ぶんやさんち

ぶんやさんの記録

「国語審議会──迷走の60年」

2008-01-11 15:05:33 | ときのまにまに
安田俊朗さんの「国語審議会──迷走の60年の」(講談社新書)をある種の期待を持って買い、読んだ。が、正直なところ途中で投げ出してしまった。期待はずれというより、少しも問題の核心を突いていないのだ。わたしたち日本人にとって国語問題は、もっとも身近で深刻な問題である。論じなければならない課題は無数にある筈である。ただ、網羅的に、政府から出版される報告書のような文章と資料を並べ立てるだけでは、少しも問題点が明白にならない。
現在、文部科学省の「文化審議会国語分科会」と呼ばれている政府機関が、どっちの方向を見ているのか不明なままである。ただ、「迷走している」ということだけを読まされるなら、読まなくても分かる。こんな政府機関は税金の無駄遣いだから不要であるとか、こっちの方向に進んでいるのは間違いであるとか、いうような種類の議論が欲しい。
せっかく個人の名前で出版されているのだから、政府要員の報告書のような書物は不要である。著者自身が「あとがき」で書いているように、この本を読んで、あるいは途中まで読んだだけで、十分に「違和感をもった」。読者が違和感を持つことが著者の目的と言うのならば、この書は「成功している」。

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