ジャン・アレチボルトの冒険

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乃木坂の風 13Jun13 ~ AKB48の曲には、なぜ「ヒット感」がないのか

2013-06-13 16:00:00 | 芸能
6月1日付けオリコンランキングによると、AKB48の31枚目CD「さよならクロール」の累積売り上げ枚数が185万枚を突破して、女性グループの歴代最高を記録したそうです。

このCDには、先日7万人もの観客を集めて行われた第5回総選挙への投票券が付いていて、自分の推しメンを上位にしたい熱心なファンが一人で何枚も買っているので、売り上げが伸びるのは当然ですが、それにしても凄い数字です。

かりに90%が選挙目当てで買ったのだとしても、残り18万枚以上は曲として売れているわけで、通常の感覚からすれば、これは大ヒットと言っていい数字です。

しかし、これだけCDが売れているのに、売り上げ枚数に見合った評価、つまり「良い曲だ」「聴き込んでしまう」「ついつい歌ってしまう」「何度もミュージックビデオを見てしまう」といった声が大きく響いている感じはありません。

また、「さよならクロール」はテレビCMにも使われているので、AKBやアイドルに興味がなくても、一度は聴いている筈ですが、ワンフレーズでも頭に浮かべられる人は、どのくらいいるでしょうか。

これまでの女性グループのCD売り上げ記録は、1997年に発売されたSPEEDの「White Love」です。

果てしないあの雲の彼方へ
私を連れて行って
その手を離さないでね

これはアイドルソングというより、日本を代表する名曲の一つで、184万5千枚という数字では表現しきれない、心を揺さぶるナンバーですね。

そして、ある程度の年齢のひとで、この曲を知らないひとは、ほとんどいないと思います。かりに、すぐに頭に浮かばなくても、曲をワンフレーズ聴けば、すぐに思い出すでしょう。

YouTubeに行って、「White Love SPEED」で検索すればミュージックビデオを視聴出来ます。

私も、久しぶりに聴いてみましたが、正直、素晴らしすぎて、やや、泣けてきました(笑)。

AKB48は、デビュー以来、31枚のシングルCDを出していますが、曲のタイトルを見て内容が思い浮かぶのは、2010年の16th「ポニーテールとシュシュ」、17th「ヘビーローテーション」、さらに2011年の21th「Everyday、カチューシャ」、22th「フライングゲット」あたりでしょうか。

「フライングゲット」が有名なのは「キンタロー。」がブレイクしたから、という話もありますが(笑)、

AKB48は、この曲が発売された2011年夏以降、「ヒット感」のある曲を2年間も出していないことになります。

もちろん、最近は初動で100万枚を突破するのが日常風景で、「ヒット曲」を出しているのは間違いないんですが、どうしても「ヒット感」がない。SPEEDの「White Love」のような、名実ともにヒットしている、と呼べる曲がない。

また、有線やラジオでのリクエスト数、ネットでのダウンロード数を反映させ、個別握手会券や総選挙投票券の抱き合わせCDをカウントしない、といった「まともな」ランキングを作れば、あるいは、AKB48は「ヒット曲」すら出していない、ということになるのかもしれません。

いずれにせよ、これ以上「ヒット感」のない状態が続くと、自前でのライブコンサートは開催出来ても、複数のビックアーティストが参加するような大きな音楽イベントやテレビの歌番組に、歌手としては呼んで貰えなくなっていく危険があります。

つまり、ミリオン連発なのに、歌手としてピンチに立たされている、ということです。

「ヒット感」が出ない一番の原因は、なにより、楽曲そのものに、パンチが欠けているからではないかと、思っています。曲の出来、不出来というより、心に訴えかけてくるものが見当たらない。曲の方向性が「ぼやけている」気がします。

例えば、2008年秋に出た10th「大声ダイヤモンド」は、AKB48では、個人的に一番好きな曲ですが、それはこの曲にメッセージを感じるからですね。

事務所の移籍や人気の頭打ちで、グループとしてピンチに陥っているなか、前田敦子(当時17歳)、松井珠理奈(11)、高橋みなみ(17)、渡辺麻友(14)、篠田麻理子(22)、宮澤佐江(18)、小嶋陽菜(20)、大島優子(20)、板野友美(17)といった若いメンバーが、人気があろうがなかろうが、セールスがどうだろうが、それでも自分たちは歌やダンスが大好きで、みんなで結束して前に進んで行くんだ、という強い思いが伝わってきます。

一方、現在のAKB48は、CDの売り上げ枚数に幻惑されて、グループとして危機に直面してるという意識が低いなか、

主要メンバーが続々と卒業し始めているのに、センター交代がままならず、さらに島崎遥香や川栄李奈など新しいメンバーの抜擢感も弱い。

AKB48とは何なのか、何を目指しているのか、グループとしてのキャラが混沌として、明確なイメージが見えない。

しかも相変わらず、曲ごとに、選抜メンバーやその立ち位置がくるくる変わって、イメージの混乱に拍車をかけている。

乃木坂46の4th「制服のマネキン」と5th「君の名は希望」を作った杉山勝彦氏は、雑誌での対談で、曲を書くときに、

僕は5日間くらいひたすら考える。どういうシンガーが、どういう世界観で、誰に向かって、どういうタイミングで、どういう瞬間を切り取って、どういう角度から見て、どの感情をっていうことまで含めて明確に世界観を作るんです。

と述べています(B.L.T.6月号「完全在宅主義者」)。

実際、乃木坂は、3rd「走れ!Bicycle」で、ほぼ八福神メンバーの構成が確立、とくにトップ3のイメージが明確になっていました。

何んでも出来ちゃうんだけど、どこか「天然」の香りがする、愛すべき天才美少女、生田絵梨花。

しっかりしてるんだか、子供なんだか、よく分からないけど、妙なリズム感で飛び跳ねながら、果てしない透明感を振りまく生駒里奈。

いつも本を読んでて、口を開けば、前髪と食べ物の話しかしないけど、小悪魔っぽい表情が、あり得ないくらい可愛い、ザ少女の星野みなみ。

14歳から16歳という年齢も近い三人が、それぞれ個性的なキャラクターを提供して、杉山氏は「明確に世界観を作る」ことが出来た。

また、SPEEDは、若くして沖縄から出て来て、スターを夢見ていた四人の少女のグループで、その純粋でひたむきなイメージと真っ直ぐで澄んだ歌声が、「White Love」を含む数々の珠玉のナンバーを生み出す原動力になった。

優秀な作詞家や作曲家がいても、実際にパフォーマンスをして、聴衆に伝えるひとたちそのものが、まずは心に訴えかけてくるイメージを持っていなければ、良曲や名曲は生まれないのかもしれません。

曲作りにおいて、シンガーの提供するイメージが、想像以上に大きな役割を果たすのだとすれば、

AKB48が「ヒット感」のある曲を出せるかどうかは、秋元康氏の作詞能力以上に、グループとしてのイメージを再確立出来るかどうか、先ずは、その辺が問題になってくるでしょう。

同じことが、乃木坂にも言えるわけで、トップ3をまるごと交代して臨んだ今回の「ガールズルール」、それが良曲と認められるのかどうかは、橋本奈々未、白石麻衣、松村沙友理の新トップ3が心に残るイメージを提供できるかどうか、その辺に鍵があるということです。

センター交代、八福神の入れ替え、選抜とアンダーの区別。

こいったことを喜ぶファンも多いし、社会的に話題にもなりますが、グループのイメージを混沌とさせて、良い楽曲を生み出す力を削いでいる、そいういうマイナス面があることも十分に認識しておくべきかもしれません。

もし、SPEEDが10人くらいのメンバーから、曲ごとに4人を選んでいたとして、果たして「White Love」は生まれたのか?

私は、ノー、だと思います。


# 記事中の青字部分は、テレビ番組、公式サイト、書籍、歌の歌詞などに、掲載されたものを、そのまま抜粋引用したことを表しています


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