと、そのあと一時離れていたがまた2003年のツアーから手伝いを始めたときのこと、そして2009年のおわかれまで、いろいろ書いてあります。
1986年ドイツへ行ったときの、
>清志郎は部屋を出るときには、枕元に「ヒトハタウサギ」のイラスト入りで「寸志」、そしてドイツ語と日本語で「どうもありがとう」と書いた紙の上にチップを置いていた。(p.137)
とか、2003年に清志郎から聞いたという、
>ツーリングで行った高原のレストランの壁に飾ってあった長ーい角笛、いったいどんな音が出るのだろうと、内緒で吹いたら、なんと大きな音が出ちゃって、お店の人が驚いてすっ飛んでやってきた。怒られるかと思いきや、「この笛の音を初めて聴いた」と逆に喜ばれた話。(p.211)
とかってエピソード、私は好きだなあ。
あと、1987年にソロアルバムつくってツアーをやったときに、レコーディングしたイギリスのバンドメンバーたちの自己主張に感化されたキヨシローが、
>「伝わろうが伝わるまいが、自分のことを主張しないとダメなんだよな」(P.141)
って言ったって話も、なんかいいなあ。
章立ては以下のとおり。文庫化にあたって「ボーナストラック」として、2015年にリンコさんにインタビューしたときのことが収録されたんだけど、そのなかで八王子のある場所でリンコさんが「ここが『スローバラード』の駐車場だよ」って連れてってくれたってのが驚き、ホントにあったんだ、市営グランドの駐車場。
プロローグ――ステージ衣装
第一章 理解者
私の好きなおにいさん
ちいさな冒険
初めてのライブ
『シングル・マン』の衝撃
ライブハウス
最前列
成人
爆発
第二章 開かれた扉
就職活動
とまらないツアー
極上の一瞬
第三章 舞台袖
即出
ビデオ鑑賞会
バラの花束
マネージャー就任
プラッシー
天職
失敗
第四章 パンドラの箱
禁断の果実
来日公演
彼女の笑顔
からすの赤ちゃん
高圧電線
発表中止
明星即席ラーメンのうた
放送禁止
第五章 ロックン・ロール・ショーはもう終わりだ
空中分解
カオス
清志郎とチャボ
無期限活動休止
第六章 サヨナラはしない
青い空
ピンチヒッター
エロ本
ナンバーワン
ベストドレッサー
7足のブーツ
顔写真
幸せ者
終章 お別れは突然やってきた
あふれる涙
位牌
ボーナストラック
リンコさん
エピローグ――忌野清志郎ランドの日々
ちくま文庫版エピローグ――ラスト・ショウ
もうひとつのボーナストラックをあなたに 竹中直人
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