KUSOGON ROCKS!
前回のZOLLMENさん「FANCY TOY」に続いて引き続きモンド・トラッシュ系
ソフビアイテムについて語ってみたい。
本年手元に届いたターゲットアースさんとアメリカンバイナルメーカー、
MONSTER WORSHIPさんのコラボプロダクツ、クソゴン(KUSOGON)。
(上はイベントで配布されたクソゴンのイメージイラストステッカー。
これが未確認動物の写真のようにソフビファンたちに得もいえない不安を
醸成させることとなり、「いったいこれは何者?!」と
最初にソフビ化されるまでしばしば物議をかもした)
このアイテムは元々MONSTER WORSHIPのBEAKさんがオブジェとして製作した
クソゴンの立体物があり、2008年にTシャツやステッカーなどで先行して
発表したところ世界各地のソフビ界の好き者な連中たちが「一体これは何者?」と
ネット上やイベント会場で話題にしだし、反響を見て製品化されたのが
クソゴンプロジェクトのスタートとなる。
筒状の胴体にジョウゴのような頭部が付き、細い手が付いているだけという
シンプルなデザイン、
その名も「クソゴン」。
たぶんこの胴体は排泄物を内部に溜め込んだタンクなんだろうな。
しかし・下水道の完備されたアメリカにもタンクタイプのトイレの浄化槽って
あるのか?といった疑問はさておき、このクソゴン、狙って作れるキャラとは
思えない狂気じみた佇まいをしていて、
「考えたヤツは頭がイカレてるのか?(ほめ言葉)」
「これは怪獣の姿をした一種のOUTSIDER ARTなのではないか?」と。。。
当時の反応もさまざまで、とにかくまだ全貌もしれない、MONSTER WORSHIPさんという
日本で耳慣れないメーカーさんのミステリアスなイメージもあいまったカタチで
KUSOGONなる怪獣がファンの間でひととき話題になった。
やがて「クソゴンは現地でソフビ化が進んでいるらしい」
という話が国内外を行き来するソフビファンの口を通じて伝わってきた。
やがて日本にもソフビ化されたクソゴンが上陸するという話が伝わり、
イベントなどで謎のクソゴンのソフビを間近にするのを好事家たちも
楽しみにしていた。
MONSTERWORSHIPさんとVELOCITRONさんによるミニサイズのクソゴン(右)。
2009年リリース。
ついにカタチとしてみることができたクソゴンを確かにファンは歓迎したものの、
それは思っていたより小さかった。しかし、
原寸大の立体物を手直ししてソフビ化したようなのでこのミニクソゴンこそが
実際にはこれぞ「レギュラーサイズ」と呼ぶべきところか。。。
当初、写真などを見て、クソゴンの立体物はスタンダードで製作しているであろう
ことを前提にとてつもない存在感となるだろうというのは大方の(根拠もない)
予想だったので、
国内のTOYイベントで目の前に想像したよりも小さいクソゴンが卓の上に置かれていた
際は自分も「うわ、ミニだったのか」(うれしかったけど)と、ぶっとびました。
そして、その後にこの異様なキャラクターをミニではなくスタンダードサイズで
作りたい、という意見が両社の間で交わされたのか、2011年になってとうとう
本来ソフビファンが想像していた本来あるべき大きさのソフビプロダクツとして
クソゴンの製品化が果たされた。。。といった経緯のようです。
退避しろ!!メルトダウン!攻撃不可能!!
公害よりも放射能よりも恐ろしい人体のケガレを体内で満たした怪物。
ドロドロに表面が汚染物のような液体で汚れたボディ。
あくまで排泄物そのものではなく
排泄物を蓄えたタンクのような胴体のようです。
クソゴンの頭部には浄化槽の天井に付いているような取り出し口が。
「キャプテンウルトラ」のコンピュータ制御による食品工場が怪物化した
変身怪獣バクトンのように、クソゴンにも、「全自動し尿処理システムが暴走して
怪獣化した」とかそのようなSFチックなバックストーリーでもあるのでしょうか。
MONSTER WORSHIPさんでは特にこのクソゴンのバックボーンを細かくは説明して
おらず、キャラクターが立体物となってファンの手元に来ても、そのスペックは
未だにミステリアスなままDeath。
胴体は水平な円柱状ですが、心持ち前に傾斜してやや猫背気味となっています。
この点もミニソフビオリジナルの姿勢をそのまま作り写しています。
違いといえばオリジナルは底蓋がついているのですが、スタンダードのクソゴンは
底が一体型です。
異様~に細い腕。
ミニクソゴンを手にするとわかるのですが、手はガイコツのような
パーツで、よく見るとプラモのランナーというか成型時のバリが付いています。
つまりこの腕パーツは元々ソフビ用に新規で作ったものではなく、
他のフィギュアか何かのパーツを手を入れずにそのまま流用したのでしょう。
アメリカンフィギュアに詳しい知人によると、
「ヒーマン系の昆虫モンスターの腕パーツでこれに寸法、仕様とも似たものがあるの
だがそれではないか」という話をしてくれたのですが、じつはこのアリモノのパーツを
腕として使用したことで、自作した胴体と細い腕とのアンバランスさが生じています。
いわばパッチワークによって作られたことで、このような奇怪なまがまがしい
偶像的な怪獣のキャラクターが生まれたといってもいいでしょう。
つまりは怪獣を作りたいという送り手にはらんだ狂気が半ば部品を組み合わせた
偶発的な創作で生み出したと。
またジョウゴのような形状の頭部も腕同様にアリモノのパーツなのではないか
という説があります。タンクの取り出し口のところが欠けていて、何か「ランナーから
もいだ」かのような形跡があるからです。
クソゴンのどこかインダストリアルな空気の混じった狂気は、アリモノの部品を
つないだときのバランスの危うさから発生していたということが、ここでも検証
できそうなところです。
もちろんターゲットアースさんのスタンダードクソゴンでは大きさ、造形を見ると
腕も自作した原型を使用したようです。そして頭部の部品も律儀にオリジナル同様に、「何かパーツ欠け状態にある」ままに再現してある。
いわば「ソフビのオリジナルに忠実なカバーバージョン」というところでしょうか。
全身同じ原型師氏が作製したことで、スタンダードクソゴンは
全身に独特の狂気をはらみつつも、ミニよりもバランスのとれたルックスの
立体物となっています。
大きくなってもシュールなデザインなのは変わりませんね。
BEMON公害怪獣(上)と昭和のソフビメーカー、オリジナルプロダクツ「スモゴン1号
(復刻堂アイテム)」(下)。名前から判断しても、このクソゴンの
デザインコンセプトは日本のIKBおよび現行ソフビのBEMON公害怪獣によって
補完されたスモゴンシリーズからのインスパイアによるところが
大きいのではないかと思われます。
クソゴンの「足をつけなかった」センスはBEMON公害怪獣や
IKBのヘドロ3号から学んだ造形に「簡略されたことで発生する存在の強度」を見出し
生み出された造形的判断であると見てよさそう。
MONSTER WORSHIPさんが日本の公害怪獣ソフビとその補完現行ソフビに刺激を受けて
自分だけの公害怪獣を作りたいという流れに結び付いたのは想像に難しくないところ。
そしてこのたびターゲットアースさんの手により原型製作されたスタンダードサイズが
登場し、海を越えてきた公害怪獣としてクソゴンが日本の昭和と平成をつなぐオリジナル怪獣スモゴンシリーズといっしょに並べられるIKBリスペクトキャラクターソフビの
「日本仕様」として生まれ変わりました。
クソゴンは2009年当時、海外で収集やカスタムペインターとしての立場から
さらに一歩クリエイティブな方向に踏み出して、自身のメーカーを立ち上げて
自分だけのオリジナルソフビを作って世界的に展開するという、
「ファンからメーカーになりたい」
現地のヒトたちの夢をいち早く実際の立体物として実現したアイテムのひとつで
あったといえます。
本国でもこのクソゴンはモンスターファンの作ったアーリーデイズオリジナル
プロダクツとしてニッチながら根強い人気があるようで、MONSTER WORSHIPさんの
HPを見ると幾度かカラーを変えての販売が現在も続いています。
MONSTER WORSHIPさんはその後もデザイナーズソフビよりの「グリースバット」や
アメリカンオルタナティブコミックアーチストJohnny Ryan氏の作品「Prison Pit」
の登場キャラクターを忠実にソフビ化した「カニバルレスラー」などの製品を展開、
カルトバイナルメーカーとしてさらに現在も前進を続けています。
クソゴンのタンクの中には海外でソフビが作りたいファンの濃厚なパトスが
ドロドロになって詰まっており、その律動がこの狂気を漂わせた足のない
不気味な怪物をカタチにしさらには今回、本来あるべきソフビのワールドスタンダード
サイズによる、KAIJU VINYLとして日本のソフビメーカーの手により新生するところと
なった、といえそうです。
このクソ!ゴン(笑 は確かスーフェスで最初に発売されたのでしたっけ?それともキャラコンだったかな?買ったらT-シャツ貰ったのを良く覚えてますよ。クソゴンと命名した意味が判らんしソコが何となく胡散臭くてね・・・イマイチしっくりこないのです。当時物のスモゴンとかヘドラシリーズはそれなりに時代感反映してるでしょ。クソゴンがそれに続くゲージンなりの解釈とは思わないけど、名前はそれなりに何かを連想させるものですよね。パチ・オリジナルはそんな事考えなくていいんよ!と言われればそれまでですけどね
ヒーマン系のフィギュアの腕をソフビに型取りしてオリジナルのボディにくっつけるというのは外人さん好きそうなアイデアですね。
flickrとかで外人アーティストのカスタム見ていてもそういうマッシュアップ物かなりありますもんね。
日本人ではあまり見かけないのでなんだか斬新だと思います。
ソフビ作る時このアイデア使おうかなぁ
>使おうかなぁ
クソゴンのパーツ流用はあくまで一発芸だと思います。
自分の作りたいものはこの方法しかないという
手法としてやぬなく導入
したのでき●がい感が出たということですね。
パーツ流用をフルで行ったダイゴミというソフビが
その後出てますが、コレクションとして持っていますが
ちょっと全身に流用パーツをつかうのは
食傷気味だったな、というのが自分の本音です。
実際手に取ったお客で、ダイゴミの全身のは
彫刻したディティールだと思ったら
Nゲージパーツだったという声も多く出ていましたし。
以前ハッピーセットと自作を混ぜ合わせたような
アイテムもあったと思いましたがあの辺りが
このジャンルでやれることの限界じゃないですか。
日本人のソフビ観から観るとそのマッシュアップモノは
やはり異質だと思います。
2009年の春にキャラコンの前の
スーフェスで売ったんじゃなかったかと
思います。たしかVelocitronさんが
自作製品のラーバゴンをリリースしたすぐ後だった
記憶が(トオイメ)。
クソゴンが直に日本の昭和怪獣ソフビに直結する
とは自分も思っていないですが、昭和で排泄物を
イメージした怪獣は「品がない」ということで
アイデアに上がらないと思います。
あの「トイレット博士」もアニメ化の話が出て結局
「下品すぎる」ということで二の足を踏んだ経緯が
あるそうです。昭和の頃は日本では
クソ、シッコは表現物として
物忌だったんでしょう。今はクソ、シッコ自体が
市民空間の表の世界にはないことになってる
感じですが。
クソゴンのクソって外人さんの「シット」という言葉を
日本に置き換えたらたまたまこの単語が出てきて
あてはめた、そこがスタート時点て気がするんですよ
ね。だからクソゴンの姿自体も本来は排泄物ではない
ケガれた、見た者たちから分離すべき何かという
対象として捉えたほうがいいのかもしれません。
バクラー?さんの唱えるレトロパチという括りで
ソフビを考えると現行ソフビで、当時存在しない
ニュースクールなイメージやフィギュア的に
ドメスティックな造形で作られた怪獣は
もはやほとんどあてはまらない
ということになるんじゃないですか。
まぁ、かなり厳しいハードルじゃ
ないかな(微笑)。自分は極論すれば当
時出てるものと同じようなものは似せて
それっぽく作れても
あくまで現代のものであるとどこかで
別な評価機軸で見るべきもの、と
線引きしているつもりです。
クソゴンはプリミティブな怪獣への憧れだけで
ぶっちゃけ造形技術はほとんどなく作られたので
8割精神による製品ですね。作り手のそのこだわりの
彼岸まで怪獣を作りたいスピリッツが奇跡的に
到達したみたいな稀有な例として捉えて
評価しております・