KADOMIUMTANK ソフビブログ

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タカトク アーケロンガメ×キングアロー

2012年03月19日 | 当時物ソフビ

 

ゴルゴジラとスーパー怪獣シリーズにつづいて今回も当時物のパチ怪獣です。

自分的にはかなり存在感を発揮してくれる一体、マニアにパチガメラと呼ばれることもあり
ますが、正式名称はアーケロンガメ。製造販売元は今は亡きタカトクトイス。
またまた正確な答えなどない推測の考古学になりますが、
今回はタカトク怪獣?(恐竜?)ソフビ論も交えて書いてみたいカナ?と思います。



パチガメラと同じシリーズの「キングアロー」。こいつも確かヘッダーに名前があった
記憶があり、マニアの方たちがそう呼称しています。見るとわかるようにキングアローは
アーストロンを模倣してソフビを作った気配があります。そしてアーケロンガメは日東の
名作ソフビ、ガメラ1期をイメージしてパチの対象にした気配があります。
共に足裏には「タカトクトイス」のマークが入っています。

これ以外に同シリーズにはアンキロザウルスというソフビがありますが、どう見てもこれは
マルサンのマグマ大使・モグネスのソフビをパチったようにしか見えません。
要はこのソフビシリーズは過去に作られた他社の怪獣ソフビの外形をなぞって言いわけ程度に
ツノを足したりして作ったアイテムに、形の似た恐竜の名前をつけて「恐竜」といって
売るような適当なアイテムばかりだったということです。
ぶっちゃけ、有名な怪獣ソフビの模造品ではないかと版元にツッコまれたら、だから恐竜ですと
言いわけできると恐竜名をつけて対策をとっていた(つもり)のかと思えるくらいです。

しかもすでに怪獣ブームを過ぎていた頃のプロダクツなのでレトロ造形という枠から逸脱
しており、いわゆるレトロ怪獣のソフビの枠というよりは大陸で模倣量産されたコピー商品に
近い印象です。
ただし70年代後半頃に作られたと見られる)せいもあって、今の目で見ると
三浦トーイの怪獣などと並べてギリでレトロ系と分類できるソフビ群なのかも、と思えるのですが。

このパチガメラ、正式にはアーケロンガメと言うと書きましたが販売されていた当時、自分も
都内のおもちゃ屋で目撃しました。昭和50年代に入ったくらいだったと思います。
まだまだハナタラシのジャリボーイでしたがその頃から妙なおもちゃには目がなかったので
鮮烈にこのカメの怪獣のソフビが店頭に置かれていたのをおぼえているのです。
かなり妙な存在感がありました。

すでに第二次怪獣ブームも終わって何年も経ち怪獣ブームのころは華々しくソフビが
吊るされていた店頭のストッカーも別のおもちゃが並んでいたりとソフビがじょじょに
おもちゃ屋から撤去されていた頃、彼らはヘッダー袋に
入ってお店のワゴンのようなカゴに入っておりました。
ヘッダー内容は、記憶があいまいなのですが、漫画みたいな恐竜の絵が描かれていたように
思います。「恐竜シリーズ」みたくロゴが印刷され、このクリーム色の
成形色のソフビに「アーケロンガメ」と印字されていたのを覚えています。第一印象は
子ども心にも「変な怪獣人形だな~」でしたね。はじめはウルトラマンタロウに登場する
キングトータスのソフビか、でもなんで今になってと思ったくらいです。実際はその
キングトータスもブルマァクで存在していたわけですが。製品名称が目に入り、
アーケロンという恐竜は映画「恐竜100万年」に登場したのを知っており、
また自分は恐竜にもうるさかったので、このアーケロンガメのソフビとヘッダーの名前を
見たときに「どこがだよ!」とツッコみ、けっきょくその場でこの何だかよくわからない
カメのソフビ人形は買いませんでした。
つまり、自分の記憶がそこまで鮮明なので、タロウ放送以降何年も後になってこの
ソフビが出たというのは確かなのです。
しかもウルトラシリーズが「レオ」を最後に終わってからだいぶ経って、
すでに子どもたちのお茶の間の人気ヒーローの趨勢は超合金のスーパーロボットや
スポコンヒーロー、ドラゴンや香港系・ソニー千葉のような空手ヒーローやUFO.超能力などに
移行していた時期のように記憶しています。
これもはっきりしていないのですがほかのタカトクのロボットアニメのソフビ人形が
お店の中ではいっしょに置かれていた記憶があります。

タカトクは何か他社の恐竜玩具をけん制もしくは対抗するようなつもりでこれらの製品を
作ったのでしょうか。たとえば昭和50年代前に円谷の「恐竜探検隊ボーンフリー」とか
恐竜パニック映画「ポーラボーラ」や「恐竜怪鳥の伝説」といった映画の製作・放映が決まって、
そこに当てこんで「次は恐竜じゃ!!とりあえず、恐竜のような怪獣のようなダブルにおいしい
ソフビを出して恐竜ブームの波に乗っとくんじゃ(タカトクの玩具展開で発言権のあるえらいヒトの
鶴の一声・妄想)」
みたいな意向でタカトクトイスの現場も日和見半分で恐竜ビジネスに参画したとか、そんなノリ
だったのでしょうか。



またまたこのソフビに関しても、いつまで待っても明確な存在の確証が得られない感じがします。
ただ、怪獣ブームが去っても、それから10年くらいは子どもたちに恐竜のおもちゃは
潜在的に人気があり、何かしら恐竜関係のおもちゃは売れる、みたいな空気があったのかなと
思うんですが。といっても、こんな妙な、子どもも首をかしげる真面目に作っていない
恐竜もどき人形は普通買わない気がしますが。ゆえに大人になってからあれは一体何だったんだと気になる存在になるのも確かですネ。
タカトクとは別のメーカーで怪獣ブームとは明らかに時間が経ってから恐竜ソフビに
力を入れていたメーカーにはマルシントーイがあります。マルシンはミドルサイズの
「大恐竜シリーズ」やミニの恐竜ソフビを多数販売していましたね。物証としてヘッダー入りの
マルシンの製品が手元にあるのですが、残念ながら販売年はそこから読み取ることは
できないんですけどね。
(活字にナール書体があるので、昭和50年代に入るか入らないくらいは確かな気がします)
こちらはタカトクよりもかなりマトモな普通の恐竜シリーズなのであまりパチ怪獣ソフビファンには
人気がない感じです。

タカトクとマルシンは一時期製造元と販売先の関係で製品を出していた時期がありました。
商材はたとえば「テッカマン」とか「ビビューン」などの版権アイテムです。
両社は恐竜のソフビをそれぞれ販売していたけど販売点数が多かった
マルシンに比べるとタカトクはこの怪獣のような恐竜のようなソフビたちをしばらくリリースして
見こみがないと見て、結局恐竜からは撤退したとか、そんな流れでもあるのでしょうか。

 

日東のガメラ1期を横に置き造形した気配が非常にするアーケロンガメ。
なんでこんなとぼけた名称になったかというとアーケロンとして売るつもりで
名称をつけたけど、末尾にカメとつけないと送り手も自信が持てない感じだったのではないかと
思います。ただ、古代ガメというと確かにこんなトゲトゲが体中に付いたワニガメみたいな
品種もいたのかもしれないので、作り手が考えたこととは無縁なところで手にした人間の
イマジネーションに働きかける姿と名前の自然発生的ミラクルが漂うアイテムなところが
ちょっとミリキがあるカナ、という気はします。
実際、クリーム色の成形色と表情の造形は作り手が意識してよりよく作ろうと思ったのかは
わかりませんが、何か琴線に引っかかるものとなっています。

 

 

同シリーズのキングアロー。凝りの無いつくりですが、一応子どもにアピールするヤンチャ造形
はかろうじて表現しようとしている気配はうかがえます。その仕上がりには、三浦トーイや
大協のオリジナル怪獣を手掛けた原型師氏たちの「レトロ造形」とは怪獣ソフビを作る
バックボーンがすでに異なる空気が漂っています。分類上は下手をすると中国生産された胸に
口のないベムスターとかあのあたりのアイテムに近いのかもしれません。
とにかく怪獣商材のリリースが多くない時期に作られた怪獣玩具としても異質な製品というのは
造形テイストからもうかがえるところです。

これはタカトクの本シリーズと異なるメーカーからリリースされたといわれる恐竜ソフビ2匹。
足裏に何の社名表記もないです。
アロザウルス風のヤツはマニアに「メラコ」といった名前で呼ばれていることもあるようです。
この2匹の造形が、歯の並びや手の招き猫の手みたいな仕上がりが非常にアーケロン
ガメと似ています。もしかしたらマルシン製で、タカトクトイスと共通に原型製作をしている
原型師氏が製作した原型かもしれないですね。

 ちなみに右のステゴザウルスくんは、タコのソフビマニアの仲間内で「画期的なソフビの
アイデアを思いついた、これは売れるぞ!ステゴザウルスを2足歩行にするんだ!どうだ
カッコイイだろう!」とか超だめなソフビ企画をイメージングする時にいつもネタにしている、
かわいそうなソフビだったりします。
でも何かフラワームーブメント時期の海外のアニメなんかであらぬ2足
歩行でお花畑をバックにスモーキンガンジャみたいなダンスを踊る恐竜で、こんなのが
居たような気がするので、いろいろ目線を変えてみれば
楽しめるソフビかもしれません。タコはいつもこのステゴを飾っております。

タカトクは古くは「キカイダー」、「メガロマン」やその怪獣、また「アクマイザー3」などの
キャラクターソフビで怪獣的な商品を手掛けたことはあるものの、基本、怪獣ソフビに
そう力を入れているメーカーとは思えないのは昭和からおもちゃを見てきたヒトなら誰もが
印象を持っているところでしょう。
そうしたタカトクがなぜまた怪獣ソフビ、しかもまたなんでだかこの時期にパチもの怪獣というか
恐竜ソフビを手掛けたのか、この点もパチ怪獣を語る上では前回のスーパー怪獣シリーズの
メーカーは一体誰かという話題同様に、マニアにとっては昭和のソフビ界に横たわる
ちょっと気になるミステリイのひとつなのかもしれません。あたかもガラパゴス諸島の爬虫類の
ように独自に育まれた、しかも有名怪獣ソフビのパチという風変りな出自が好事家を魅きつけ
ます。このアーケロンガメ=パチガメラくんもそんなソフビマーケットの小さなミステリイを彩る
奇妙な物証なのDeath。

 


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