ゲームホリック

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ICOコレクション別売り問題

2010年09月17日 | ゲーム
国内外のファンが歓喜したSCEチームICOのPS2時代の過去作品2作、『ICO』と『ワンダと巨像』のPS3でのHDリメイクが発表されましたが、その販売方法が欧米と日本で異なったものになったことで、日本国内では一部で不満が生まれているようです。


○通称『ICO』コレクション発表
Ico and Shadow of the Colossus Collection hits PS3 Spring 2011 with 3D(PS Blog.us)
データ1
欧米では『ICO』と『Shadow of the Colossus』(『ワンダと巨像』の欧米タイトル)のHDリメイク作品は『Ico and Shadow of the Colossus Collection』として発表されました。

一方で日本では。
『人喰いの大鷲トリコ』『ワンダと巨像』『ICO』GATEWAY(SCE)
データ1
海外では国内ではセットで販売されていたものの、日本国内では別々のタイトルとして発表されました。

この販売方法の違いに対して国内では、「日本のユーザーを搾取する気だ!」とか「ソニーは日本のユーザーを舐めている!」といった個別販売に対して否定的な意見が目立ちます。


○HDコレクション
PS3でPS2ソフトをHDリメイクする所謂「HDコレクション」の歴史は浅く、今年発売されたPS3のキラータイトル、『ゴッド・オブ・ウォーⅢ』の販売促進の一環としてPS2ソフト『ゴッド・オブ・ウォー』、『ゴッド・オブ・ウォーⅡ』がHD化されPS3でリリースされました。その後、『怪盗スライ・クーパーコレクション』と『ICOコレクション』がアナウンスされています。日本国外ではハードの販売を押し上げるキラーソフトであり、販売本数が多いことは知られていますが、日本ではどうだったのでしょうか。

○売り上げ比較
ゴッド・オブ・ウォー検索結果(テレビゲームソフト累計売り上げデータベース)
このデータベースによると、『ゴッド・オブ・ウォー』シリーズの売り上げはそれぞれ以下のようになっています。

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○PS2
 ・『ゴッド・オブ・ウォー(カプコレ)』2.940円  2万1201本
 ・『ゴッド・オブ・ウォー(ベストプライス!)』2.090円 3万1752本
 ・『ゴッド・オブ・ウォーII 終焉への序曲』7.140円 3万6854本

○PS3
 ・『ゴッド・オブ・ウォー コレクション』4.990円 3万3456本
 ・『ゴッド・オブ・ウォー トリロジー』 9.800円 1万6453本
 ・『ゴッド・オブ・ウォーIII』 5.980円 8万8956本
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国内版『1』の売り上げは分からなかったのですが、売り上げが少なかった割りに評価が高かったので中古価格が高騰してしまい、その結果「カプコレ」でリリースされた経緯を考えると1万本も出ていないんじゃないでしょうか(推測)。こうやって冷静に見てみると、確かにユーザー数は増えていそうですが、”Z指定”というネガティブ要素はあるものの10万は居ないということになります。

カプコレ版で無印のころから比べるとそれなりに知名度を上げましたが、所詮は洋ゲーのスキンヘッドのおっさん主演のアクションゲーム。

ではICOチームの作品群はどうか。

「ワンダと巨像」初週で「ICO」の累計に迫る(忍之閻魔帳)
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ちなみに「ICO」はベスト版込みの累計では20万本に迫っている。
(上記記事より一部引用)
 ・『ICO』(ベスト版込み) 約20万本
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ワンダと巨像検索結果(テレビゲームソフト累計売り上げデータベース)
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 ・『ワンダと巨像』 7.140円 19万0916本
 ・『ワンダと巨像(PlayStation2 the Best)』 2.800円 2万5736本
  ※2010年の再廉価版の枚数は含まず
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こう見ると、ICOチームの作品はおおむね20万人のユーザー層が居ることが伺えます。『GoW』シリーズの2倍以上のユーザーが居ることになります。ちなみにもう1作のHDコレクションタイトル、『怪盗スライ・クーパーコレクション』ですが、1作目の『怪盗スライ・クーパー』は3万3332本。日本では『2』まで出ましたが、『3』は日本では発売されませんでした。


○『GoW』シリーズと『ICO』シリーズの違い
見てきたようにこの2シリーズは売り上げの面で2倍以上の違いがあります。でももっと違うのはそれぞれのゲームが持つ特徴です。『GoW』がコアゲーマー向けの”ゲーム的なゲーム”であり、そのユーザー層の中心は今のところはコアゲーマー層としか想定は出来ません。実際、日本では8万人あまりにしか届きませんでした。

一方で『ICO』シリーズはHUD(画面表示)の廃止、低減やアイテム装備やレベルといった概念が無い”ゲーム的でないゲーム”だったことが評価されました。またそれだけではなく、クリエーターの上田文人さんの描く独特な詩的で、哲学的な世界観がコアゲーマーを中心に評価されたゲームです。コアゲーマー向けの『GoW』の2倍以上のユーザーに届いています。

まぁ、無理やりな結論かもしれませんが、『GoW』はあくまでコアユーザー向けのゲームでしかなく、『ICO』はコアユーザー以外にもアピール出来ていた可能性があると言うことです。ぼくの妄想でしょうか。


○『ICO』のライトユーザーへの可能性
ではソニー側はどう考えているのか、ライトユーザーへのアピールとはぼくだけの妄想なのか。その答えと言うか、ヒントみたいなことを当のクリエーター、上田さんが今回のブリーフィングで発言しているような気もします。

SCEのサプライズ発表総まとめ【TGS2010】(ファミ通.com)
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「『ICO』と『ワンダと巨像』で培った技術とアイデアを『人喰いの大鷲トリコ』に注ぎ込んでいます。あんまりゲームになじみないユーザーにもプレイしてもらえるような作品として鋭意開発中です」と抱負を語った。
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との上田さんの発言。少なくとも『トリコ』についてはライトユーザーを狙っているようです。思えば『ICO』のCMとか雰囲気は悪くなかったけど、貪欲にゲーム情報を集めるようなコアゲーマー以外には訴求しなさそうなCMでした。

<参考動画>
―『ICO』テレビCM15秒バージョン(Youtube)


今回日本の『ICOコレクション』(別々だけど)と『トリコ』のホームページは個々の作品に跳べるトリロジーなホームページを既に用意しています。このホームページでは『ICO』と『ワンダ』ばかりではなく、最新作である『人喰いの大鷲トリコ』まで統合されています。ここにSCEJのこの3作品にかけるやる気や本気を感じ取ってしまうぼくは夢想しているだけなんでしょうか。今回はライトユーザーを本気で取りに行くつもりじゃ…


○『ICOコレクション』が日本だけ別々販売になった理由(妄想)
と、今まで見てきたようにぼくはSCEJが今回『ICO』と『ワンダ』、そして『トリコ』を本気で売ろうと考えているのではないかと思っています。多くの人に知られていない状況で、多くの人に受け入れられる可能性があるゲームがセットとして売られたら…おそらくそのゲームを知っている人以外はよほどのことが無い限り、手に取らない、買わないでしょう。

けれども、SCEJがここの作品の魅力をライトユーザーに正しく伝えることが出来たら、そして個別の作品としてならば、これまでの20万人以上の人たちが手にとって、買ってくれるかもしれません。ライトユーザーの重要性とその可能性は任天堂にさかのぼらずとも(というか、あれはゲームであってゲームではない!)とも、『龍が如く』シリーズを見れば明らかです。あれはコアゲーマーと男性のライトユーザーが支持した結果、大きくなりました。

今回の別売りの判断はSCEJがライトユーザーを狙おうとした結果なんだと良い様に考えています。


(追記)
可能性を秘めたる大作『人喰いの大鷲トリコ』上田文人ディレクターにインタビュー(電撃オンライン)
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――『ICO』と『ワンダ』は同時に発売されるのでしょうか?

 別々での発売を予定しています。これは、すでにどちらかのタイトルのみを持ってるユーザーを考慮してのことですね。
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と言うことみたいだったようで。終了~