政治資金規正法では、企業は、政治家個人には献金できない。また、政党には献金できるが、額の上限がはっきり決められている上に、個人を指定しての献金はできない。
しかし、それでは困るという政治家がたくさんいる。
一方、言うこと聞いてくれるなら、何とかして、お金を出してもいいという企業もたくさん存在する。
そこで、「迂回献金」という方法が発明された。
例えば、60人くらいの名義を借りて、一人あたり5万円の献金という形にする。
あるいは、何らかの政治団体を作って、300万円を流し込み、そこを経由して献金する。
そうすると、300万円を、企業名が表に出ない形で、政治家個人に献金できる。
貰った政治家側は、60人からの個人献金、あるいは、有志による政治団体からの献金と思い込めば、問題はない。
勿論、お金を貰った側が、その真の出所を知らないはずはない。
というのも、献金する企業は、「あしながおじさん」ではない。自分に便宜を図って貰いたいから、多額のお金を渡している。相手に名前が伝わらなければ、まったくもって意味がない。
むしろ、献金する前に、政治家側と接触して、迂回の方法を相談するのが自然な流れである。
しかし、小さな企業は、迂回献金する必要があるほど大きなお金を捻出できない。
また、企業からみて、普通の野党議員に、迂回献金してまでお金を流しても、意味はない。大した便宜は図ってくれないからだ。
従って、迂回献金が発生するのは、金を持っている企業が、見返りを期待して、力のある政治家に献金する場合である。
例えば、公共事業で稼ぐゼネコンから与党自民党の有力政治家への献金は、まさに迂回献金の頻発地帯と言える。
では、日本でもっともお金を持っていて、多額献金によって、政治に強く口を出したいと思っている企業はどこだろう?
そして、その企業が、お金を出す意味が、一番あると思っている、有力な政治家は誰だろう?
正解は、経団連と自民党執行部である。
経団連は、大企業の集まりであるが、2003年、当時の奥田碩会長(トヨタ)が、経団連の言うことをよく聞く政治家に、献金を集中させるという、すさまじい「指針」を発表した。
かくして、経団連の所属企業は、自民党へせっせと献金を始め、その額は、毎年20億円以上と言われている。
これらは、各企業が自分の意思に基づいて献金したというより、奥田前会長と現在の御手洗冨士夫会長(キャノン)の指示に従って、行われた献金という性格が強い。
つまり、所属企業を使った、経団連から自民党への、迂回献金である。
実際、経団連が、20億円を直接献金することは出来ない。だから、個々の企業に「迂回」して、お金を渡している。
さらに、経団連の望む政策、例えば、非正規雇用を増やす法律改正を、進めてくれる政治家個人に対する迂回献金も、疑うなと言う方が無理な話である。
そして、自民党側も、真のお金の「出所」が、奥田氏と御手洗氏であることをよく知っている。
両者とも、政権中枢に深く食い込み、奥田氏は、福田政権下で内閣特別顧問に就任、中国への首相特使まで務めた。
一方、御手洗氏は、派遣労働者の問題に関して、大きな影響を与え、自社の派遣切りの問題などと共に、野党から、国会での参考人招致を求められるほどの政治的大物になっている。
これほど献金とその成果がはっきりしているケースも珍しい。
民主党の小沢代表は、西松建設からの2500万円の迂回献金で、検察の追及を受けている。
政権与党と鋭く対立する野党党首に、具体的に、どんな便宜が図れたのかについては、未だに証拠は出てこず、疑問符のままである。
一方、もっと大規模な迂回献金とその露骨な成果が、目の前にあるのに、どういうわけか検察は動く気配がない。
何が規正法違反で、何が違反でないのかという議論など、吹き飛ぶほど多額の企業献金が行われ、その結果、派遣法改正を筆頭として、国の行く末を左右するほど、大きな影響が表れている。
そもそも、2500万円の企業献金を問題にして、20億円の企業献金とその明確で巨大な見返りを問題にしないというのは、圧倒的におかしな話である。
御手洗会長のキャノンについては、大分のコンサルタント会社「大光」の脱税事件を通して、裏金疑惑が浮上している。
ところが、東京地検特捜部による、こちらの捜査は、なぜか遅々として進まない。その上、裏金の運搬役とされる元大分県警警部補を、「脱税」への関与は薄いとして、処分保留で釈放している。
検察の追及は、数千万円程度の献金額であれば、金額に比例して厳しくなるが、数十億という単位になると、途端に緩んでいくのだろうか?
検察の正義は、少ない額なら、金額に比例して大きくなり、多くなると、反比例する。
面白い関数だ。
「Koyakuninn Function」と名付けよう(笑)。
しかし、それでは困るという政治家がたくさんいる。
一方、言うこと聞いてくれるなら、何とかして、お金を出してもいいという企業もたくさん存在する。
そこで、「迂回献金」という方法が発明された。
例えば、60人くらいの名義を借りて、一人あたり5万円の献金という形にする。
あるいは、何らかの政治団体を作って、300万円を流し込み、そこを経由して献金する。
そうすると、300万円を、企業名が表に出ない形で、政治家個人に献金できる。
貰った政治家側は、60人からの個人献金、あるいは、有志による政治団体からの献金と思い込めば、問題はない。
勿論、お金を貰った側が、その真の出所を知らないはずはない。
というのも、献金する企業は、「あしながおじさん」ではない。自分に便宜を図って貰いたいから、多額のお金を渡している。相手に名前が伝わらなければ、まったくもって意味がない。
むしろ、献金する前に、政治家側と接触して、迂回の方法を相談するのが自然な流れである。
しかし、小さな企業は、迂回献金する必要があるほど大きなお金を捻出できない。
また、企業からみて、普通の野党議員に、迂回献金してまでお金を流しても、意味はない。大した便宜は図ってくれないからだ。
従って、迂回献金が発生するのは、金を持っている企業が、見返りを期待して、力のある政治家に献金する場合である。
例えば、公共事業で稼ぐゼネコンから与党自民党の有力政治家への献金は、まさに迂回献金の頻発地帯と言える。
では、日本でもっともお金を持っていて、多額献金によって、政治に強く口を出したいと思っている企業はどこだろう?
そして、その企業が、お金を出す意味が、一番あると思っている、有力な政治家は誰だろう?
正解は、経団連と自民党執行部である。
経団連は、大企業の集まりであるが、2003年、当時の奥田碩会長(トヨタ)が、経団連の言うことをよく聞く政治家に、献金を集中させるという、すさまじい「指針」を発表した。
かくして、経団連の所属企業は、自民党へせっせと献金を始め、その額は、毎年20億円以上と言われている。
これらは、各企業が自分の意思に基づいて献金したというより、奥田前会長と現在の御手洗冨士夫会長(キャノン)の指示に従って、行われた献金という性格が強い。
つまり、所属企業を使った、経団連から自民党への、迂回献金である。
実際、経団連が、20億円を直接献金することは出来ない。だから、個々の企業に「迂回」して、お金を渡している。
さらに、経団連の望む政策、例えば、非正規雇用を増やす法律改正を、進めてくれる政治家個人に対する迂回献金も、疑うなと言う方が無理な話である。
そして、自民党側も、真のお金の「出所」が、奥田氏と御手洗氏であることをよく知っている。
両者とも、政権中枢に深く食い込み、奥田氏は、福田政権下で内閣特別顧問に就任、中国への首相特使まで務めた。
一方、御手洗氏は、派遣労働者の問題に関して、大きな影響を与え、自社の派遣切りの問題などと共に、野党から、国会での参考人招致を求められるほどの政治的大物になっている。
これほど献金とその成果がはっきりしているケースも珍しい。
民主党の小沢代表は、西松建設からの2500万円の迂回献金で、検察の追及を受けている。
政権与党と鋭く対立する野党党首に、具体的に、どんな便宜が図れたのかについては、未だに証拠は出てこず、疑問符のままである。
一方、もっと大規模な迂回献金とその露骨な成果が、目の前にあるのに、どういうわけか検察は動く気配がない。
何が規正法違反で、何が違反でないのかという議論など、吹き飛ぶほど多額の企業献金が行われ、その結果、派遣法改正を筆頭として、国の行く末を左右するほど、大きな影響が表れている。
そもそも、2500万円の企業献金を問題にして、20億円の企業献金とその明確で巨大な見返りを問題にしないというのは、圧倒的におかしな話である。
御手洗会長のキャノンについては、大分のコンサルタント会社「大光」の脱税事件を通して、裏金疑惑が浮上している。
ところが、東京地検特捜部による、こちらの捜査は、なぜか遅々として進まない。その上、裏金の運搬役とされる元大分県警警部補を、「脱税」への関与は薄いとして、処分保留で釈放している。
検察の追及は、数千万円程度の献金額であれば、金額に比例して厳しくなるが、数十億という単位になると、途端に緩んでいくのだろうか?
検察の正義は、少ない額なら、金額に比例して大きくなり、多くなると、反比例する。
面白い関数だ。
「Koyakuninn Function」と名付けよう(笑)。