折にふれて

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明日香、秋日和

2018-10-13 | 大和路点描

彼岸を挟んだ秋晴れの日、のんびりと飛鳥寺周辺の散策を楽しむことにした。

秋の明日香は昨年以来、二度目となる。

昨年は、いわゆる観光スポットを中心に、広範囲に動いたが、

多少、勝手もわかって来たので、

今回は、何かを見てやろうということではなく、

明日香らしい時間と情景に浸ってみたいと思ったのだ。


 Sony α99  Planar 50㎜ (f/8 , 1/320sec , ISO100) 


いたるころに刈り入れ間近の稲穂が実り、また、畦道には彼岸花が咲き誇っている。

青い空を背景に、目の前には一面緑の稲田、さらに赤い彼岸花のリズミカルなアクセント。

「その中に身を置いてみたい」、誰もが、そう羨む明日香の秋の風景が広がっていた。

 

                                         
                                             Sony α99  Planar 50㎜ (f/1.7 , 1/3200sec , ISO100) 

                                    
                      9月終盤とは言え、まだまだ汗ばむような陽気。

                      また、その週は気ぜわしいことが多く、多少の疲れも残っていたのだが、

                      目にやさしい風景は、その陽気を和らげてくれて、

                      さらに、充分に爽快な気分にもさせてくれた。

 

 

                さて...。

                明日香を訪れたことがある人なら誰もが知っている風景だと思うが...。

                
                         Sony α99  Planar 50㎜ (f/3.2 , 1/1250sec , ISO100) 

          
                秋の草花越しに、なにげなく佇む石碑。

                蘇我入鹿の首塚で、さらに背後に広がるのは甘樫の丘である。  

         

                つまりここは、日本古代史にある「大化の改新」の舞台。

                中大兄皇子(後の天智天皇)、藤原鎌足(中臣鎌子)らによって

                蘇我入鹿が誅殺された、いわゆるクーデターと習ったが、

                最近では、「大化の改新」はクーデター後の治世を指し、

                事件そのものは「乙巳(いっし)の変」と教えているらしい。

                その惨劇があった飛鳥板蓋宮(いたぶきのみや)と伝えられる史跡も

                ここからは目と鼻の先。

                さらに、甘樫の丘は蘇我氏の邸宅があった場所で、

                事件の翌日、入鹿の父の蝦夷は邸宅に火を放ち、自決したと伝えられる。

                その後、天智天皇による専制政治が始まり、

                その子と弟、大友皇子と大海人皇子(後の天武天皇)による権力闘争、

                いわゆる壬申の乱を経て、日本は天皇による中央集権国家へと変遷する。

                いわば、この場所から歴史の激しい動きが始まっていくのだが、

                この長閑な風景を眺めていると、感覚と記憶のギャップというか、

                どこか不思議な思いが行き来するのだ。                         

 

             最後に、飛鳥寺の裏手で出会った華やかな秋の風景を。

             ただし、花オンチ。花の名前は知らない。

                        
                           Sony α99  Planar 50㎜ (f/2.8 , 1/3200sec , ISO100) 

             

             


 

ジョン・デンバーの伸びやかな歌声。

邦題は「緑の風のアニー」。

秋の明日香の風に吹かれながら、この曲を思い出していた。 


 John Denver - Annie's Song  

 

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