オンタリオ湖に臨む小さな街、カナダのオークビル。そこでホームステイをしていた大阪の高校生一行は、4月28-30日に、オタワへ小旅行をする。
5月5日には、トロントにあるブルージェイズの本拠地ロジャース・センターでメジャーリーグの試合を観戦。その日の夜に生徒一人が発熱を訴える。6日に、現地の病院で診察を受けるが、彼と仲の良い二人の生徒、さらに、病院へ付き添った教師一人も発熱。そして、7-8日に全員が帰国。
この4人が、日本初の新型インフル感染者となった。
感染ルートについては、トロントでの野球観戦時ではないかとの推測がある。また、オタワへの2泊3日の旅行中との見方も出ている。
確かに、トロントは、人種構成が多様なうえに、旅行者の行き来も活発で、感染者もカナダでは多い都市である。ロジャース・センターが感染場所になったとしても、不思議ではない。
しかし、午後に球場で感染して、その日夜に発熱というのは、発症が早すぎる。
また、滞在先のオークビルは、トロントの南西20kmに位置するベッドタウンである。この街の人々は、近郊大都市のトロントに、日常的に行くはずである。
もちろん、交流相手の高校の生徒たちも、ロジャース・センターで野球を観たり、トロント市内で食事や買い物をするだろう。
もし、この高校生のように、一度行っただけで感染するのなら、オークビルも含めて、トロント周辺の高校では、感染者が続出して、閉鎖される学校があってもおかしくないが、そういう話は、今になっても聞こえてこない。
一方、オタワへの小旅行で感染したのなら、潜伏期間は5日から7日。
あり得ない長さではないが、通常は、1日から4日と言われているので、長すぎる印象は否めない。
しかも、少なくとも、6日に発症した教員は、5日に発症した生徒から感染した可能性が高く、その潜伏期間は、1日である。
もし、トロントでもオタワでもなければ、彼は、どこで感染したのだろう?
オークビルの高校生があまり行かないところで、かつ、多くのひとが行き交い、感染の可能性が高い場所。そして、潜伏期間が妥当な範囲に入るところ。
一つ該当する場所がある。
野球観戦の前日、5月4日に訪れた、ナイアガラの滝である。
アメリカとカナダの国境に位置する、この一大観光スポットには、両国から大勢の観光客がやって来るが、地元の高校生が頻繁に行く場所ではなさそうだ。
東京の女子高生が、毎週のように渋谷へ遊びに行っても、東京タワーには、滅多に上らないのと同じである(笑)。
ナイアガラの滝には、多くのアトラクションがあり、観光船、滝に降りるエレベーター、展望塔、レストランやゲームコーナー、おみやげ物店など、狭い空間に多人数がひしめき合う場所が多い。
そして何より、国境は簡単に行き来ができるので、カナダとアメリカの旅行者が混ざり合う。
つまり、カナダの中のアメリカみたいなもので、そこでの感染確率は、感染者数が安定しているカナダだけではなく、急増しているアメリカの影響も受けてしまう。
アメリカでの感染者割合が数千分の一くらいまで上昇しているなら、一日の観光客数を考えると、アメリカ人観光客の中に、十人くらいのキャリアが居てもおかしくはない。そして、国境を越えて、カナダ側に集中している観光施設内で、かなり長時間、過ごしていた可能性も否定出来ない。
ナイアガラの滝は、高校生の全行程中、感染する確率が最も高い場所かもしれない。
さらに、ここで高校生が感染したならば、潜伏期間は1日となり、教師と同じという意味でも妥当な長さである。
ただ、滝を訪れたアメリカ人観光客が感染源だった場合、後日、アメリカで患者として感染確認されても、カナダ保健当局による感染ルート追跡は難しくなる。
感染ルートを特定出来ず、漠然と、カナダは危ないという雰囲気が広がるのだとしたら、とても残念なことだ。
ところで、いま、海外への研修旅行や修学旅行を延期・中止する学校が増えているらしい。
ナイアガラの滝に限らず、感染者が急増してる地域の大都市や、その地域内にある巨大観光地へ行くのは、警戒した方がいい。
しかし、そういった場所にさえ注意を払えば、旅行そのものを取り止める必要はないと思う。
随分前から準備してきた旅行である。そして、なにより、高校生活は一度しかない。延期しても、このインフルエンザが、秋・冬に大流行したら、それこそ行けなくなって、若いときの貴重な出会いや経験を、逃してしまう。
「安心・安全」や「社会への迷惑」にこだわり過ぎて、大事なものまで、何もかも放棄してしまうのは、合理的ではないし、愚かしいことである。
日本全体が、防護服とマスクに身を固めて、ゴーグル越しに世界を眺めるのは、もう少し状況を見てからでも遅くはないだろう。
5月5日には、トロントにあるブルージェイズの本拠地ロジャース・センターでメジャーリーグの試合を観戦。その日の夜に生徒一人が発熱を訴える。6日に、現地の病院で診察を受けるが、彼と仲の良い二人の生徒、さらに、病院へ付き添った教師一人も発熱。そして、7-8日に全員が帰国。
この4人が、日本初の新型インフル感染者となった。
感染ルートについては、トロントでの野球観戦時ではないかとの推測がある。また、オタワへの2泊3日の旅行中との見方も出ている。
確かに、トロントは、人種構成が多様なうえに、旅行者の行き来も活発で、感染者もカナダでは多い都市である。ロジャース・センターが感染場所になったとしても、不思議ではない。
しかし、午後に球場で感染して、その日夜に発熱というのは、発症が早すぎる。
また、滞在先のオークビルは、トロントの南西20kmに位置するベッドタウンである。この街の人々は、近郊大都市のトロントに、日常的に行くはずである。
もちろん、交流相手の高校の生徒たちも、ロジャース・センターで野球を観たり、トロント市内で食事や買い物をするだろう。
もし、この高校生のように、一度行っただけで感染するのなら、オークビルも含めて、トロント周辺の高校では、感染者が続出して、閉鎖される学校があってもおかしくないが、そういう話は、今になっても聞こえてこない。
一方、オタワへの小旅行で感染したのなら、潜伏期間は5日から7日。
あり得ない長さではないが、通常は、1日から4日と言われているので、長すぎる印象は否めない。
しかも、少なくとも、6日に発症した教員は、5日に発症した生徒から感染した可能性が高く、その潜伏期間は、1日である。
もし、トロントでもオタワでもなければ、彼は、どこで感染したのだろう?
オークビルの高校生があまり行かないところで、かつ、多くのひとが行き交い、感染の可能性が高い場所。そして、潜伏期間が妥当な範囲に入るところ。
一つ該当する場所がある。
野球観戦の前日、5月4日に訪れた、ナイアガラの滝である。
アメリカとカナダの国境に位置する、この一大観光スポットには、両国から大勢の観光客がやって来るが、地元の高校生が頻繁に行く場所ではなさそうだ。
東京の女子高生が、毎週のように渋谷へ遊びに行っても、東京タワーには、滅多に上らないのと同じである(笑)。
ナイアガラの滝には、多くのアトラクションがあり、観光船、滝に降りるエレベーター、展望塔、レストランやゲームコーナー、おみやげ物店など、狭い空間に多人数がひしめき合う場所が多い。
そして何より、国境は簡単に行き来ができるので、カナダとアメリカの旅行者が混ざり合う。
つまり、カナダの中のアメリカみたいなもので、そこでの感染確率は、感染者数が安定しているカナダだけではなく、急増しているアメリカの影響も受けてしまう。
アメリカでの感染者割合が数千分の一くらいまで上昇しているなら、一日の観光客数を考えると、アメリカ人観光客の中に、十人くらいのキャリアが居てもおかしくはない。そして、国境を越えて、カナダ側に集中している観光施設内で、かなり長時間、過ごしていた可能性も否定出来ない。
ナイアガラの滝は、高校生の全行程中、感染する確率が最も高い場所かもしれない。
さらに、ここで高校生が感染したならば、潜伏期間は1日となり、教師と同じという意味でも妥当な長さである。
ただ、滝を訪れたアメリカ人観光客が感染源だった場合、後日、アメリカで患者として感染確認されても、カナダ保健当局による感染ルート追跡は難しくなる。
感染ルートを特定出来ず、漠然と、カナダは危ないという雰囲気が広がるのだとしたら、とても残念なことだ。
ところで、いま、海外への研修旅行や修学旅行を延期・中止する学校が増えているらしい。
ナイアガラの滝に限らず、感染者が急増してる地域の大都市や、その地域内にある巨大観光地へ行くのは、警戒した方がいい。
しかし、そういった場所にさえ注意を払えば、旅行そのものを取り止める必要はないと思う。
随分前から準備してきた旅行である。そして、なにより、高校生活は一度しかない。延期しても、このインフルエンザが、秋・冬に大流行したら、それこそ行けなくなって、若いときの貴重な出会いや経験を、逃してしまう。
「安心・安全」や「社会への迷惑」にこだわり過ぎて、大事なものまで、何もかも放棄してしまうのは、合理的ではないし、愚かしいことである。
日本全体が、防護服とマスクに身を固めて、ゴーグル越しに世界を眺めるのは、もう少し状況を見てからでも遅くはないだろう。