本当に今更ですが、今更になってようやく積んでいた『ペルソナ4』を再開しました。確かに人を選ぶ、特に『ペルソナ』や『ペルソナ2罪』・『罰』なんかのいわゆる金子さんベースのシリーズ旧作好きな人などは、ところはありますが、ゲームやアニメなどのオタクサブカルに少しでも耐性があれば、また無かったとしても十分に琴線に引っかかる場所が多数ある抜群の完成度があると思います。
まずやはり目を引くのが、ゲーム全体を通して一貫しているビジュアルデザインの質の高さです。一部人を選ぶところはあるとは思いますが、スタート画面からイベントでもステータス画面に戦闘など全てのシーンで一貫して統一された”イエロー”をベースカラーとした簡潔で、極めて視覚的、合理的なインターフェースデザインがゲームへの没入を促してくれます。
設定も寂れた地方都市を舞台とし、都会と田舎、大型スーパーと商店街との対立といった現実の社会問題をも物語りに活かしています。田舎の閉鎖性といった負の部分からのアプローチを行うなど作劇に関しても非常にこれまでのRPG、むしろビデオゲーム全般、には無いアグレッシブなものがあります。自我の問題など青春期に特有な悩みを”敵”として設定する妙もメインユーザーを考えても、設定の整合性を考えても、極めて合理的で洗練されていると思います。
各キャラクターの”キャラ立て”も素晴らしいと思います。主人公こそ『ペルソナ』伝統な無口で喋らない『ドラクエ』以来の没個性型ですが、主人公を取り巻く登場人物は主人公クラスからサブキャラクターまで極めて網羅的で、いわゆる”キャラクター”の類型のほとんどが当てはめられているというバラエティに富んだ豪華なラインナップです。そういった類型のキャラクターにバックグラウンドを与え、物語的な充足を得る一方でキャラクター造詣にも必要十分な奥行きを与えています。
またメインキャラクターから名前も無いサブキャラクターまで、発する台詞の生々しさに高校生として、地方都市にくらす住人としてのリアリティを表現しているところにも驚かされました。商業家庭用ゲームとしてはというエクスキューズは必要かもしれませんが、その台詞も読むに耐えないようなものではなく、進行意欲を持たせるに十分な筆力の台詞ばかりで長いデモやRPG的なお使いをそれほど退屈なものにさせていません。
加えて声優さんたちの芝居がキャラクターに絶妙な表情を与えていて、これもまた物語への没入を促してくれます。フルボイスでこそ無いのですが、主要イベントはフルボイスで進められ、サブイベントでは押さえるところは押さえた効果的なボイス演出を行っているのでボイスが無い部分もそれほど気になりません。
RPGにおいて肝心の戦闘ですが、多くのRPGのようなランダムエンカウントでの戦闘ではなく、『ロマンシングサガ』シリーズで有名な接触式エンカウントでの戦闘になっています。異常な高エンカウント率などランダムエンカウントの弊害を避けつつも、必要十分な敵をリリースしています。バランスもよほど十分以上のレベルに達していない限り、キャラクターと敵の属性の相性次第では苦戦してしまう可能性もざらにあるような心地よい緊張を課す戦闘バランスです。SP(いわゆるMP)回復のコストが高い(特に序盤は)ために絶妙なバランスが戦闘に生まれています。
またパラメータも普通のRPGと比べると、基本的には防御力と回避率、攻撃力と命中率の4種類のみと少ないですが、これらに関しても武器や防具を装備する際にしか表示されず、ステータス画面では所持ペルソナやスキル(”魔法”のようなもの)程しか表示されません。ユーザーには見えないところではパラメータは走ってはいるのでしょうが、不可視化されているようで不要な複雑を回避させています。
あと凄いのがCERO規制のかわし方です。本作はCERO”B”指定で12歳以上推奨を審査を通ってます。B指定ですが、スーパーファミコン時代の古き良きゲームを髣髴とさせる良い性的なモノの隠蔽の仕方をしていて、普通”B”では難しい水着表現はもちろん入浴や果ては飲酒行為(擬似だけれど)や同性愛表現?、性行為?を言葉の端々、表現や演出の隅々に潜ませつつも見事に回避している点は凄いとしか言いようが無いです。
性的表現ばかりではなく、暴力的表現に関しても直接的な描写こそ避けていますが猟奇的な印象を与えることに成功しており、また少年犯罪、ここでは殺人、といったかなりナイーブな問題にまで手を広げながらも主なユーザーでありそうな中学生以上を対象とすることを可能にしているように思います。巧みな言い回しや暗喩の活用、映像表現によって、性的表現や暴力表現を可能な限り保つことに成功しています。
惜しむらくはパッケージデザインの凡庸さとダンジョンのデザインでしょうか。ゲーム内の洗練を思考したインターフェースデザインと比して、ベースカラーの”イエロー”を用いているものの、デザイン的な強さはあまり感じられず”普通”のゲーム然としています。多くのユーザーを狙うためには仕方が無い選択だったとは思いますが、やはりトータルで見ると残念です。またダンジョンのデザインはそれぞれのキャラクターの個性を反映させた個性的なダンジョンですが、やはり敵キャラクターの造詣の面白さや新奇性と比すと些か”普通”な印象です。
ただこんな不満はとても些細な問題です。個々のクリエーターの力はもちろんだと思いますが、作品全体をこのレベルで纏め上げられるプロデューサーさんの力が凄いというか。『3』をプレイしていないからこんな印象なのかもしれないですが、凄いです。作りの隙の無さに感動すら覚えました。特に僕がファンタジーなノリの物語設定が苦手ということもあるのでしょうが。
PSPで『ペルソナ(仮)』とのアナウンスがなされています。移植にしても新作にしても、このチームでの新作であることを期待します。
まずやはり目を引くのが、ゲーム全体を通して一貫しているビジュアルデザインの質の高さです。一部人を選ぶところはあるとは思いますが、スタート画面からイベントでもステータス画面に戦闘など全てのシーンで一貫して統一された”イエロー”をベースカラーとした簡潔で、極めて視覚的、合理的なインターフェースデザインがゲームへの没入を促してくれます。
設定も寂れた地方都市を舞台とし、都会と田舎、大型スーパーと商店街との対立といった現実の社会問題をも物語りに活かしています。田舎の閉鎖性といった負の部分からのアプローチを行うなど作劇に関しても非常にこれまでのRPG、むしろビデオゲーム全般、には無いアグレッシブなものがあります。自我の問題など青春期に特有な悩みを”敵”として設定する妙もメインユーザーを考えても、設定の整合性を考えても、極めて合理的で洗練されていると思います。
各キャラクターの”キャラ立て”も素晴らしいと思います。主人公こそ『ペルソナ』伝統な無口で喋らない『ドラクエ』以来の没個性型ですが、主人公を取り巻く登場人物は主人公クラスからサブキャラクターまで極めて網羅的で、いわゆる”キャラクター”の類型のほとんどが当てはめられているというバラエティに富んだ豪華なラインナップです。そういった類型のキャラクターにバックグラウンドを与え、物語的な充足を得る一方でキャラクター造詣にも必要十分な奥行きを与えています。
またメインキャラクターから名前も無いサブキャラクターまで、発する台詞の生々しさに高校生として、地方都市にくらす住人としてのリアリティを表現しているところにも驚かされました。商業家庭用ゲームとしてはというエクスキューズは必要かもしれませんが、その台詞も読むに耐えないようなものではなく、進行意欲を持たせるに十分な筆力の台詞ばかりで長いデモやRPG的なお使いをそれほど退屈なものにさせていません。
加えて声優さんたちの芝居がキャラクターに絶妙な表情を与えていて、これもまた物語への没入を促してくれます。フルボイスでこそ無いのですが、主要イベントはフルボイスで進められ、サブイベントでは押さえるところは押さえた効果的なボイス演出を行っているのでボイスが無い部分もそれほど気になりません。
RPGにおいて肝心の戦闘ですが、多くのRPGのようなランダムエンカウントでの戦闘ではなく、『ロマンシングサガ』シリーズで有名な接触式エンカウントでの戦闘になっています。異常な高エンカウント率などランダムエンカウントの弊害を避けつつも、必要十分な敵をリリースしています。バランスもよほど十分以上のレベルに達していない限り、キャラクターと敵の属性の相性次第では苦戦してしまう可能性もざらにあるような心地よい緊張を課す戦闘バランスです。SP(いわゆるMP)回復のコストが高い(特に序盤は)ために絶妙なバランスが戦闘に生まれています。
またパラメータも普通のRPGと比べると、基本的には防御力と回避率、攻撃力と命中率の4種類のみと少ないですが、これらに関しても武器や防具を装備する際にしか表示されず、ステータス画面では所持ペルソナやスキル(”魔法”のようなもの)程しか表示されません。ユーザーには見えないところではパラメータは走ってはいるのでしょうが、不可視化されているようで不要な複雑を回避させています。
あと凄いのがCERO規制のかわし方です。本作はCERO”B”指定で12歳以上推奨を審査を通ってます。B指定ですが、スーパーファミコン時代の古き良きゲームを髣髴とさせる良い性的なモノの隠蔽の仕方をしていて、普通”B”では難しい水着表現はもちろん入浴や果ては飲酒行為(擬似だけれど)や同性愛表現?、性行為?を言葉の端々、表現や演出の隅々に潜ませつつも見事に回避している点は凄いとしか言いようが無いです。
性的表現ばかりではなく、暴力的表現に関しても直接的な描写こそ避けていますが猟奇的な印象を与えることに成功しており、また少年犯罪、ここでは殺人、といったかなりナイーブな問題にまで手を広げながらも主なユーザーでありそうな中学生以上を対象とすることを可能にしているように思います。巧みな言い回しや暗喩の活用、映像表現によって、性的表現や暴力表現を可能な限り保つことに成功しています。
惜しむらくはパッケージデザインの凡庸さとダンジョンのデザインでしょうか。ゲーム内の洗練を思考したインターフェースデザインと比して、ベースカラーの”イエロー”を用いているものの、デザイン的な強さはあまり感じられず”普通”のゲーム然としています。多くのユーザーを狙うためには仕方が無い選択だったとは思いますが、やはりトータルで見ると残念です。またダンジョンのデザインはそれぞれのキャラクターの個性を反映させた個性的なダンジョンですが、やはり敵キャラクターの造詣の面白さや新奇性と比すと些か”普通”な印象です。
ただこんな不満はとても些細な問題です。個々のクリエーターの力はもちろんだと思いますが、作品全体をこのレベルで纏め上げられるプロデューサーさんの力が凄いというか。『3』をプレイしていないからこんな印象なのかもしれないですが、凄いです。作りの隙の無さに感動すら覚えました。特に僕がファンタジーなノリの物語設定が苦手ということもあるのでしょうが。
PSPで『ペルソナ(仮)』とのアナウンスがなされています。移植にしても新作にしても、このチームでの新作であることを期待します。