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ジャン・アレチボルトの冒険

ジャンルを問わず、思いついたことを、書いてみます。

今の検察、当時の検察

2009-03-06 16:34:01 | 政治
「簡単に検察を動かせるなら私どもの元首相が逮捕されるなんてことはなかった。(検察批判は)常識を欠いたむちゃくちゃな発言だ」(MSN産経ニュース2009.3.6 00:07)

町村元官房長官の言葉であるが、町村氏は、小沢代表の秘書逮捕について、何が問題なのかを理解していないようだ。

人気のある野党党首に対して、選挙直前に、捜査のメスを入れることは、現職首相を逮捕するより、はるかに深刻で重大な問題をはらんでいる。

現職首相を逮捕・起訴する行為は、それ自体が検察の独立性を強くアピールしている。

ましてや、今太閤と言われたほど権力基盤の強かった田中角栄氏である。検察の独立性を疑う声は、少なかっただろう。

しかし、次期首相の可能性が高い、野党党首を捜査する場合、検察の独立性が厳しく問われるのは、当然のことである。

実際、独裁政権や長期政権の国で、有力な在野の対立候補に、警察・検察がさまざまな疑惑をかけ、捜査あるいは逮捕するのはよくあることだ。

従って、今回の逮捕において、「小沢氏の違法行為」と同時に、「検察の独立性」が問題にされるのは、むしろ健全な流れである。

新聞報道によると、東京地検は、違法献金が「悪質」かつ「巨額」であったので、小沢氏が捜査対象になったと主張している。

しかし、自民党には、地元への利益誘導と、その見返りとしての企業献金をセットにして、地盤を固め、選挙に勝ち抜いて大物になった議員が何人もいる。

その一人が小沢氏であるが、野に下った小沢氏が突出して「悪質」「巨額」で、与党自民党に残った議員は、みんなクリーンであるなど、誰が信じるだろう?

事実、西松建設からの献金ですら、自民党の大物代議士の名前が、次々に挙がってくる。権力中枢に極めて近い、これらの政治家が、「良質」「少額」を理由に立件されないのであれば、「検察の独立性」を疑われても、やむを得ないだろう。

さらに、時事通信(2009/03/06-00:25)によると、ある政府高官が、今回の違法献金事件の捜査は、自民党の議員にまでは拡大しない、と述べたそうである。

この発言が真実ならば、東京地検特捜部の捜査情報は、政府に流れていることになる。それほど政府と密着した組織が、政府から独立しているわけがない。

野党の議員を追及するなら、与党の議員についても、「良質」だろうが、「少額」だろうが、違法献金疑惑・違法会計処理疑惑があれば、きっちりと捜査して欲しい。

今回の件に限らず、そう考えている国民は、少なくないだろう。

例えば、元農水相の事務所費問題では、どう考えても不自然な会計処理にも関わらず、警察・検察は、ほとんど何のアクションも起こさなかった。

検察は、与党の大物議員や閣僚には甘い。

「検察の独立性」が疑問視される背景には、この国民の不信感がある。

ロッキード事件当時の検察は、現職首相を捜査することで、その不信感を吹き飛ばした。

今の検察は、次期首相の可能性が高い野党党首を捜査することで、不信感をさらに深めている。

当時の検察も今の検察も、同じ正義を目指している?

出来れば、そう信じたいものである(笑)。
コメント (2)
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政治弱体化の裏で

2009-03-05 16:14:11 | 政治
小沢代表の秘書逮捕によって、民主党が総選挙で勝って、政権交代を実現するというシナリオに狂いが出始めた。

麻生政権や自民党の支持率がぐんぐん上昇することも考えられず、政治が混迷の度合いを深めていくことだけは、決定的になってきた。

これは、国民にとって大きなマイナスだが、霞ヶ関の官僚たちにとっては、むしろ有り難い事態かもしれない。

特殊法人の整理、天下り・渡りの禁止、人事権の一元化、あるいは、政治主導の政権運営など、重要な政府改革は、軒並みお流れになってしまう可能性が高い。

こういった本質的な改革は、国民の支持を受けた内閣が、国会と強力に手を組んで進めなければ、到底達成できない。

既得権益と既得権力を手放すことになる官僚たちは、あらゆる手段を使って、妨害してくるだろう。

政権交代による、容赦のない政府改革を嫌った法務官僚が、それを阻止するために、民主党の小沢氏に的を絞った。

彼らは怒って否定するだろう。検察は独立していて、取り締まるべきものを、取り締まっているだけだと。

なるほど、そういう側面もあるかもしれない。

しかし、民主党による政権交代が、彼らを含めた高級官僚にとって、かなり厳しいシナリオであることも、また事実である。

麻生首相は、選挙に負けるのが嫌で、解散を先延ばしにしてきたが、その裏で、政治は弱体化の一途をたどり、与党自民党自体が、官僚を押さえ込むことが出来なくなってきている。

例えば、年金問題で、本当の意味で責任を取らされた、歴代の社保庁長官や厚生事務次官は、何人いるだろう?

人事院長官は、首相や閣僚に対して、なぜあのような横柄な態度を取れるのだろう?

このまま行けば、最悪の場合、議会制民主主義が瓦解して、日本は、官僚が好き勝手に国を動かす、官主国家になってしまう。そうなってしまうと、国会議員など、何の力も持たなくなる。

国民の支持を失った与党は、野党に政権を渡して、野に下る。

自民党は、官僚の力、数の力、そして「解散権」をなりふり構わず濫用して、政権にしがみつき、この憲政の常道を踏み外し続けてきた。その結果、政治は弱体化の一途をたどり、日本は、いま、民主主義か官主主義かという、重大な岐路に立たされている。

自民党は「敵失」を喜んでる場合じゃない。

政治の混迷をどう乗り切って、議会制民主主義を堅持していくのか。与野党の国会議員は、党派を越えて、知恵を絞るべきである。

官主主義とは、すなわち、ファシズムに他ならない。

それは、いつか来た道である。

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検察を、誰がチェックするのか?

2009-03-04 18:16:29 | 政治
小沢代表の秘書が逮捕されて、大騒ぎである。民主党幹部は「国策捜査」と批判。一方、東京地検は「政治的配慮はしない」。

かつて東京地検は、当時の政界のドン、金丸信自民党元副総裁の佐川急便からの巨額献金疑惑を、事情聴取なし、軽い罪状での在宅起訴で終結させた。結局、金丸氏は、五億円の献金を受けたのに、罰金20万円という判決だった。

こういう過去がある以上、東京地検が政治的配慮云々といっても、あまり説得力がない。

与党の大物だから大目に見て、野党の党首だから厳しく罰する?

失礼、悪い冗句だ(笑)。

だが、説得力がない背景には、説得力のある事実が存在する。

検察は政府法務省と密接に結びついている。政府から、高い独立性を保持しているとは、到底言えない。加えて、検察に対する、強制力を持ったチェック機構は、ほとんど存在しない。

誰を、いつ、どのような罪で起訴するのか。そして、誰を不起訴にするのか。

すべて検察の判断一つである。

今のところ、国民は、検察の正義をひたすら信頼するしかない。検察のトップを選挙で信任するような制度がないので、国民は、意見を表明する機会もない。

ところで、昨日の朝日新聞夕刊(3月3日14面)に、驚くべき記事が載っていた。

佐賀県で自転車を蛇行運転させた知的障害者が、佐賀署員五人によって取り押さえられ、その直後に死亡。遺族が、取り押さえた際の暴行によって死亡したとして、警察官たちを刑事告訴するも、佐賀地検は不起訴。

しかし、その後の「付審判請求」を佐賀地裁が認め、署員一人を審判に付すとのこと。

この裁判では、裁判所が選んだ弁護士が、検察官役を務めるそうである。

付審判請求は、滅多に認められないそうだが、検察の判断をチェックするという意味で、有意義な制度だと思う。

検察への不当な介入は排除すべきだが、正当なチェック機構がないと、かえって国民が検察を信頼しなくなる。それは、司法への信頼失墜とほぼ同義だ。

検察の正義を、誰がチェックするのか?

それとも、する必要はないのか?

今回の事件を機に、議論を深めてみてはどうだろう。

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WBC ~「魔の八回」が示すもの

2009-03-03 15:26:32 | Weblog
2月27日のブログ「WBC連覇への課題」に、日本代表の考えられる課題として、「先発型投手のセットアップと抑えへの適応」を挙げたが、先の対西武、対巨人の強化試合で、いずれも八回にそれが現実の問題となった。

西武戦では小松(オリックス)が三つの四死球と四安打で四失点。巨人戦では、岩田(阪神)が二安打、代わった涌井(西武)が一安打。本塁への好返球で失点は免れたものの、前夜に続いて「魔の八回」となった。

これら三投手は、間違いなく力のあるピッチャーだが、いつ登板するのか不明確な状態で、試合の終盤まで待たされることには慣れていない。

山口、馬原、藤川だけでは、終盤をしのぐ投手の数が足りなくなるので、先発型投手の誰かをセットアッパーとして固定するか、試合中盤からのロングリリーフという形を取るか、何らかの工夫が必要だろう。

一流のプロ野球選手は、ハイスペックの精密機械みたいなものだ。稼働するための環境を、十分に整えておかないと、力を発揮できない。いつでも、どんな場面でも、すぐに投げられる。それを先発型投手に要求するのは、酷というものである。

ダルビッシュにしても、イチローにしても、松坂にしても、超高性能であるが故に、細かい調整が不可欠で、時間が掛かるのだと思う

従って、第1ラウンドは、さながら調整ラウンドの様相を示すかもしれない。

しかし、WBCは短期決戦なので、決勝トーナメントに行く前に、調子が上がらず、ずるすると負けてしまったら、それで終わりである。とくに、第2ラウンドは、日本、韓国、キューバの中から、二チームが勝ち残る、過酷なラウンドになる可能性が高い。第1ラウンド終了までに、調整を終えなければ、優勝が遠のいていく。

サッカーのワールドカップでも、毎回毎回、ブラジルが優勝するわけじゃない。力のない国は勝てないけど、力があるからといって、必ず勝つわけでもない。

そして、力のある国が負けると、応援していた国民の落胆は、非常に大きい。力がない国の場合より、はるかに大きい。

結局、世界トップクラスの選手を集めたとしても、WBC連覇は簡単なことではなく、我々が深く落胆する可能性は小さくない、ということだ。

ただ、ベンチの拙い采配で負けるのだけは、勘弁してくれ。

頑張れ、ニッポン!

来週月曜、テレ朝「お試しかっ!」に、モー娘。道重さゆみが出演するようだ。いよいよバラエティ本格進出か?だとすれば、その方針は、大正解だと思う。

道重のバラエティ適応力は、思っている以上に高いぞ。

録画しなきゃ(笑)。

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