ゲームホリック

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高次に行くための単純化

2010年02月10日 | ゲーム
パナソニック 3Dテレビ 4月発売(東京新聞)
パナソニックは九日、三次元立体(3D)対応の薄型テレビとブルーレイディスク(BD)レコーダー・プレーヤーを四月二十三日に発売すると発表した。フルハイビジョン画質の家庭用3Dテレビの発売は世界で初めて。今年は目の前まで飛び出す映像を家庭で楽しむ「3Dテレビ元年」といわれており、他社に先駆けて市場に投入することで新市場の主導権を握る狙いだ。
(上記リンクより一部引用)


アナログ時代の技術的蓄積が効果的では無くなってきたデジタルテレビにおいて、家庭用テレビの新たな高付加価値化の一環としての3Dテレビの注目度は高いようです。劇場用映画『アバター』の世界的大ヒットもこの高付加価値化の流れをメーカーは期待しているようです。

PCでは既に3Dモニター、対応ソフトがリリースされ、家庭用ゲーム機でもPS3はいち早くファームウェアでの3Dテレビへの対応を表明、Xbox360でもソフトレベルでは既に3Dテレビ対応ソフトがリリースされています。一方でWiiは慎重な対応を見せています。

新たな表現として、低価格化に抗うための新しい高付加価値商品として期待されている側面がある一方で、3D環境のハードルの高さ(3Dモニター40万円以上、対応プレイヤー10万円以上、3Dゴーグル1台1万円以上)もあって家電メーカーもパナソニック、ソニー以外は静観の様子です。


こういう状況の中で面白かったのは伊集院光さんのtwitterでのつぶやき。

伊集院光(HikaruIjyuin)on Twitter
わくわくして待ったものの、しばらくしていろいろ気づ、ふーん、に。映像が画期的に進化すると、それについて行くために、システムって言うかゲーム性って言うかが少し退化、簡素化する。RT @abigor192 ゲームのグラフィックがドット絵から3Dになった時はどんな感想を持ちました?
(上記リンクより引用)

これは3Dポリゴンが導入された当時の伊集院さんの感想なのですが、3Dポリゴンの感想以上に新しい技術の導入によってシステムが簡素化されるという感想を述べていることです。これは『アバター』にも言われていることで、3Dの凄さを賞賛する一方で、物語の陳腐さに対して不満は散見されます。


ゲームに限って振り返ってみても、2Dの情報量が強化されたファミコン→スーパーファミコンには見られなかった簡素化、単純化が新しい技術が登場した際には確かに良く見られました。


スーパーファミコンが内容的にかなり複雑に極まっていたのに、PSやSSのロンチ時のソフトはレースゲームや格闘ゲームなど、システム的にはかなり単純化されたものが多かったです。また新しい技術である3Dポリゴンの使用を回避するようなゲーム作りをするものが多く、3Dポリゴンをゲームの中で有用に活かすソフト、『スーパーマリオ64』や『バイオハザード』の登場には数年の時間がかかりました。

またバーチャルボーイのロンチ時のソフトを振り返ってみても、立体的に見せることが出来る技術が売りであったにも関わらず、『マリオズテニス』や『とびだせボンバーマン』などリリースされたソフトのほぼ全てが2Dのゲームを立体的に翻案しただけのものでした。立体的な映像をゲーム性にまで絡み合わせたのは3Dシューティングの『レッドアラーム』しかなく、結局それ以降ソフトが続かず早期の生産終了に追い込まれました。


一方PS2に次ぐ、据え置き機であるWiiも商業的には大成功を収めている一方で体感型ゲームという特徴を、ゲーム性に絡めて昇華できているのかは疑問であったりします。ロンチ時のソフト、『Wiiスポーツ』など、幅広いユーザー層に向けたと言うこともあるのでしょうが、「振る」という新しい技術、文法を単純に既存のゲーム性に載せただけでしたし、それ以降も大きな進展はありませんでした。というよりもリモコンに縛られWiiのゲームは単純性に縛られている印象です。

Xbox360の注目の技術であるNatalにも同じことが言えます。E3でのコンセプト映像では高度なゲームをNatalで再現したり、既存のゲームのNatal対応を表明していました。しかしながらその後の技術デモではそれはスカッシュのようなものと『バーンナウトパラダイス』(レースゲーム)に限られています。想定されていたFPSや既存のゲームへの対応は今のところ確認されては居ません。ただNatalの場合はWiiとは異なり技術的な問題の方がその原因のようではありますが。

SCEのEYEトーイも同様でした。カメラでユーザーの動きを計測する画像認識技術の一環でしたが、WiiやNatal同様かなり大雑把な内容のゲーム(画面に映った敵をやっつける、簡易的に画を描くなど)でしかありませんでした。大きく身体的に動く必要があり小さな住居では難しい問題があり、ヨーロッパ・北米ではミリオンヒットを記録したものの、日本では様々なローカライズタイトルまで発売されたものの、全てと言って良いほど多くのソフトが売れずにワゴンの肥やしとなってしまいました。

Wiiの大ヒットの一方で明らかになったことの1つにコントローラの優位性がありました。リモコンを振り回すというゲームスタイルは大きな身体性を伴っていました。基本的には立ってテレビに向かい腕も上げている必要がったのです。正にスポーツであり、ゲームではありませんでした。だからこそWiiリモコンを有用に使った新規のゲーム性は未だ成されず、多くの既存のゲームもリモコンの横持ちスタイルが一般的です。この身体性の問題はWiiに限らず、NatalやSCEのアーク、3Dモニタにも共通する課題です。

要は気安くその体験を楽しめないと言うことです。もちろんWiiは、ある意味でシステム的な限界から、座って少しの振りの動作でもプレイ出来ますがそれでは本末転倒です。3Dモニタにしてもその疲労を訴えるユーザーは多いようです。Natalにしても技術でもで見せられるスカッシュのようなゲームは確かに技術的には凄そうですが、直ぐに疲れそうで必ずしも面白そうには見えず、レースゲームにしても滑稽さを称えており、従来のステアリングコントローラに優位性があるように感じられます。(宮本茂さんの発言参照)


新しい表現・技術を導入する時にはシステムや物語の単純化など、一概にはデメリットと呼べないまでも、システムの深化・複雑化、物語の高度化などと言った観点から見れば非常にデメリットも多いわけです。新しい技術を広めるにはそういったデメリットを超えるメリットと環境の容易さが欠かせないのかもしれません。

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