琵琶湖畔での撮影の話が続く。
名所、海津の桜が見ごろを迎えていた。
湖北、奥琵琶湖の起点としての海津。
これまでもよく訪れていて、桜の名所であることも知っていた。
けれども、桜の時期ともなると、最寄りに車を停める場所はなく
また、観光バスや観光船でどっと人が押し寄せると聞いていたので
気になりつつも、さすがに「金沢から桜見物もないだろう」と敬遠していた。
この日、ノウルシの撮影を終えたのが午前5時半過ぎ。
いくらなんでもこんな早朝に桜見物に来る人はいないはずだからと、
ぜいたくな寄り道を思いついた。
車を停めたJRマキノ駅から桜並木までは片道2キロ。
往復だけで1時間の道のりだったが、
やわらかい朝の光を映す湖面を眺めたり、
宿場町の面影を残す海津の街並みを楽しんだりもしつつ、
さらに、時折り吹く琵琶湖の風を感じながらの道中は苦にもならなかった。
そして、目論見通り見物客はまばら。満開の桜を独り占めしにて、
「三文の徳」のご褒美をありがたくいただいた次第だ。
「9」のつく日は空倶楽部の日。