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ジャン・アレチボルトの冒険

ジャンルを問わず、思いついたことを、書いてみます。

感染力より重症度

2009-05-01 16:29:45 | Weblog
新型インフルエンザの感染者が、米国で、100人を突破した。世界的な感染拡大の一方で、メキシコを除く地域では、ほとんどが軽症患者であり、過剰な反応を戒める声も多い。

日本では、成田空港に到着したロサンゼルス発の航空機内で、乗客を何時間も待機させて検疫したり、カナダから帰国した高校生を、「感染疑い」で、事実上の隔離状態に置いている。

国内へのウイルス侵入と感染拡大を、何としても阻止しようという決意の表れである。

しかし、これらの措置が、「物々しすぎる」という印象を与えるのは、政府が想定していた「新型ウイルス」が、極めて致死率の高い鳥インフルエンザであり、「感染拡大=社会的パニック」という前提に基づいて、行動計画が作成されているからである。

実際には、今回発生した「H1N1 A」は、「感染=命の危険」というほどではない。

では、この新型インフルエンザは、どのくらいの毒性を持っているのだろうか?

この判定こそが、今後の対策の鍵を握っている。

5月1日付朝日新聞朝刊によると、米国では、現在109人の感染者が確認されていて、その内、1人が亡くなっている。ただ、この死亡例は、メキシコで感染した幼児なので、今のところは、108人感染で死亡ゼロと考えていい。

もし、致死率が1%であれば、この100人程度の感染者と、その背後の、病院に行っていない軽症患者を考えれば、そろそろ死亡例が出てもおかしくない。実際、重症の患者が出ているという情報も、未確認だが、あるようだ。

季節性インフルエンザの致死率は、0.1%以下らしいので、もし数日内に、アメリカで死亡例が出たとすれば、かなり危険なインフルエンザであるという可能性が出てくる。

一方、メキシコでは、感染が確定した死者は12人で、疑いを持たれている死亡例は、200人に迫っている。

しかし、かりに感染による死者が200人であっても、軽症者も含めた、メキシコでの全感染者数が20万人であれば、致死率0.1%で、季節性インフルエンザと大差ない。

メキシコの人口は、日本と同じくらいなので、20万人感染という数字は、決して多いということはない。実際、日本では、季節性インフルに1000万人が感染して、1万人が死亡すると言われている。

もちろん、今から、メキシコでの全感染者数を把握するのは、不可能なので、米国内の感染者数と重症例・死亡例の割合が、重要になってくる。

もし、米国での感染者が500人を越えて、それでも重症例・死亡例が出ないようであれば、比較的軽症で済むウイルスと見ていいかもしれない。

その場合は、日本での対策も、大規模イベントの中止といった、強い措置は必要ないだろう。

だが、重症例・死亡例が、今後頻繁に出てくるようであれば、考えなければならない。

いずれにしても、現時点では、この新型ウイルスが、どの程度危険なのか分からない。

派手な記者会見を打って、「水際」や「隔離」に血眼になるのも結構だが、政府は、海外での症例推移をしっかりと分析するべきだ。それは、地味ではあるが、本当に必要な努力である。

それにしても、舛添厚労相は、夜は寝た方がいいと思うな(笑)。

このウイルスとの闘いは、始まったばかりだ。十分な睡眠を取って、健全な判断力を維持するのが、一番大事である。

一人の患者も確認されていないのに、寝不足でカリカリして、横浜市長と喧嘩しているようでは、先が思いやられる。


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