ぶんやさんち

ぶんやさんの記録

相撲界における賭博問題

2010-07-05 19:47:58 | ときのまにまに
野球賭博に関連した親方や力士に対する相撲協会による処分が理事会において決定し、マスコミを通して公開されました。この件については、いろいろな評論家がマスコミ各社によって語らされ、一般国民の関心がそちらの方に引き寄せられている感じがします。そのために国民にとって最も重要な参議院選挙も影が薄くなっている様相です。朝日新聞でさえ、今日の朝刊も夕刊も第1面トップ記事は相撲界のことで、紙面の半分ほどは埋められています。まぁ、政治の方だって大した記事はないのでしょうから、それも仕方がないと思いますが、異常な状態であることだけは事実です。
「賭博」などというと一般国民には縁が薄いように思われますが、競輪、競馬、競艇をはじめ宝くじだって「賭博」の一種でしょう。相撲界が上から下まで賭博に汚染されていたからと言って、それほど大騒ぎすることなのか、大いに疑問です。何しろ、国や地方自治体が率先して賭博によって馬鹿にならないほど収入をあげているのだし、一般庶民のささやかな楽しみとして、どこの町にもパチンコ類のゲーム場が派手に経営されている。これも賭博であることには違いないでしょう。
相撲界とて特別な聖域ではなく、力士たちが麻雀や花札に興じ、それが野球賭博に発展したと言っても十分に理解できる範囲です。それをさも犯罪人かのようにテレビカメラの前に立たせて「謝罪」させるセンスはむしろ理解に苦しみます。日本人はいつからそれほど「聖人」になったのだろう。今回の場合、賭博をしたことがあるかどうか「自己申告」だという。問われた若い力士たちはさぞ困ったことだろう。「あれは賭博だったのか」、「ただ単なるお遊びだったのか」、おそらく先輩たちに問い合わせをしたことだろう。問われた先輩だって、どう答えたらいいかわからないことだったと想像する。いま、親方として大きな顔をしている人たちが、若い頃から今まで一度も「賭博」をしたことがないと言えるのだろうか。これも大きな疑問です。
今回の場合、賭博そのものよりも、裏社会との関係がいろいろ取り沙汰されているますが、それも結局は証拠があがっている訳ではないし、それを明らかにするのは、相撲協会の仕事ではなく、ましてマスコミの役割でもなく、警察に任せておけばいいことでしょう。実際には組織暴力団と関係なくても、さもあるような素振りで人を脅す連中もいるし、本当に関係のある場合は、関係がない証拠を沢山示すこともできる。そういうことは専門家に任せる外はない。そして、証拠がはっきりすれば警察が逮捕し、裁判にかけ、判決をくだせばいい。
相撲協会の理事会による今回の裁決は問題が残ります。人が人を裁くということは非常に難しいことです。相撲一筋に生きてきた人を相撲界から追放するということは死刑宣告と同じことです。彼らがしたことは、したこととして問題はあるにせよ、この判決はいかがなものでしょう。厳しすぎるとか、他の人たちとのバランスが悪いとかいう問題ではなく、彼らを厳しく裁くことによって、「自分たちの清廉潔白さ」をアピールしようとする姿勢が問題なのです。それはもはや「組織防衛」というレベルを超えて、大衆への妥協であり、媚びにすぎない。むしろ、重要なことは2人の「仲間」を切り捨てて済むことではなく、彼らに「名誉回復」のチャンスを与えることではないでしょうか。未だはっきりしていませんが、たとえ裏社会との何らかのつながりが証明されたとしても、そこから縁を切り、相撲によってファンに答えるということこそが要求されるべきなのでしょうか。そうでなければ、彼らは表社会から捨てられて、裏社会で生きる道しか残されないことになりかねないでしょう。
もし彼らがした行動に犯罪性があるとしたら、それ法律に基づいて裁かれるべき事柄で、相撲協会が裁決すべきことがではないと思います。あるいは、そのことによって組織がなんらかの不利益を得たとしたら、それを「弁証」させればいいことです。それをあたかも自分たちが司法の代理人であるかのように断罪し、制裁を加えることはリンチに等しい行為である。むしろ、裁かれるべきなのは構成員個人ではなく、組織そのものです。それはただ頭を下げて済むことではなく、国から補助金を受けている団体として、それにふさわしい団体でなかったことを謝罪し、今後の補助金を辞退する旨を公表したら済むことです。その姿勢を見て、国民が納得すれば、数年後に回復する可能性も充分あります。賭博にうつつを抜かしていた親方や力士個人の本当の「罰」は必ず成績に残ります。それが勝負の世界の厳しさであり、鉄則でしょう。精進という言葉はそういう場面で用いられるべきです。

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1 コメント

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騙されない見識を (大和)
2010-07-06 01:03:59
マスコミに騙されてはいけない!
愚民化政策を行い、子供たちを不登校や引きこもり、ワーキングプア、ネットカフェ難民にした「自民党・官僚政治」を生き返らせてはならない。国民を不幸にし国を腐敗させた政治を、今回の選挙で絶滅しなければならないのです。
「『おバカ教育』の構造」(阿吽正望 日新報道)を読みましたか。子供を壊される恐怖と、腹の底から込み上げる怒りを感じませんでしたか。これ以上、だまされ子供を不孝にするのは止めましょう。
この参院選は、「自民党・官僚政治」を滅ぼす戦いです。
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