ジャン・アレチボルトの冒険

ジャンルを問わず、思いついたことを、書いてみます。

8枚目「気づいたら片想い」はヒットしたのか?、「君の名は希望」が示す乃木坂楽曲の真価 [08Aug14]

2014-08-08 18:00:00 | 芸能
9枚目表題曲「夏のFree&Easy」は、今日発表された8月8日付有線ランキングで、150位以内に名前が載っておらず、発売4週目もランクインしませんでした。

これで7枚目表題曲「バレッタ」以来、二度目となる「完全圏外」がほぼ確実となりました。

一方、8枚目表題曲「気づいたら片想い」は、74位に留まり、18回ランクインで、乃木坂の歴代最長記録を更新しています。


(表1) 2014年8月8日付(対象期間:07/26~08/01)の有線「邦楽リクエストランキング」発表時点における歴代シングルのランクイン成績

凡例
シングルNo. 有線ランクイン回数 {初登場が発売何週目だったか} [最高順位] 曲名 (発売日)

# {+1週目}は発売1週目、{-1週目}は発売1週前に、初ランクインしたことを表している
# 「18回*(74位)」は今回もランクインしていて、その順位が74位であるという意味

乃木坂46

1枚目 7回 {+1週目} [54位] ぐるぐるカーテン (2012/02/22)
2枚目 8回 {-2週目} [44位] おいでシャンプー (2012/05/02)
3枚目 7回 {+2週目} [69位] 走れ!Bicycle (2012/08/22)
4枚目 7回 {+1週目} [66位] 制服のマネキン (2012/12/19)
5枚目 3回 {+2週目} [112位] 君の名は希望 (2013/03/13)
6枚目 4回 {+1週目} [96位] ガールズルール (2013/07/03)
7枚目 0回 {-----} [圏外] バレッタ (2013/11/27)
8枚目 18回*(74位) {-1週目} [8位] 気づいたら片想い (2014/04/02)
9枚目 0回 {-----} [圏外] 夏のFree&Easy (2014/07/09)


「気づいたら片想い」の18回ランクインは、実は、AKB48グループ「支店」で、これまで最長だった、HKT48の2枚目「メロンジュース」の17回を抜いて、トップに立つ成績です。

最高順位でも、唯一ベスト10に入った、HKT48の3枚目「桜、みんなで食べた」10位を上回る、8位を記録していて、乃木坂46の8枚目表題曲は、順位、ランクイン回数ともに、「支店」トップを越える成績となっています。

また、AKB48本体が出した曲のランクイン回数と比べても、32枚目「恋するフォーチュンクッキー」の37回は別格として、二番目に長いのが18枚目「Beginner」、20枚目「桜の木になろう」、26枚目「真夏のSound good!」の16回なので、「気づいたら片想い」の18回は、大変な長期ランクインと言えます。

現在、まだ74位に踏みとどまっているので、さらにランクイン回数が伸びる余地があり、このまま粘り続ければ、有線関連音楽賞の選考対象に入ってくる可能性すらあるんじゃないでしょうか。

9枚目「夏のFree&Easy」有線ランキングに完全圏外のおそれ、崩壊しつつある大規模握手会商法 [01Aug14]



有線でこれだけの成績を残しているのだから、8枚目「気づいたら片想い」は、間違いなくヒットしたと言いたいところなんですが、色んなデータを見ていると、そう判断するのが難しい部分があります。

7枚目「バレッタ」が有線ランキングに一度も登場しない「完全圏外」で、グループの音楽的知名度が低く、もともと有線に強いわけではないのに、8枚目でいきなり最高8位、18回ランクインというのは、曲の魅力だけではちょっと考えにくい。

人気ドラマの主題歌に採用されるなど、大きな話題を呼ぶ出来事がないのであれば、リクエスト数を上げる何らかのタイアップを推察したくなります。

また、本格的なヒットになっていれば、当然、歌っているグループへ音楽的興味を持つ人が増える筈で、次に出した「夏のFree&Easy」が、再び「完全圏外」というのも、どういうことなのかと首をひねりたくなる(笑)。


さらに、iTunes Storeランキングでは、かなり前に200位圏外に去っているのに、有線ランキングがそれと連動していない点も気になります。

ダウンロード配信と有線リクエストは、割とリンクしているケースが多く、だからこそ数値化しやすい有線の成績をよく取り上げるのですが、これほど乖離しているとなると、有線の方で、何か順位を上げるような営業的努力を行っているのかな、と考えたくなります。

8枚目に関しては、過去に例を見ないほど、強力な新曲キャンペーンが行われたのは間違いないことで、有線ランキングが歴代最高の成績を収める一方、前後の曲が全く振るわず、ダウンロードとも連動しないとなると、プロモーションの効果が非常に大きいと見るのが妥当になってきます。

しかし、かりにキャンペーンの効果でランキングが上がり、ランクイン回数が大幅に増えたのだとしても、結果として、多くの人が曲を聴くわけで、そこから本当のヒットが生まれることもあり得るので、大いに歓迎すべきことです。

ただ、次作が「完全圏外」となると、ヒット感が半減するので、プロモーションはコツコツとであっても続けて欲しいですね(笑)。


乃木坂は、シングルCDに様々な特典を付けているので、CDセールスから、曲がヒットしたかどうかを判断するのは、有線ランキングより、さらに複雑になります。

しかし、生田絵梨花をセンターに据え、NHK紅白歌合戦を睨み、ヒットを狙う10枚目でも、大規模なプロモーションが行われた場合、結局、10枚目は曲としてヒットしたんだろうか?、となっては困るので(笑)、今日は、「気づいたら片想い」を例に、特典イベントの効果を見極める手法のようなものを考えてみます。

まずは、これまで何回か載せた表ですが、基礎資料として、8枚目個別握手会応募受付における積み上げ完売部数の推移を示しておきます。

(表2) 8枚目「気づいたら片想い」に関する、個別握手会応募受付の次数と推定売り上げ枚数の推移

凡例
[個別握手会の応募受付次数] その応募での積み上げ完売部数 {その時点での推定累計売り上げ枚数} (受付時期、応募最終日から初動集計締め切り日までの日数)

# 積み上げ完売部数が赤色の数字で示されているものは、その全部がオリコン初動に確実に算入されたことを、ピンク色の数字は、その一部が算入された可能性が高いことを示す
# 売り上げ枚数は万枚単位で、小数点以下2桁目を四捨五入したもの
#「-60d」は、集計締め切り日の60日前という意味

8枚目「気づいたら片想い」
発売日 2014年4月2日(水)
オリコン初動集計締め切り 2014年4月6日(日)
初動算入:8次分まで
特定流通CD第1週売り上げ(=初動個別分) 34.0万枚

[01次] 0 (2014/02/04~02/05, -60d)
[02次] +35 (2014/02/12~02/13, -52d)
[03次] +47 {13.0万枚} (2014/02/19~02/20, -45d)
[04次] +62 {20.8万枚} (2014/02/26~02/27, -38d)
[05次] +67 {27.7万枚} (2014/03/05~03/06, -31d)
[06次] +52 {31.7万枚} (2014/03/12~03/13, -24d)
[07次] +18 {33.0万枚} (2014/03/19~03/20, -17d)
[08次] +16 {34.2万枚} (2014/03/27~03/28, -9d)
[09次] +3 {34.6万枚} (2014/04/03~04/04, -2d)
[10次] +18 {35.8万枚} (2014/04/10~04/11, +5d)
[11次] +12 {36.8万枚} (2014/04/17~04/18, +12d)
[12次] +15 {38.1万枚} (2014/04/24~04/25, +19d)
[13次] +3 {38.3万枚} (2014/05/01~05/02, +26d)
[14次] +2 {38.5万枚} (2014/05/08~05/09, +33d)
[15次] +2 {38.7万枚} (2014/05/15~05/16, +40d)
[16次] +8 {39.4万枚} (2014/05/22~05/23, +47d)
[17次] +4 {39.7万枚} (2014/05/29~05/30, +54d)
[18次] +0 {39.7万枚} (2014/06/05~06/06, +61d)
[19次] +0 {39.7万枚} (2014/06/12~06/13, +68d)
[20次] +1 {39.8万枚} (2014/06/19~06/20, +75d)
[21次] +4 {40.1万枚} (2014/06/26~06/27, +82d)
[22次] +2 {40.3万枚} (2014/07/03~07/04, +89d)
[最終23次] +? {???万枚} (2014/07/10~07/11, +96d)


第13次応募以降、前次からの積み上げ完売部数は1桁となり、申し込みの勢いが低下しているのが分かります。

さて、次に、オリコン順位の推移を見てみましょう。

(表3) 8枚目「気づいたら片想い」のオリコンランキングの推移と関連イベント

凡例
発売何週目:オリコン順位 (集計対象期間)

# 赤字の順位は、そこで大きな下落があったことを示している

気づいたら片想い

01週目:01位(03/31~04/06)
02週目:03位(04/07~04/13)
03週目:07位(04/14~04/20)
====「お茶会」申込締切 (04/18)
04週目:11位(04/21~04/27)
05週目:13位(04/28~05/04)
==== 最終アンダーライブ申込締切 (05/01)
==== 個別第13次応募受付 (05/01~05/02)
06週目:14位(05/05~05/11)
==== 9枚目個別第1次応募受付(05/09)
==== 9th選抜発表 (05/11)
07週目:17位(05/12~05/18)
==== 9枚目個別第2次応募受付(05/15~05/16)
==== 個別第15次応募受付 (05/15~05/16)
==== 最終全国握手会 (05/17)
08週目:39位(05/19~05/25)
09週目:31位(05/26~06/01)
10週目:40位(06/02~06/08)
11週目:42位(06/09~06/15)
12週目:94位(06/16~06/22)
13週目:92位(06/23~06/29)
14週目:28位(06/30~07/06)
15週目:34位(07/07~07/13)
==== 個別第23次最終応募受付 (07/10~07/11)
16週目:43位(07/14~07/20)
17週目:162位(07/21~07/27)
18週目:174位(07/28~08/03) [8月11日付最新チャート]


「気づいたら片想い」のオリコンランキング推移には、大きな下落が二度存在します。

一つ目は、発売8週目に、それまで20位以内だった順位が、39位に下がったときです。

その原因ですが、次の9th選抜が発表され、9枚目の個別握手会応募が始った時期なので、8枚目個別への申し込み数が大きく落ち込んだのでは?、と考えたくなります。

しかし、(表2)で示されるように、8枚目個別の積み上げ完売部数は、第13次応募から小さな数字が続いているので、影響が出るとすれば6週目、遅くとも7週目の筈で、8週目の急落には別の因子が絡んでいるように思えます。

となると、全国握手会が終わったことが大きな原因として浮上してくる。

全国握手会券の価値がゼロになった日以降に、急激にオリコンランキングが下がり、その後、20位以内に復帰することがなかった。

つまり、7週目までの順位は、全国握手会という特典イベントの魅力によって支えられていた部分が大きいと見ることが出来ます。


「気づいたら片想い」初回限定盤に入っている全国握手会券は、アンダーライブの応募抽選券でもある。

4公演のべ8千人動員で、応募券3枚からの申し込みだったので、2万4千枚のCDセールスの底上げを期待出来ます。

さらに、5月17日(土)は名古屋での全国握手会で、松井玲奈の「兼任」もあって、地元で注目を集めた面があるかもしれません。

こういった「魅力的」な初回限定盤の特典イベントが終了したため、8週目での順位降下が起こったのだと考えられます。


次に順位が急落するのは、17週目で、43位から一気に162位に下がっています。

この原因は明確で、7月11日(金)に8枚目個別の応募受付が終わり、個別握手会による売り上げを、オリコンに流し込めなくなったからです。

第1の順位急落は、全国握手会という特典がなくなって起こり、第2の急落は個別握手会という特典がなくなって起こった。

そして、発売から4ヶ月ほどの時点、すべての特典が終わった直後から、1週間に300枚を切る売り上げとなり、ここ2週推移しています。

従って、少なくとも発売18週目までのCDセールスは、シングルの特典効果で説明が出来て、「気づいたら片想い」という楽曲そのものがヒットしていたことを窺わせる要素は見当たりません。


では、「気づいたら片想い」はヒット曲でないのかとなると、まだ、そうとは言えない(笑)。

次の表は、発売18週目に当たる、最新オリコンチャートに入った、乃木坂のすべての曲の順位を示しています。

(表4) 8月11日付オリコン最新チャートランクイン曲

12位「夏のFree&Easy」(4週目)
174位「気づいたら片想い」(18週目)
186位「君の名は希望」(72週目)
199位「制服のマネキン」(87週目)


実は、「君の名は希望」は、発売72週目となる現在でも、オリコン200位以内に入ってきます。

乃木坂が新しいシングルを出すと、発売直後に、過去のシングルがチャートインするのはよく見られることですが、「君の名は希望」は、ほぼコンスタントに、1週間で200枚から300枚ほどを売り上げて、順位が低いながらも、頻繁にランクインしてくる。

その結果、歴代シングルの中で、オリコン最多ランクイン回数を誇っていて、今のところ、それを上回りそうな曲は現れていません。

もちろん、5枚目シングルの特典イベントはすべて終わっているので、「君の名は希望」は、純粋に楽曲の魅力で、今でもCDがコツコツ売れているということです。


AKB48グループや乃木坂46は、CDに様々な特典を付けて売るので、曲がヒットしたかどうかを判断するのは、かなり難しい作業です。

しかし、すべての特典が終わったあと、シングルが売れ続けているとなると、本当に楽曲がヒットしている可能性が非常に高くなります。

「君の名は希望」のように、1週間に200枚程度のセールスであれば、1年間で1万枚ほどの積み上げなので、この手のロングヒットは、とても見逃し易いのだけど、今の時代、楽曲の素晴らしさだけで、時間を掛けてコツコツ1万枚を売り上げるなんて、大変なことじゃないでしょうか。


このブログで、随分とCDセールスの分析を行いましたが、それは握手会人気を通して、乃木坂ファン層の構造変化を知りたいからで、ヒット指標としては、強力な特典が付いている以上、その効果で説明出来ない動きがない限り、何十万枚、あるいは百何十万枚売れても、ほとんど意味はないと考えています。

「気づいたら片想い」は、発売17週目で、すべての特典効果が切れて、楽曲としては、これからが本当の勝負になります。

もし、発売72週目になっても、今の順位をキープしていたなら、8枚目表題曲は、5枚目表題曲と同じくらいのヒット曲であると断言することが出来ます。

時間の淘汰を経て、それでも曲を好きになる人が次々と現れ、世代や時代を越えて、歌い継がれていく。

ヒットかどうかは、人の心を動かす度合いで測るものであって、必ずしも数十万枚という数字に表れるものではないと思います。

「君の名は希望」や「気づいたら片想い」など、乃木坂の曲が、長く人びとの心を揺らし続けることが出来れば、ファンとして、とても嬉しいことで、そういうヒットを目指すグループになって欲しいと願っています。


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# 記事中の青字部分は、テレビ番組、公式サイト、書籍、歌の歌詞などに、掲載されたものを、そのまま抜粋引用したことを表しています

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