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ジャン・アレチボルトの冒険

ジャンルを問わず、思いついたことを、書いてみます。

政治弱体化の裏で

2009-03-05 16:14:11 | 政治
小沢代表の秘書逮捕によって、民主党が総選挙で勝って、政権交代を実現するというシナリオに狂いが出始めた。

麻生政権や自民党の支持率がぐんぐん上昇することも考えられず、政治が混迷の度合いを深めていくことだけは、決定的になってきた。

これは、国民にとって大きなマイナスだが、霞ヶ関の官僚たちにとっては、むしろ有り難い事態かもしれない。

特殊法人の整理、天下り・渡りの禁止、人事権の一元化、あるいは、政治主導の政権運営など、重要な政府改革は、軒並みお流れになってしまう可能性が高い。

こういった本質的な改革は、国民の支持を受けた内閣が、国会と強力に手を組んで進めなければ、到底達成できない。

既得権益と既得権力を手放すことになる官僚たちは、あらゆる手段を使って、妨害してくるだろう。

政権交代による、容赦のない政府改革を嫌った法務官僚が、それを阻止するために、民主党の小沢氏に的を絞った。

彼らは怒って否定するだろう。検察は独立していて、取り締まるべきものを、取り締まっているだけだと。

なるほど、そういう側面もあるかもしれない。

しかし、民主党による政権交代が、彼らを含めた高級官僚にとって、かなり厳しいシナリオであることも、また事実である。

麻生首相は、選挙に負けるのが嫌で、解散を先延ばしにしてきたが、その裏で、政治は弱体化の一途をたどり、与党自民党自体が、官僚を押さえ込むことが出来なくなってきている。

例えば、年金問題で、本当の意味で責任を取らされた、歴代の社保庁長官や厚生事務次官は、何人いるだろう?

人事院長官は、首相や閣僚に対して、なぜあのような横柄な態度を取れるのだろう?

このまま行けば、最悪の場合、議会制民主主義が瓦解して、日本は、官僚が好き勝手に国を動かす、官主国家になってしまう。そうなってしまうと、国会議員など、何の力も持たなくなる。

国民の支持を失った与党は、野党に政権を渡して、野に下る。

自民党は、官僚の力、数の力、そして「解散権」をなりふり構わず濫用して、政権にしがみつき、この憲政の常道を踏み外し続けてきた。その結果、政治は弱体化の一途をたどり、日本は、いま、民主主義か官主主義かという、重大な岐路に立たされている。

自民党は「敵失」を喜んでる場合じゃない。

政治の混迷をどう乗り切って、議会制民主主義を堅持していくのか。与野党の国会議員は、党派を越えて、知恵を絞るべきである。

官主主義とは、すなわち、ファシズムに他ならない。

それは、いつか来た道である。

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