ジャン・アレチボルトの冒険

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乃木坂総論 ~ AKBのイメージ低下は深刻

2013-05-22 18:19:04 | 芸能
タレント、とりわけアイドルが提供する商品のうち、もっとも重要なものは、間違いなく

イメージ

である。好感度と言ってもよい。

いつの時代でも、アイドルの周りには、コンサートに駆けつけ、新曲を必ず買ってくれる、コアなファン層が存在する。

多額のお金を、直接、アイドルに出してくれる人々である。

しかし、社会全体から見ると、コアなファンはごく少数で、肝心の「イメージ」を決定するのは、その外側に存在する広大な無関心層である。

このひとたちは、ライブにも行かないし、CDやDVDも買ってくれない。もちろん、握手会にも総選挙にも参加しない(笑)。

ただ、テレビや雑誌で、そのアイドルを見たり、あるいは、たまたま流れている曲を聴いたりして、

「ちょっと、この子、感じいいね」とか「なんか、やだな、こいつ」などと考えるだけである。

アイドル側からみて、チケットやCDの売り上げには影響しないのだから、そんな人たちのことは無視すればいいじゃないか、と思いたくなるが、全くの逆である。

この広大な無関心層の抱く印象が、そのアイドルの社会での「イメージ」を決定する。

そして、企業はその「イメージ」を見ながら、自社の商品などの広告を任せるかどうか、慎重に見極めている。

「ちょっと、この子、感じいいね」と思っているアイドルが出ているCMを見ると、無意識のうちに、その商品に対しても好感を持っていて、買う確率が高くなる。

爽やかなイメージのアイドルが宣伝するガムは、なぜか、他のガムより、爽やかな気がして、ついそれを買ってしまう。

何だか魔法のような話だが、現代の広告戦略を見ていると、案外、この魔法は効くらしい。

一方、アイドル側からすると、CM出演によって得られるものは、莫大な直接収入だけでなく、その企業の協賛イベントへの出演依頼など、計り知れないほど大きい。

ある程度の知名度を獲得すれば、好イメージを維持するだけで、CDを出さなくても、アイドルやタレントを続けていけるほどだ。

従って、無関心層へ与える印象は、アイドルがもっとも気を付けなければならない部分である。

もし、「なんか、やだな、こいつ」という「イメージ」が社会的に優勢となると、コアなファン層がお金を出してくれても、

そのアイドルの未来は、ほぼ絶望的と言ってもいい。

具体的な例を挙げよう。

30代から40代の子供がいる女性、つまり「若いお母さん」層は、タレントの「イメージ」形成に、非常に大きな役割を果たす。

育児、子育て、弁当作り、家事、そして仕事。

忙しい日々を送る女性なので、コンサートに行ったりする時間はなかなか取れないだろう。

しかし、彼女たちの家庭内での発言力、さらには、子供の幼稚園や学校などを通したネットワーク力を考えると、その社会的影響力は甚大である。

この女性層に悪い印象を持たれると、アイドルとしては、かなり手足が縛られたような状態に陥っていく。

AKBグループは、来月の総選挙に向けて、いよいよファンの動きが活発化してきている。

毎度のことだが、一人で何百枚もCDを買ったやつがいる、どこぞの金持ちが「なんとか砲」を撃つの撃たないの、「票は愛なんだ」いや「そんな愛の形でなくても」など、ケンケンガクガクの狂騒劇が繰り広げられている。

私自身は、コアなファン層に近いところにいるので、こういう話をおもしろおかしく楽しめるが、「若いお母さん」層も含めて、無関心層のほとんどはドン引き状態で、AKBのイメージが上がる要素はない。

しかし、それ以上に深刻なのは、続発するスキャンダルである。

個人的な見解だが、AKBのメンバーがファンと付き合っていた云々は、それ自体、さほどのイメージダウンにはならないと思う。

指原莉乃にしても、峯岸みなみにしても、その年頃の女性が恋愛したり、遊んだりするのは、当たり前のことである。

むしろ、周りの大人たちが、彼女たちを「処罰」したことの方が印象が悪い。

自分たちの金儲けのために、年頃の少女に「恋愛禁止」を強制する男たち。

この構図は、とくに社会の女性層からみて、決して気分のいいものではないだろう。

そして、致命的だったのが、事務所であるAKSの社長と、AKBメンバーが不適切な関係にあったという、週刊誌報道である。

社長側は、当初、報道内容を否定していたが、いくつかの写真が明るみに出て、どうにも旗色が悪いように見える。

しかも、週刊誌側は、まだ他のスクープ写真を持っているという噂すら流れている。

最悪だ。

「恋愛禁止」を強制する側が、しかも、社長が、自分の特権的地位を利用して、所属タレントである若い女性に手を出す。

それが事実がどうか以上に、その構図が流布し始めていることが大問題だ。

このまま行くと、AKBへのイメージは、女性層どころか、社会全体として吹き飛んでしまう。

いま、多くの企業で、新商品のCMを任せるタレントリストから、急速にAKBの名前が削除され始めている可能性を、もう否定出来ない。

いつ爆発するかわからない、超ど級のスキャンダル爆弾を抱えたアイドルを起用しようと思う、企業の広告担当者などいるわけがない。

「日経エンタテインメント! 2013年6月号」に掲載された「女子アイドル(個人)TOP30」では、AKB48の主要メンバーが上位を独占している。

しかし、2012年のスコアと比べると、知名度と好感度から編集部が計算した指標だが、ほとんどのメンバーがポイントを落としている。

大島優子、篠田麻里子、前田敦子、板野友美、高橋みなみ、柏木由紀、指原莉乃、秋元才加、峯岸みなみ。

以上のメンバーのスコアが下落、ひとによっては、大幅に下落している。

このランキングが、10代から60代までの幅広い層を対象に行ったアンケートに基づいていることを考えると、AKBの社会イメージについて、無視出来ない動きが起こり始めていると言わざるを得ない。

幸いなことに、小嶋陽菜と渡辺麻友は、スコアを上げている。

新曲「So long!」で、渡辺麻友がセンターの座につき、今後も、その体制で進んでいく見通しなのは、このランキングを見ても、正しい方向性かもしれない。

渡辺麻友は、乃木坂の「16人のプリンシパル deux」に3回も来てくれて(笑)、所属事務所も同じ系列ということで、ぜひ頑張って、AKBを再建して欲しいと思う。

しかし、秋元康氏をはじめAKSの人間が、自浄能力を発揮して、根本的な組織改革や意識改革を行う気配は、いまのところ感じられない。

相変わらず、総選挙や握手会を仕掛けて、CDの売り上げ枚数を誇示する商法で突き進んでいるだけだ。コアなファンの外側にいる、広大な無関心層を意識して、AKBの社会的イメージを回復させる試みは見当たらない。

渡辺麻友や松井珠里奈が、覚悟を決めていくら頑張っても、周りの大人たちに変革の覚悟がなければ、AKBの未来は暗いというしかない。

一方、乃木坂46は、生田絵梨花、生駒里奈、星野みなみを筆頭として、幅広い層に好印象を与える切り札を何枚も持っている。

「AKB後」に起こる、新興アイドル同士の好感度バトル、社会へのイメージ競争を勝ち抜くためには、彼女たちの力が絶対に必要である。

秋元康流の握手会や選抜競争で、ゆめゆめ、この子たちを疲弊させないよう、ソニーにはぜひお願いしたいと思う。

ところで、「女子アイドル(個人)TOP30」に、生駒里奈がランクインしたが、なぜ握手会人気トップの白石麻衣が入っていないのか、疑問の声があった。

しかし、例えば、「若いお母さん」層が、生駒里奈と白石麻衣、どちらを好感するか想像してみれば、生駒のランクインは、それほど不思議なことではないだろう。

社会全体からみて、人気がある、知名度がある、とはどういうことなのか、握手会の会場だけでは分からないことも多い、ということである。

「女子アイドルランキング」についての「Nogizaka Journal」の記事


最近の「乃木坂総論」には、次のような記事があります。

乃木坂総論 ~ AKB48流「終わらない物語」への幻想

乃木坂総論 ~ 「頑張るアイドルの選挙アトラクション」を越えて

乃木坂46について、他の記事に興味がある方は、以下のような目次ページを作りましたので、よろしければどうぞご覧下さい。

アレチの素敵な乃木坂業務連絡 15May13 ~ 関連記事の目次 (2013/04/19 ~)

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