KADOMIUMTANK ソフビブログ

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復刻堂×大協ケラトザウルス

2010年11月23日 | 当時物ソフビ


パチサミに行き、脳から快感物質がダラダラ出てきて
この祭日は心地よい疲れに包まれると思ったのですが
そんな休息のいとまもなく
強力なシーゲキを注ぎ込むアイテムが小雨の中届けられました。
てなわけで多大な話題を提供してくれたパチサミのルポは
ここでちょっとインターミッション。

怪獣ファンにとっては有史以前の地球と脳内では同義であった時代。
そう、怪獣と恐竜が日常的に跋扈していた昭和40年代。
生命感ある力強い造型の怪獣ソフビと、おもちゃ的イマジネイティブの入った
独自の恐竜ソフビを展開していた大協。復刻堂さんの新作復刻は
その「生きていた恐竜と怪獣シリーズ」のケラトザウルス。
ケラトザウルスは生きていた!

本年秋に届いた、大協のジアトリマを特典とする4体の怪獣セットの
到着と同時に販売アナウンスが出され、
しかも販売品がケラトと聞き、驚愕しながら
同時に狂喜したファンも多かったと思います。
いや、けっしてそれは大げさでもない。

ケラトザウルスは同社の恐竜ソフビでも現存数が少ない、
幻といってもいいアイテムでしたから。
まさに現代に生きていた恐竜ソフビとなった大協ケラトザウルス。
こうしてケラトの復刻品をジアトリマに続いて
レビューできる日がくるとは思ってもみませんでした。




本文中、以下ケラトでいきますね。ケラトは
「宇宙怪獣シリーズ」と称された中岡俊哉氏監修の
ソフビシリーズの広告にも写真が掲載されており、
同時に同社の「生きていた恐竜と怪獣シリーズ」の
広告にもその姿が写真として掲載されており、
当時の玩具商報に載った2つの広告が今も存在して
いるのですが、この広告がまた曲者というか、
果たしてこの写真どおり当時ケラトが販売されたのか
どうかは好事家の間においても疑問視されていました。

とにかく大協の広告上では
宇宙怪獣でもあり、恐竜でもあるケラト。

一体恐竜なのか怪獣なのか?というのもファンに
とっては気がかりな存在でした。

とにかくケラト本体を見ていっしょに検証していきましょう。
はたしてケラトザウルスは恐竜か宇宙怪獣か?




今となっては現存数の少ないケラト。
その残っているケラトも
ネット上の写真等で見ると目や角のゴールドが
酸化して溶けていたり、恐竜ということで
当時は本来のソフビユーザーである子供が
手にしたこともあって塗装が落ちていて
真っ黒な状態になっているものも多く
当時販売された状態で
見ることは復刻されない限り誰にも叶わなかった
ことでしょう。これはソフビでタイムスリップ
している感じでしょうか。

あるマニアのヒトが前に言っていたのですが、
「なんでこんなに残ってないんだろうね。
ただ自分のソフビの記憶をたどると、
なんとなくケラトが残ってないのは判然とする。
恐竜は一目瞭然で怪獣じゃないから
子供もつい邪険にするものだった。そして
ケラトは若干大きいので親にも場所をとると
邪険にされたのではないか」と。

ケラトの出現率が少ないのは、成形面で見て
指摘する向きもあります。
当時のソフビ技術では金型の大きさ的に
このケラトは大きすぎ、成形エラーが多く出ることで
思ったように効率的生産ができなかったので
元々大協が予定していたロット数も確保できずに
結局世に出た数自体が少なかったからでは、
という推測も聞いたことがあります。

ケラトは同じ大協の宇宙怪獣シリーズでリリース
されていたマイティと同じ
レッド+グリーンという塗装パターン
なのですがケラトはこんなに
カラフルな恐竜ソフビだったのですね。
不思議と最近の恐竜の学説では恐竜は
派手な色だった種類も多いので、大協の
手がけた塗装コンディションは最新学説の整備
される20年以上も前にすでにソフビとして
実体化していたということか。
しかもそのケラトのソフビも40年近い前の
ビンテージトイとして、すでに立派に考古学的な
目線で見れる対象になっていたりする。





例によって岩場を原始時代に見立てて
「終局の浜辺」で撮影。

撮影していて
思ったんですが、角度ごとに表情が
異なり、肉食恐竜であるケラトサウルスとしての
獰猛さをたたえながら赤ちゃんのように
手のひらがパーのポーズを模しているなど、
恐竜としてのリアリティは現在の目線で見ると
乏しいものの、ソフビとしての情感という
意味でやんちゃ造型までも適度に配合されており
単なる恐竜のソフビというには、漂うものの豊饒さは
やはりマニアが語り継ぐに足るソフビといえます。

何よりこの精悍な表情ーーソフビからすでに
好事家に語りかけているとさえ、言えるでしょう。





ケラト・リアビュー。
この角度で「生きていた恐竜と怪獣シリーズ」の
広告上に掲載されていました。後姿なので
妙~にミステリアスなビジュアル。
この状態で手を上げていると、「パー」を
手でやっているみたいで、
獰猛な恐竜らしからぬお茶目感が。
そしてこの背中から尻尾にかけてのうねり感の
表現。大協のソフビはマイティ、ザゴラも
なのですが、特にマイティの背中のうねりは
見事、このケラトもで、リアビューが映える
ソフビ揃いですね。






大協の他の恐竜・宇宙怪獣プロダクツもこの機会に
載せてみる。。。

何かドメル艦隊の空母群が揃ったみたいな
高揚感があります。アロザウルスは
たぶんケラトと同じ原型師氏の手がけたアイテム
ではないかと思います。肉のしわの入れ具合、
顔の彫りの感じや、何より手のキューピーのような
「パー」のポーズがそれを裏付けます。









大協のソフビは恐竜にキューピー的なファンシーな
要素をこのケラトとアロザウルスに付与したのが
造形的に面白いポイントだなと自分はつねづね
思っています。
アロザウルスは夏みかんのような色のイエローと、
恐竜図鑑に載っている絵の恐竜っぽいオーソドックスな
恐竜カラーのブラウンのアイテムが存在します。

ハリウッド映画「恐竜100万年」に商機を
見出したマルサンの恐竜シリーズとともに
当時恐竜アイテムとしておもちゃ屋さんの
軒先をにぎやかせたことでしょう。




続いて大協チラノザウルス。
これはソフビ人形というよりフィギュアという
感じでしょうか。固定ポーズではないんですが
まず右手が胴体と付着した形で成形されており、
ぴったりひっついている。

さらに足ですが、この歩行した
ようなポージングでは一応自立するんですが、
直立ではまったく立たないものとして
作られている(ヒエー)。これは親切な知人から
恐竜の人形がある、と声をかけていただき
譲り受けたんですが、届いたときちょっと
期待はずれ感がありました。何しろ立たないん
ですからね。でも不思議と手元に置いて眺めて
いると、恐竜時代のチラノサウルスの日常を
捉えたヴィネットみたいな情感を感じ、だんだん
味のあるアイテムだな、と思い、暴君竜としての
チラノのイメージを再現しようと険の入った
表情とこの通常から歩行ポーズという
ちぐはぐな感じが、今ではお気に入りの
一匹となりました。



「生きていた恐竜と怪獣」の広告上でもどこかに
急いでいるような歩行ポーズで映っているのが
微笑ましいです。大協の恐竜ソフビはシリアスに
作っていながら何かと手がパーだったり、
走りポーズがデフォルトだったりと、どこかに
気の抜けた感じがあるのがまた今となっては味となっていますね。
マルサン恐竜はやや無難なのですが、対して大協ソフビは
恐竜の枠を超えて作られてしまった粗野な野趣を強く感じる。

精緻な恐竜フィギュアばかりになった今。
恐竜キングのソフビなどは造型、彩色もすばらしいですね。
それらこそもちろん時代の潮流に合わせた
恐竜トイの進化形なのでしょうが
恐竜という存在をイマジネイティブに捉えた
大協ソフビは今の目で見ても新鮮であり、あくまでコアなマニア、
好事家間の間での話ですが、ケラトの復活で、
再評価の機会をようやく得られた感じもあります。




そしてこちらは大協「宇宙怪獣シリーズ」
として販売された(のかどうかわからない)
時のメンバー。ソフビファンにはおなじみの
ザゴラ、マイティ、
そして宇宙怪獣(宇宙恐竜?)ケラトザウルス。
他の恐竜に比べると中サイズで見栄えもするし、
角もいっぱいあるし、
こうして見るとザゴラやマイティと並んでも
違和感ないですね。



元ネタの中岡俊哉先生の名作
「世界の怪獣」からザゴラ、マイティを
セレクト。でもザゴラは地球の怪獣なんだが。。。
そしてケラトもシリーズの一匹として発売
された・・・らしいのですが、ヘッダー入りで
現存してるのを誰も見てないので、ケラトが本当にこの
「宇宙怪獣シリーズ」としても発売されたのかは
なんの証拠もありません。

マニアがよく言及するのは、宇宙怪獣シリーズを
ラインナップしたのはいいが、ザゴラ、マイティは
製品として用意できたもののそれ以外の企画が追いつかず
玩具商報の広告に、恐竜シリーズとして発売した
ケラトを「とりあえずにぎやかしに」と混入しておいた、という
説。これはマニアの定説が現実通りのような気がします。

といっても、ケラトが実際、怪獣なのか恐竜
なのかはちょっと見には判然とせず、
(まあ恐竜なんですが、
何か大きさや「パー」な手であることも含めて
むやみな過剰感が怪獣と言わしめるものがある
のも確か)当時の大協としては、「いちおう恐竜として作ったけど、
3匹くらい居たほうがシリーズらしいから
宇宙怪獣の広告にも載せとこう」みたいなノリ
ではなかったのか、と思われます。
まあごぞんじのように昭和当時のパチカードの世界を見ても、
円谷怪獣をつぎはぎパッチワークした怪獣を丁稚UPしたのが
間に合わなくなり、適当に図鑑の恐竜図版に
レタッチして火を吐かせたり光線を吐かせたりして混入していた
時代なので、大協もさもありなん、というところで
しょうか。

気になるのはケラトが
マイティと同じ塗装パターンである
ことですね。「生きていた恐竜と怪獣」と
宇宙怪獣シリーズは同時期に仕掛けられた
大協のビッグプロジェクトではないかと思うので
あくまで仮説ですが、塗装時期が
同じだから塗装時のコスト節減を図る意味で
同じ塗料の配合で塗られたとか、
あったりしないか・

昭和当時は怪獣も恐竜も渾然一体となり、大括りの
「怪獣ブーム」を雑多な商材が支えていたのです
から。。。売れればなんでもあり、みたいな。
このケラト君もその時代の激動下、業者の都合で(笑)、
ほんのひととき、恐竜と怪獣の定義の間を
フレキシブルに行ったりきたりしていたのでしょう。



ザゴラ「やーい、怪獣だか恐竜だか
わかんないヤツ~」
マイティ「宇宙恐竜・カッコ笑い(笑)」
ケラト「わーん おれは一体何なんだ~」いったりきたり。



オロオロ

「HA HA HA!」




なお、「宇宙怪獣シリーズ」には
広告上の写真を見るとソノシートが付属しており、発売
されたザゴラ、マイティなどの怪獣たちの解説が
吹き込まれている、と広告中では記載があるの
ですが、このソノシートが現代において発掘されて
いないし、「当時聴いた」というマニアが名乗り
出ることもいまだありません。タコもモノ好きなので
年季の入ったマニアにはお会いすると
それとなくたずねてきたのですが。

考えてみると、この情報化の時代に
おいて、まして古物の入手ルートが多様化された
現在において、当時広告で発売をほのめかしておきながら
まったく一個も現存しないアイテムなど実はそうないはず。
まあ、誰かしら持ってるものです。

ここ数年、マニアは「元々ソノシートはなかった」との結論に
傾いている模様です。まあ、IKBのヘッダー上
には掲載されているスモゴン2号と同じような
話ですね。ただ、出てこないソノシートがあると
いうことでそこもミステリアスといえばミステリアス。



魔の地帯に潜入。。。夜間撮影にて
恐怖の恐竜魔境の渓谷で
深夜の狩りをするケラトをイメージして撮ってみました。
怪獣にマストなまがまがしさと、人形として欲しいお茶目さが
一匹にギリギリのバランスによって共存する造型の妙。
愛らしくも猛々しいケラトは怪獣の枠にも
恐竜の枠にも収まらない。昭和の怪獣ソフビとしての
レトロ造型のミリキを存分にその身に湛えております。











ケラト自身の造型のワイルドな迫力もあいまって
その一向に出てこない宇宙怪獣ソノシートや、
発売時のシリーズ帰属があいまい、
宇宙怪獣でもあり恐竜でもあるという属性の具有が
妄想度を加速させてしまい、
さらに当時品の現存数が極めて少ないということもあり、
得もいえぬミリキが重層されていきマニアの妄想の中で一人歩き
していった存在であるといえましょう。

いわばこの記事は作られなかった「宇宙怪獣ケラト
ザウルスのソノシート」ではなく、
「大協のソフビ・ケラトザウルスに
ついて語ったソノシート」を目指してみました、という感じカナ?

かといってバックボーンだけでなく、やはり
現物を前にすると、それはケラトの造型のミリキによって
マニアが惹かれていたにほかならなかったことがわかります。
そして今、ケラトザウルスは復刻され
マニアの妄想の魔境の中にしか居ない
幻な存在ではなくなった。。。

そう、ケラトザウルスは生きていた!







http://www.youtube.com/watch?v=jBfygUiS50g
つ【HELMET/UNSANG】

http://www.youtube.com/watch?v=6BOHpjIZyx0
つ【SEPULTURA/ARISE】

http://www.youtube.com/watch?v=O_fJ5SSV_Vo
つ【JUDAS PRIEST/HARD AS IRON】

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