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ジャン・アレチボルトの冒険

ジャンルを問わず、思いついたことを、書いてみます。

WBC日本、課題の評価 (後編)

2009-03-28 10:56:25 | Weblog
1) ダルビッシュの復調
2) 先発型投手のセットアップ・抑えへの適応
3) 藤川の平常心を保ったピッチング
4) 村田のクレバーなバッティング
5) 原監督の冷静な采配

WBC開幕直前、2月27日付ブログで挙げた、上の五つの課題の評価を、前編に続いて、4番目から。

4) 村田のクレバーなバッティング A

第1ラウンドの韓国第二戦で、完封負けを喫したとき、バッター村田の中で、何かが変わったのかもしれない。

その後、第2ラウンドに入って、村田は、決して無理に引っ張らず、長打を狙わず、センターからライト方向へのヒットが多くなった。

実際、第2ラウンドの韓国第二戦で、村田が右太ももを負傷したときも、センター前にヒットを打った直後だった。

肉離れは、慣れないバッティングを続けたせいなのか?(笑)

実は、同じ変化が小笠原にも起こった。

最初の頃、力任せにバットを強振していた姿が、なりを潜め、内野の間をゴロで抜くような、ヒットが増えてきた。

この二人の変貌は、日本チームの得点力を、間違いなくアップさせた。

彼らは、ホームランや長打を豪快に放つ四番バッターから、試合に勝つためのヒットが打てる真の強打者に進化したと言えるだろう。

韓国を相手にした、大事な試合での完封負け。

それに続く、村田や小笠原の大味なバッティングへの厳しい批判。

そういう強烈な試練を経て、選手というのは、大きく変化し、成長していくものらしい。

彼らの、ペナントレースでの活躍が楽しみである。

5) 原監督の冷静な采配

これは項目別で評価。

[代表選考] B

最終メンバーの発表直後は、いろいろ賛否両論あったが、残った顔ぶれとしては、実績と実力に基づいて、ベストメンバーを選んだと言えるだろう。従って、A 評価をしたいのだけど、一つだけ、納得できないことがある。

というのも、巨人の亀井を大抜擢した意味が、未だに分からない。WBCを通して、ほとんど使わない、あるいは、使えないのなら、初めから、広島の栗原を連れて行った方が、はるかに意味があったのではないか。

結局、亀井は、重要な場面でチャンスを与えられることなく、終わってしまった。彼自身にとっても、国内のオープン戦に出ていた方が、調整という点で良かったと思う。

貴重な代表一枠を無駄にしたという批判を込めて、評価は B。

[投手起用法] A

岩隈を先発の柱にしたこと、杉内を中継ぎの要にしたこと、さらに、不安の残る藤川に代えて、ダルビッシュを抑えに抜擢したこと。以上は、評価できる決断だと思う。

さらに、試合途中の継投に関しても、球数制限や連投制限の結果でもあるが、それほど不思議に思う場面はなかった。

何と言っても、参加国中、最高のチーム防御率である。A 以外の評価は付けられない。

[スタメンの設定] C

相手投手の右左にこだわりすぎて、打順やスタメンが毎回変わる、落ち着かない打線になってしまった。そのため、出たり出なかったりの選手にとって、調子を上げるのが、難しかっただろう。

とくに、中国戦で使った「つなぐ四番」の稲葉を、韓国第一戦で、スタメンから、あっさりと外したのは、理解出来なかった。

続く韓国第二戦では、5番に起用されたが、左のポン・ジュングンに抑えられた。多くの打者がこの投手に手も足も出なかったが、稲葉だけは、第2ラウンドで出場機会をほとんど与えられず、そのうち、理由もなく「打撃不振」というレッテルを貼られてしまった。

これは、日本にとって、大きな戦力ダウンになった。

一方、村田と小笠原については、チャンスで凡退を繰り返しても、頑固に代えなかった。これは、彼らをバッターとして成長させたが、内川、川崎、片岡の出場機会を減らしたという側面もある。

すぐに下ろされる稲葉。絶対に下ろされない村田と小笠原。

「スモールベースボール」を謳いながらも、「やっぱり豪快なホームランを」という原監督の煩悩が、透けて見える起用法である。

さらに、決勝戦での四番城島という打順は、ひどい悪手である。こういった大舞台は、リードを任される捕手には、想像を絶する肉体的・心理的負担が掛かるはず。

そんな状態で、いきなり四番を任されて、さあ打ってくれと言われても、簡単に打てるものではない。城島は今まで通り、下位に置いて、リードに専念させるべきだった。

5打数ゼロ安打、2三振、1併殺が、この無茶ぶりの結果だ。

城島が不振というより、間違いなく、起用法が悪いのである。

[攻撃のパターン] B

足をからめた攻撃が、随所に見られて、それ自体は評価出来るが、ちぐはぐな感じを与える場面がいくつもあった。

例えば、キューバのカストロ前議長も指摘した、第1ラウンドの韓国第二戦。1点を追いかける8回裏、イチローを一塁において、一死から、当たっている中島に犠牲バントをさせた場面。

無死なら分かるが、一死で、走者がイチロー。エンドランでも、盗塁でも、とにかく仕掛ける好機だったと思う。

さらに、第2ラウンドのキューバ第一戦2回表。四球で出塁した小笠原、そして内川が、先発チャップマンのけん制で連続アウトという前代未聞の珍事が起こった。

単独盗塁なのか、ランエンドヒットか、どういうサインかは不明だが、間違いなく、拙い采配である。

ただ、大会が進むにつれて、青木、片岡、川崎といった、足のスペシャリストが、積極的な走塁を見せ始め、足を絡めた攻撃の形が、徐々に出来上がっていった感がある。

[守備陣容] A

守備については、日本代表のような混成チームの場合、青木、内川のレフト、片岡のショート、川崎のサードなど、慣れないポジションを受け持つのは、やむを得ない。

しかも、決勝戦で、内川が7番コ・ヨンミンのレフト前ヒットを、二塁への好返球で帳消しにしたように、むしろ上手くこなしていたと思う。

北京五輪でのGG佐藤のエラーを考えれば、出来すぎと言っても良いくらいである。

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以上、五つの課題について、独断と偏見で評価してみました。ただ、何はともあれ、優勝したわけで、すばらしい感動を与えてくれたという意味では、日本チーム全体の評価はトリプルAAAです。

プライスレス!ってやつですね(笑)。

では、四年後、再び、こういう優勝記念ブログが書けることを祈って、「ジャン・アレチボルトの冒険  WBC特別シリーズ」は、ひとまず終わりにします。

読んで下さった方、ありがとうございます。


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