その昔、17歳の犯罪がクローズアップされていた時。その犯罪を誘発したとしてテレビゲームが槍玉にあがった。やれ「テレビゲームのバーチャルリアリティと現実との区別が付かなくなっている」だとかそういったステレオタイプな論調が幅を利かせていた。今でこそそう簡単な論調にはなっていないが、若年層のやんちゃでない人物によって犯罪が引き起こされたときなどはたまにそういった論調を目にした。
しかしながら、しかしながらである。ここで大きな疑問が私には湧く。果たしてテレビゲームの提供している所謂バーチャルリアリティとは現実と区別が出来ないものなのか。断言できる。残念ながら今現在のテレビゲームは現実と区別することが誰にでも容易な極めて陳腐なバーチャルリアリティと言わざるを得ない状況である。
それはただ視覚的なことに限られない。今のゲームはあまりにゲーム的過ぎる。そのゲームでかなえられる欲求は短絡的で、そして極めて原始的な欲求を充足させることのみにしか注力をしてはいない。そこには現実世界のようなやるせないことは無く、ましてや絶望など、「物語」としては有り得てもユーザーの実際として知覚できるようなものは唯の一つも存在しない。
そんな陳腐なゲームで、どのよう現実と履き違えることが出来るのか。彼の現実と言うものはドラゴンや魔王を倒したり、戦争に行ったり宇宙人と戦ったり、女の子と恋愛しているような破天荒な現実か。否であろうことは疑いようも無い。