KADOMIUMTANK ソフビブログ

ヘミングウェイの詩にこんなのがある。
「人生は素晴らしい 戦う価値がある」
後の方は賛成だ byモーガン・フリーマン

昭和の奇獣ボンドラア×エビレオン

2011年11月28日 | 当時物ソフビ

 

久々に仕事が1日空いたので塗装なんかしてみたくなった。
killer J凶悪怪獣サギラン改スーパー怪獣シリーズトリケランカラー。
発売したときにこのカラーはカスタム大会とかでも意外にやってなかったので。
レトロソフビに見立てて、なのでデザイナーズっぽくくっきり色ごとにゾーニングしてません。
あくまで当時ソフビ感覚のイメージで吹き吹き、塗り塗り。
しかしサルモンの胴体流用でトリケランのパチって無理があるよな~と思ったものの
色合わせしてみるとなんとなくトリケランに見えちゃうカナ。
トリケラン「お口ポカーン 見えない、見えない、なんだこの体!おれこんな植物みたいじゃナイ!!」

 

あっ、そういえばトリケランを模してるのに鼻の上の角がないんだな、サギランて。
分割上の都合って気もしないし。あとでクリアの角を探してきてつけるかも。

 

でもスーパー怪獣シリーズが悪ノリしてジャイアントサイズ作ったら意外とこんな
胴体は似ても似つかない体になっていたかもしれぬ。マルサンオリジナルなんか
スタンダードとジャイアントサイズで全然造形的解釈の違うキャラになってるヤツが
ゴロゴロしてましたものな。



ちなみにリアビューはこんな感じ。サルモンのサブロテンチックなバックディティールをそのまま生かして
グリーンクリアの成形色を生かしつつ南洋の樹齢を重ねた植物風に軽く吹き吹き重ねて
いったもの。
まだ少し全体に雑な箇所があるので手直しするけど手を入れ過ぎるとこれがだいたい
やりすぎて駄目になる、自分のとっても悪いクセ。ほどほどに切り上げる。

というわけで、こいつの相方も仕事の隙を見つけてペイント中~。

一度は扱いたかったマルサンさんの海の怪獣・エビレオンと空の怪獣・ボンドラア。
彼らこそ昭和の奇獣にふさわしい2匹。
すでにマルサンさんからありがたくも、本年奇跡の復刻を果たしている2体ですが、
やはり自分的に飽きない、おれにはこいつらしかいなかったんだと心底思えるソフビが
ヤツら。
上のは今回マルサンさんが復刻したエビレオンの赤海老バージョン。本年春の土砂降りの原宿で
開催された「マルサン展」で販売された限定カラーver.でありんす。

オリジナルと並べた写真も載せてますが見てのとおりあまり収縮していないのでこれは良復刻
Death。おまけにじつは当時オリジナルよりも数がレアな気がする。マルサンオリジナルって
現在ではけっして爆発的な需要はさすがにないな~。でも熱狂的なファンはいるんですYO.
ただ、その何人かは普段からソフビ話をしてくれているごく近い知りあいの中にいるみたいな
気がするんですが。ほんとにそんなセカイ。

ボンドラア。これは当時物。タコはさんざん何年もボンドラアを見てきたが、どうも当時から
この2色しかなかったっぽい。マルサンオリジナルは多くても1種2色ですが。
マルサンオリジナルでは鳥の怪獣は5匹(ラドラキングはコウモリの怪獣だけど)おりますが
自分はこのボンドラアがキュートさではイチオシ。(ガラバドンは当時幼児の頃に持ってるので
インプリンティングが強烈で、別格的に好きな鳥怪獣ですが、造形ではボンドラアにだいぶ譲る)
けっして造形的にカッコイイとかいう怪獣ではないけど見よ、この朴訥な愛らしさ!
マルサンさんの復刻でガラモンカラーも出ていますが、ほんとにレトロ塗装の有名なカラーは
彼は大概合いますね。

手の平の造形から見て、モグリネスやシーブル、バンカー星人、ザバラなどカワイイ系の
マルサンオリジナルを多数手掛けた原型師さんの作と思われます。
この原型師さんの作った怪獣は丸っこく、まだ思考が未発達でただひたすら愛らしい
幼児のようなポカーンとした顔をしていて、ことごとくラブリーDeath。
造形はグニグニしてますが、斯様な造形こそがじつは幼い子どもさんの未分化の頭の中にある
怪獣そのものなんじゃないかという始原的意味合いでの造形として、プリミティブな
ミリキを放っております。

ボンドラアのサイドビュー。この尾羽根まで伸びるところの粘土粘土したいかにも
グニューンとうねったようなラインがまたたまらんです。
彼に比肩するうねりを持つといったら大協のマイティのリアビューくらいだろうか、
対抗できるというなら。
昭和のソフビの造形的グルーブ感の根幹には力強い職人さんの造形的直感に任せた
「うねり」の表現があるとつねづね思うのDeath。

しかしこの近所の人なつこい飼い猫みたいな顔の怪獣が工事現場の人たちの仕事を
せっせと手伝うっていう設定も想像するとふわゆるほっこりとしたキモチにさせるものですが、
今年開催のマルサン展でKeyさんは当時、学生のバイト的立場で怪獣新聞を作り上げた方が
ゲストで会場にいらしたので質問

「どうして鳥の怪獣なのに青函トンネルの工事中に地中から発見されたんですか?」と
たずねておられました。

一見脳裏に浮かんだ言葉を雑多につなぎあわせのような感じでつくられたあの「怪獣新聞」
の記述ですが、実際現場の作業はどうも後年マニアが類推していたようなことだったようです。
というのも、

ご本人によると、なんとなくその時々に頭に浮かんだ言葉や直前に読んでた本や
聴いていた音楽などのタイトルや言葉をつなぎ合わせて新聞の怪獣の特徴の中に
盛り込んでいったとの話。
たとえばマルサンオリジナルヒーロー、ウルトラサターンの記述を書いていたときは
ホルストの楽曲を聴いていて金星という設定を盛り込もうと思ったとか、そんな感じらしいです。
あと、割と家に帰って記述を作る作業を、晩酌でお酒を飲みながらやっていたりもしていた、との話。いいなあ~マニアが想像してた通りじゃないか。でも、ご本人からそういう話を
リアルに聴けると、書いた御当人がすでに書いていた内容のことなど覚えていなくても
マニアとしてはさらに怪獣新聞の中に描かれた怪獣たちのディティールの一語一句が
生のモノとして重みをもっていくわけで、あのマルサン展はやはりマルサンオリジナル怪獣
マニアには至福のヒトトキではあったのDeath。。。

そしてエビレオン。ほら、当時物とそう大きさは変わらないでしょう。

タコは怪獣新聞の記者さん(当時)からこの通り足裏にマジック書きでサインももらっちったぜ。
これは家宝だ!

海産物系のマルサンオリジナル怪獣中でももっともラブリーで一度見たら忘れられない
泥臭さとともに奇妙な印象を残すエビレオン。
当時は怪獣とマンガが同一視されており、そんな気の抜けた子ども向け娯楽の分類が
そのままソフビ造形上にフルレンスに反映してしまった、そんな1体と言えるだろう。

やはり当時、上野駅前の裸電球の下にテントを設営して板を並べて駄玩具を売っていた
露店をのぞきこんだ、農閑期の出稼ぎから自分の田舎に帰る途中のオトウサンが

「えーっと、坊主が言ってたのはなんだっけゴジラと戦ったエビラだっけ」とか言いながら
「エビレオン、、、これかー?ウルトラ怪獣って書いてあるけどまっいいか」とか言いながら
ついうっかり買ってってしまったんでしょうか。

今、コアなマニアの間では人気だけど当時エビレオンが家にあったお子さんは
そもそも気に入っていたんだろうか。基本的に子どもは甲殻類系の怪獣は好きなはずだけど
こやつはエビというよりは、こんな人間臭い顔になっているからなんともいえないところですね。

昭和の高度成長期頃の、怪獣であればとにかく売れた、そんな時代に生み出された
時代のあだ花、マルサンオリジナル怪獣。
新興のブルマァクを追い落とす仁義なきパチモンビジネスの刺客として送り込まれた
にしてはじつに愛らしく、計算されていないラブリーさを持つ奇妙な怪獣たち。
彼らを刺客と呼ぶには、あまりにも情緒的すぎる。
しかもそのミリキはほとんど語られぬことなく、すでに40年以上が過ぎている。
今、その中でもストレンジでキュートな2体が復刻品として容易に手に取れる環境にあるのは
ファンとして喜ばしいところ。造形が洗練されているわけでもない、けれど自由な発想で
生まれた、こんなラブリーな怪獣はもはや遠き昭和の世でしか生まれえぬものなのだろうか。
われわれはすっかり怪獣の憧憬として彼らの存在がデオキシリボ核酸に刻み込まれてしまった。
そんなマルサンオリジナル怪獣のことをたぶん終生忘れ去ることはできなさそうだ。

つ【Dancing on your Grave/Motorhead】

http://www.youtube.com/watch?v=46K9jNPzUHs

つ【OverKill/Motorhead】

http://www.youtube.com/watch?v=3VNUyjRRjxM

つ【Devils/Motorhead】

http://www.youtube.com/watch?v=BY2BGPipaQw


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6 コメント

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Unknown (タマロ)
2011-11-28 23:50:31
これが先日カスタムしていたという物ですね!!
すばらしいの一言です。
欲しくなりました。
いろいろなカスタムを見て来ましたがこんなに良いのはそうそう見かけられませんよ。
管理人さんのセンスには驚かされます。
ボンドラアとエビレオンは当時とサイズが変わらないということはこの二対の金型が見つかったという事ですか?
マルサンオリジナルの大サイズも是非復刻してもらいたいです。
最近パチ怪獣全体が値上がりしてるみたいですがその中でもマルサンオリジナルの大サイズが今年になって値段が異様に上昇しててビックリしてます。
返信する
Unknown (タコペッティ)
2011-11-29 13:09:04
どうもです。いや、すこしまた塗りが細かすぎた
ようで全体としてみると反省点多々ありです。
全然素晴らしくないですよ~同じ素体があったら
もっと巧く塗ってあげたいくらいです。
安くて塗りやすそうな素体が中古店に転がって
たので試してみたんですが、こういうのは
塗ってても肩がこらないでいいですね。
相方のアイツも塗るのでよかったら見てください。

>大サイズ
造形的に大は正直もうひとつかな。
単に担当した原型師さんの作風の話ですが。
ラバゴンやゴスラなど
オークションでむやみに値がついたので
よくソフビファンの話題に載りますが、
どうもプレ値先にありきという気もするので。
まあ出回っていて高くなかったら欲しいですが
数が少ないというのも持ってて重すぎるし。
自分は全般にスタンダードサイズのほうが好きです。
マルサン展のときにスタッフさんが、あまり
版権怪獣に似てるのは権利先との関係も
あるし復刻できないと
おっしゃってました。ゴスラは双頭の顔のつくりが
どう見てもまずいでしょう、との話でした。

>ボンドラアとエビレオン
当時もののブツどり復刻のようです。
オリジナルをつぶしたようで、しっかり
原寸に近くなってますね。過去のベラとか
ちっちゃくなってましたものね。
復刻堂さんのヤツも原寸とそう変わらない
出来ですが、今回のマルサンさんのも
当時ものをもっていても余裕で合格ラインですよ。

返信する
Unknown (タマロ)
2011-11-29 17:28:33
ブツどりであそこまでオリジナルと同じなのはすごいですね。
復刻堂さんのはジアトリマなんかはオリジナルと比べて少し小さいと思いました。
確かに大サイズは版権的に難しいですね。
自分はトルトス海人なんかはスタンダードより大サイズの方が好きです。
ただ他のは確かに…ですね。
古参のコレクターではなくここ最近の現行パチや双頭ブームにハマってた人達が当時物のレア物パチに移って来ていてバブルが起こってると某トイショップの人が話していました。
レア物パチて変ですよね。
パチなのに…
返信する
Unknown (タコペッティ)
2011-11-29 20:35:43
まあ復刻でも型どりの時点で
ディティールがぶっ飛んじゃってる
ようじゃ駄目ですけど、別に古もの確保に
こだわらないでもいいんじゃないの?という
のが自分の考えですよ。元のつくりが
カタカタなものは持ってても不安ですからね。

>古参のコレクターではなくここ最近の現行パチや双頭ブームにハマってた人達が当時物のレア物パチに移って来ていて

え~?自分が聞いた話ですと、移ってはきたものの
昔のソフビなので作りがちゃっちかったり
塗装がザツ(に見えたり)ですぐ飽きてまた
手放すようなヒトも少ないってことでした、です。
さすがに現在のフィギュアのような作りの
細かいモノではないですからね。
雑でユルいから出るミリキなわけで。
結局プレ値の価値なんかじゃないんですよ。
そもそも古モノ関係は中間で商うヒトたちの都合で
プレミアムがついたりして、今、◎◎が高いとか
なるのが昔ながらの流れなんですが、
実際には昔のパチ怪獣は適正価格3~4000円
ですよ、そこに皆が殺到するのも本来健全な話では
ないと思います。純粋に造形に興味を持ったとか
ならいいんですよ。ただプレミアがついてる
とかばかり意識して流れで見てるようなヒトは
所詮モノの本質を見極めていないと思います。
そもそもヒトが本来注目しないようなところに
自分なりの価値を見出して収集していくものこそが
コレクションでしょうからね。

>マルサンのジャイアントサイズ
実際じっくり見てみるとタマロさんの言う通り、
味があるのはトルトスくらいですよ。
後のジャイアントは別に入手しようと
ムキになるほどのことはないと思います。
でも、身近で誰か持ってたら
ラバゴンとかもじっくり見てみたい
な、とは思いますけどね(微笑)。
返信する
Unknown (タマロ)
2011-11-29 22:21:54
自分はまんだらけの店員さんに聞いたのですが結構いろんな見解があるんですね。
パチにできの良さを求めちゃダメですよね。
あのできの悪さこそがパチの醍醐味みたいなもんなんですけどね。
ラバゴンもあの今の値段にはけしてそぐわない感じです。
他人の価値観に文句は言いたくないですがあれに30万とか40万とかで買う人が不思議に思います。
トルトス海人はオリジナル怪獣シリーズのなかでも随一ですよね。
返信する
Unknown (タコペッティ)
2011-11-29 22:54:58
だらけさんもお客の空気を読んでの発言だと
思うのですが、逆に変にブーム煽りをしたつもりも
ないと思います。お客といっても顕著に
古モノに投資するヒトが何人かいる、そんな
感じですね。ただ長く趣味のひとつとして
集めているヒトと短期間で集めようとつぎこん
じゃってるヒトと居るんで、後者のヒトはもっと
プレミア品として熱いモノが出てくるとそっちへ
流れていくでしょう。今までも現行品で
急に盛り上がったと思ったらその後ぱたっと
プレ値が下がって今では誰も目もくれない製品
ってありますよね。そんなのと同じです。

古モノは骨董筋に目が利く知人を経由して
何点か入手したことがありますが、少し前までは
アンティークソフビとして駄モノにすぎなかったん
ですよ。「マルブルの有名な怪獣でもないのに
こんなヒドいの要るの?」って言われてた
くらいですから。
たぶん今もその数人の競り合いで
中間の流通が高値の雰囲気を醸成して
中古マーケットがもってるってだけでしょう。
ただし、その数人の気持ちも、
ちょっとわかります。何か市場から消え始めて
いる(ように見えるが実際はそうでもない)ので
一期一会とばかりに同じ対象に殺到して
権勢症候群みたいになってるんでしょう。

ラバゴンは前から見た時と横から見た時の
印象が違いますね。横の面構えはいいんですけど。
自分は30万あったらもっと細かくいろんな消費を
しますね。皆、ソフビ集めでも何年もやってれば
ある程度「あがって」ますので
自分の一番があるのならそれ以上はもう
高額なアイテムの現物がある=満足と直結しない
感じに自分の中での空気が変わってきている
ような気がします。収集が目的化しても
愛好の実態が伴わないとしょうがないんですよ。
価値の相対化という脳の処理作業がおいついてない
んでしょう。

あとプレ値がついたつかないで四六時中、
無邪気にさわいでるのも傍で見てて
ものすごくカッコ悪い感じがするんですよ。
結局コミュニケーションツールにすぎないのかって
感じでね。実際、パチモン怪獣ももうずいぶん前の
ニヒリズムファッションにすぎないです。
全然手垢のついてない未登頂のせりあいのない
ジャンルに自分のイマジネーションを駆使して
登り、こんなのを集めてるのか、と
ヒトに驚かれるような価値を新たに独自で
見つけるほうがやってて楽しいと思いますよ。
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