折にふれて

季節の話題、写真など…。
音楽とともに、折にふれてあれこれ。

秋風の風景 By空俱楽部

2022-08-29 | 風の風景 光の風景

「9」のつく日は空倶楽部の日。

     ※詳しくは、発起人 かず某さん chacha○さん まで


 

この時期になると、乾いた北の大気と湿気を含む南の大気がせめぎ合う。


       三国海岸(福井県坂井市)2022.08.28 06:17  P.M.  Sony α7S2   FE24-70㎜/f2.8 GM2 (70㎜  f/16,1/80sec,ISO250)    

 

秋雨前線が通り過ぎ、快晴の夕空が広がり始めた時、

その空の穏やかさとは裏腹に激しい波がエッセル堤に寄せていた。

一見、意外とも思える光景に吹く風は明らかに秋の風だった。

 

 

さて。秋風が吹き始めると無性に聴きたくなるのがこの人の歌声。
 Art Garfunkel - Miss You Nights   



                             

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梅花藻と「ア、秋」の話

2022-08-24 | オトナの遠足

中山道醒井宿の夏。

 

醒井へは何度となく訪れている。

それにもかかわらず、ようやく出会えたのがこの光景。

地蔵川の清流の中、そよいで咲く梅花藻の花だ。

 

地蔵川の源流は居醒(いさめ)の清水。伊吹山の伏流水が湧き出している。

古くから知られる名水で、伊吹山の神に戦いを挑んで敗れたヤマトタケルが

傷を癒した清水として、古事記や日本書紀にも記されているという。

神代から枯れることなく滔々と湧き出る清流。

それがいつのころからか梅花藻を育み

夏の訪れとともにその可憐な姿は人々の目を慰めているのだ。

 

さて、毎年この時期になると「ア、秋」の光景を探し始める。

「ア、秋」とは太宰治が自身の創作ノートに残した文章のことで、

言ってみれば、ヒントまたは備忘のようなものだという。

そこにはこう記されている。

「夏の中に秋がこっそり隠れてもはや来ているのであるが、

 人は炎熱にだまされてそれを見破ることが出来ぬ。」

確かにそうだ。夏から秋への季節の変わり目はわかりづらく

暑い暑いと言っているうちにいつの間にか秋になっている。

つまり、この時期になると、夏に潜む秋の気配を撮ってやろうと

ひとり目論むのだ。

 

そして、今年の「ア、秋」は...。

 

地蔵川に落ちた百日紅の赤い花が梅花藻の花に彩りを添えていた。

 

その様子に近づき、カメラを低く構えていたところ...。

そのとき、川面を渡る秋の風がひんやりと頬を撫でていった。

そうだ。今年の秋はすでに梅花藻の花に潜んでいたのだ。

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朝顔の句の話

2022-08-13 | 折にふれて

JR松任駅前の特設広場で朝顔の展示を楽しんできた。

 

松任(現白山市)は朝顔の栽培が盛んなところで

この時期開催される「あさがおまつり」には市内の愛好家はもちろん

園児、学童たちが丹精込めて育てた朝顔が多数出展されている。

というのも、松任は俳人の加賀千代女が生まれ育ったところで

彼女の代表的な句、

 朝顔やつるべ取られてもらひ水

にちなんで朝顔への愛着が強いのだ。

松任駅に隣接する『千代女の里俳句館』 では

春夏秋冬や花鳥風月など、折々の千代女の句に親しむことができるが、

それだけではない。

市民句会やこども句会の紹介、写真五七五の展示などは心温まるものだし、

また、小泉八雲が俳句を世界に紹介したコーナーなどは

芸術的文学的にも興味深く、

私のような俳句素人でも存分に楽しむことができる。

 

あらためて、「朝顔の句」のこと。

同志社女子大学の教員コラムに興味深い記事があった。

朝顔やつるべ取られてもらひ水

と紹介したが、コラムを書かれた吉海直人教授によると、

朝顔につるべ取られてもらひ水

とする句が一般に流布されていて、

「朝顔や」で親しんでいる人は金沢出身(*)の人が多いとのことである。

 *正確には旧松任市を含む石川県加賀地方

たった一文字の違いだが、俳句を鑑賞するという点では大きく異なる。

まず、「朝顔に」の句だが

「朝、起きて井戸に水を汲みに行くと、朝顔のつるが釣瓶(つるべ)に巻きついていた。

それを外すのが忍びなくて、わざわざ近所で水をもらった」と、断然わかりやすい。

一方で、「朝顔や」の句は「や」という切れ字によって

現実の世界からこころの世界へと次元を転換している。

つまりは朝顔の美しさに感動したことに重きを置いているのだ。

コラムを読みながら、以前、俳人の長谷川櫂さんの著書『俳句の誕生』で

切れ字のダイナミズムに大いに納得したことを思い出してもいた。

しかし、それなら「朝顔や」の句からは、千代女のやさしさは失われてしまっているのか。

吉海教授は、同じく石川県が生んだ哲学者、鈴木大拙の言葉を引用してその答えを導いている。

「彼女がいかに深く、いかに徹底して、この世のものならぬ花の美しさに打たれたかは、

彼女が手桶から蔓をはずそうとしなかった事実によってうなずかれる」(『禅』所収)

 

それでは、私はどちらの句を支持するのか。

 

「朝顔や」の句からは情景の広がりや読み手のこころなど俳句の醍醐味が伝わってくる。

一方で、「朝顔に」の句の方は「ただごと」である。

説明や報告に終わっている、と言ってしまえばそれまでだ。

けれども、こちらの表現には千代女の「ひととなり」が

よりはっきりと映しこまれているように思える。

つまりは、嫋やかな女性のこころを、

それも三百年という時空を超えて鮮明に映す

「朝顔に」の句に惹かれるのである。


 
 Carole King - (You Make Me Feel Like A) Natural Woman (from Welcome To My Living Room)

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続 夏空にエール By空倶楽部

2022-08-09 | 空倶楽部

「9」のつく日は空倶楽部の日。

     ※詳しくは、発起人 かず某さん chacha○さん まで


毎月9日はお題の日。

先月のお題が「曇り空」、そして今月が「青い空、白い雲」と

梅雨や真夏という季節に即していて、お題の中でも簡易なもの...だったはずだが。

先月は梅雨が早く開けてしまい、今月は天候不順さらには集中豪雨にも見舞われた。

それで、思うような写真が撮れず、2か月続いて「蔵出し」という事態となった。

     加佐の岬(石川県加賀市) 2020.08.09  12:02   Sony α7R3  FE2.8 16-35 GM (16㎜ ,f/8,1/125sec,ISO100) 

 

2年前のこの日のことはよく覚えていて、

日付が記す通り、お題当日に天候の回復を待って、慌てて撮影に出かけている。

そして、別のアングルから撮ったものを「夏空にエール」というタイトルで掲載した。

その年の朝の連ドラ二つからタイトルを拝借したのだが、

それに味をしめ今回も...

「続 夏空にエール」と、いかにも力の入らない投稿となった次第である。

 

 

 

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