折にふれて

季節の話題、写真など…。
音楽とともに、折にふれてあれこれ。

金沢今昔物語2 タテマチ・ストリート

2018-02-28 | 抒情的金沢

当ブログ、「抒情的金沢」というカテゴリーで拙いながらも地元金沢の風物を紹介している。

前回の投稿を振り返るが...。

なにげなく入った書店で見つけた絵葉書、

そこには直前まで眺めていた金沢の繁華街が戦前の姿として写し出されていたのだけれども、

それがヒントとなって金沢の今昔に触れることになった。

金沢は藩祖前田利家が入城以来、420年以上も大きな災害や戦禍に見舞われていない。

聞いた話で真偽のほどは定かではないが、

このような都市は世界でたったの二つ、スイスのチューリヒと金沢だけらしい。

そして、その災害や戦禍がなかったことが金沢の今昔にとって重要なことだと気づいた。

金沢は日本各地の都市同様、市街地はビル街となっているが、

その一方で、特にかつて御山(おやま)と呼ばれた地域、

つまりは金沢城を中心に形成された中心部においては

道や街そのものの区割りが昔のまま残っているところが多い。

それで、現在の風景がかつてはどうだったのか、対比してみたくなり、

それならと...、購入した絵葉書と同じ場所から今の金沢を撮ってみようと思い立った次第である。

 

その絵葉書の中の一枚。 


                                                                      絵葉書資料館 所蔵

大雪に見舞われた金沢の様子だ。

一連の絵葉書の中で季節を明確に写しているのはこの一枚だけだったが、

折しも今日は2月28日で暦の上では冬最後の日。

つまり春が来ないうちにと、急ぎ掲載することにした。

屋根に積もった雪は1メートル以上もあるだろうか。

さらに、立ち並ぶ商店の前には、屋根と同じ高さのところに雪の道ができている。

「金沢市の大雪 竪町」との記載があるが、

自分にとっての大雪の記憶、三八豪雪をも超えるたいへんな積雪だ。

 

そして、その竪町、現在の様子。


Sony α99  Vario-Sonnar  24-70㎜/f2.8 (f/5.6,1/160sec,ISO100) 

 

現在は通称タテマチ・ストリート。

元々の建物を建て替える時には道路後退が義務付けられていて写真当時に比べて道は広くなり、

今や、金沢のみならず北陸を代表するファッション・ストリートとなっている。

今年は37年ぶりの大雪というが、それも最大積雪は80センチを超えた程度で、

その雪もすでに消え、今はもう春の様相である。

かつて、この街が氷河期のように雪に埋もれたことがあるという記憶を持って、

この街を眺める人はもうほとんどいないのかもしれない。


 折にふれての選曲...というか

この日、タテマチ・ストリートに流れていたフリートウッド・マックの小気味よいロックナンバー。


Fleetwood Mac - Go Your Own Way  

 

**絵葉書の掲載について

絵葉書の掲載について発売元の「絵葉書資料館」様(神戸市)に問い合わせたところ、
個人のブログの場合、出所を明記することでご許可をいただきました。
ご厚意に感謝申し上げます。
そのお礼と言ってはなんですが、「絵葉書資料館」様のホームページアドレスを掲載させていただきました。

絵葉書資料館  http://www.ehagaki.org/
〒655-0037 神戸市垂水区歌敷山1-7-20
電話 078-705-1512

 

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山が笑い始める頃

2018-02-25 | 日常の中に

今週からは3月、雪と格闘した厳しい冬も雪解けが進むとともにどこか遠い日のことのように思えてくる。

そんな週末、久々にカメラを持って遠出、そこで春の到来を予感させる明るい風景に出会った。


Sony α99  Vario-Sonnar  24-70㎜/f2.8 (f/5.6,1/400sec,ISO100)  


このあたりは滋賀県でも有数の豪雪地帯。

あたり一面を覆っていたであろう雪も、今は畑や道端にほんの少し残るだけ。

そして、メタセコイヤの並木の向こうには青空に照らされた山々が...

俳句の世界では、木々が芽吹き山が生命に満ちてくる様子を「山笑う」という季語で表現するのだという。

青空とわずかばかりの残雪、そして明るい山々を眺めながら

ふと、山が笑い始めていると感じた瞬間だった。


 

大昔のことだが...

岡崎友紀という女優がいて、彼女が歌うこの時期の歌があったはず、

この記事を書きながら、そんなことを思い出し、あちこちと検索してようやく見つけることができたのがこの曲。


私は忘れない 岡崎友紀

あらためて聴いてみると、早春の歌でないことに気づいた。

なぜそう思いこんでいたのか、40年以上も前の話で思い出せないが、

北国の青空に別れを告げるのがつらい...そんな歌いだしがそう思わせたのかもしれない。

ついでに岡崎友紀のこと。

ボーイッシュで健康的、それでいてチャーミングな女性だったが、

主演した学園ドラマ、「奥様は18歳」の敵役が松坂慶子だったので、

今はそれなりの年齢を重ねているはず...そう思いつつ曲を聴いていたら、

終了の寸前に今の彼女の姿が...。

予想通り、やっぱり今もすてきな女性だった。

 

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雪の朝 ご褒美の空 By空倶楽部

2018-02-19 | 空倶楽部

「9」のつく日は空倶楽部の日。

     ※詳しくは、発起人 かず某さん chacha○さん まで


その日の朝、前夜から降り積もった雪は50センチを超えていた。

9時に、ある顧客への重要な商談があって、ふだんならいったん出社してから出かけるのだが、

前夜の雪の降り方を思うと道路事情がそれを許さないことは容易に判断できた。

自宅からその顧客へは通常なら車で20分といったところ、

8時30分に出かければ余裕で到着するのだが、

この雪だとまず自宅前の除雪から始めなければならないし、

車を出せたとしてもかなりの渋滞を覚悟しなければならない。

早朝4時に起きて、雪が降りしきる中、自宅前の除雪を始める。

これで車が出せると判断できるまで約1時間、

車周辺の除雪など走行準備にさらに20分、

ようやく車を走らせることができたのは6時前だった。

約束の時間まで3時間。

しかし、けっして早いわけではない。

かなりの渋滞が予想されるし、場合によっては通行止めもありうる。

案の定、圧雪のため幹線道路はノロノロ運転、

おまけに、ところどころで雪のため動けなくなった車が放置されており、

それを避けるための渋滞も発生していた。

けれども、交通量が増える前に出かけたことが功を奏したのか、

7時前には顧客まで10分の距離まで近づくことができた。

じゅうぶん間に合う...そう思って胸をなでおろしたその時、

それまで降りしきっていた雪はいつしか止み、雪化粧した街を真っ青な空が照らしていた。 


RICOH GR DIGITAL Ⅲ   f/4.5,1/320sec,ISO-64 

 

折にふれての選曲。 

渋滞待ちの中、ふとカーオーディオから流れてきたのがギルバート・オサリバンの「アローン・アゲイン」。

なんともやさしい歌声が、あせらずのんびり行こうぜ...、そう語りかけてくれているように感じた。


Alone Again Naturally / GILBERT O`SULLIVAN


さて、今日は空倶楽部8周年の日。

それを記念して会員各位が過去一年間で、

ベストと思う写真(もちろん自薦であるが)を掲載することになっている。

何年たってもうまくならない写真、

しかし、下手なりにも、それぞれの写真にはそれなりの思い入れがある。

いろいろ悩んだのだが、今日の写真は雪模様の、言ってみれば湿った光景、

それで、それとは対照的な乾いた空写真を選ぶことにした。


Sony α99  Planar 50㎜(f/5.6,1/320sec,ISO100) 

12月中旬、新宿副都心で眺めた東京の空。

午後、陽が傾きはじめた頃、ビルの上に広がる乾燥した空がどこまでも続いて見えたのが印象的だった。

 

末尾になりましたが、空倶楽部8周年、おめでとうございます。

世話人を務めていただいているchacha○さん、かず某さんにあらためて感謝申し上げる次第です。

ありがとうございます。

 

 

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日本海 春を待つカフェ

2018-02-17 | 日常の中に

大雪への警戒が続く中、降雪の合間を縫って出かけた越前海岸。

海からの突風で雪が舞いあがるせいか、内陸部ほど積雪は多くはないが、

風が強いだけに、体に感じる寒さは街の比ではない。

そんな真冬の季節の中でふと見つけた海を見下ろすカフェ。

リアス式の越前海岸とその先に広がる日本海。

その眺望から、ふだんなら混みあうのだろうが、さすがにこんな日は訪れる客も少ない。

時折り、外の冷たい風の音も聞こえたりはしたが、

暖房がじゅうぶんに効いた中で飲むあたたかい紅茶は格別だった。

そして、その瞬間、ちょっとだけではあるが、

春がそこまで来ている...そう感じた。

 



「ヴィヴァルディ」四季より『冬』第2楽章

時節がら「四季」から「冬」を選曲した次第だが、

この曲のそれぞれの楽章には解説が付けられている。

たとえば「冬」の第一楽章であれば、冬の寒さ冷たさの中を往く人々の描写だし、

第三楽章は人々の描写に加え、激しく舞う風などさらに冬の厳しさを、といった具合だ。

それに比べて、今回選曲した第二楽章はちょっと毛色が変わっていて、

それは、外界とは隔離された室内の暖かさであり、

まさにこのカフェで感じた安穏がこの楽曲の印象に近いものだった。

 

※コメント欄閉じています。

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冬季オリンピックの残像

2018-02-12 | 折にふれて

ピョンチャンでのオリンピックが始まった。

今回もメダルの期待がかかる選手がたくさんいるそうだが、

それはあくまでも結果のこと、

ともかくは持てる力を存分に発揮してもらいたい、

また発揮させてあげてほしいと切に願うばかりである。

 

ところで。

冬のオリンピックにおいて、今でこそ、日本選手が世界レベルで活躍するようになったが、

そのきっかけとなったのが1972年開催の札幌オリンピックだと思っている。

アジアで初めての冬の大会、

その札幌で、日本中が喚起に沸いたのが、

日の丸飛行隊、当時の70m級ジャンプで笠谷、今野、青地の三選手が

金銀胴のメダルを独占するという快挙だった。

それまでメダルにはほど遠いと誰もが思っていた冬の大会で、

初めて、しかも一挙に三つものメダルを手にしたことに国中が酔いしれ、

その後、日本のジャンプ競技は一気に世界レベルへと駆け上がっていった。

それだけではない。

この歴史的快挙が今日のノルディック競技の底上げにもつながっていると考えられるし、

大げさに言うなら、日本選手全体の自信とモチベーション向上にも寄与しているといっても過言ではないと思う。

 

さて、もうひとつ日本中を魅了した札幌オリンピックの残像がある。

ジャネット・リンのことを覚えているだろうか。

女子フィギュアスケートの銅メダリスト、銀盤の妖精と呼ばれたアメリカの選手だ。

そして、彼女のことを語る上で忘れられないのがこの映像、フリーの演技での「尻もち」である。


Janet Lynn  1972 Olympic FS (Sapporo)

 
結果三位に終わったにもかかわらず、屈託のない愛らしい笑顔をふりまくジャネット・リン。

当時、高校生だった自分にとっては、日の丸飛行隊以上に記憶に残るシーンだった。

「あの尻もちがなければ金メダルだったのにな・・・」

ずっとそう思っていたが、実はそうではなかったことを最近知った。

尻もちをついたフリーの演技は満点を含む高得点だったらしいのだが、

当時、フリーに先立って競われた規定種目(コンパルソリー)が苦手だったため、

合計点で3位に留まったそうなのだ。

尻もちをついたにもかかわらず満点に近い得点」、

「”尻もちすらも演技の一部” と思えるほど彼女の演技は観客を魅了した」

当時のある雑誌がそう評したことを覚えている。

余談だが、この出来事からコンパルソリーの得点比重が下がり、

現在のショートプログラム導入のきっかけにもなったとのことである。


 

折にふれての選曲。

札幌といえばトワエモアが歌う「虹と雪のバラード」ということになるが、

冬季オリンピックならこれ、という曲が自分の記憶の中にある。


Francis Lai  13 jours en France 1968

札幌に先立つフランス、グルノーブルでの冬季オリンピック、

その模様を記録した映画「フランスにおける13日間」のテーマ曲である。

フランシス・レイによる甘く美しいメロディ、この曲、そして映画にもつけられた邦題が「白い恋人たち」。

冬、永遠の名曲だと思う。

 

 

 

 

 

 

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金沢今昔物語 市電が走る風景 

2018-02-11 | 抒情的金沢

毎月11日は「鉄写同好会」の日。

詳しくは発起人てくっぺさんのブログ「高橋さんの写真記念館」をご覧ください。


金沢の雪はいったん峠を越えて、昨日は午後から雨。

85センチあった積雪はかなり目減りしたものの、

依然として、幹線道路は除雪された雪で車幅が狭まって渋滞をまねいているし、

いったんわき道に入ると除雪の山があちこち高く積まれ、車はもちろん歩行もままならない。

いずれにしても平常に戻るにはまだ時間がかかりそうだ。

そして昨夜のこと。

こんなときではあるが、どうしても外せない所用があって市街へ 。

ここは香林坊交差点。

金沢のメインストリートとあって、道路の除雪は完ぺきで円滑な交通が確保されているようだ。

 

余裕をもって出かけたので、すこしこの辺りをぶらぶらした後、

金沢では老舗の本屋へ入り、時間を潰すことにした。

市街へ出るたびに立ちよる店で、

どこにどんなカテゴリの本があるかだいたいは把握しているのだが、

ふと、見慣れない一画で足が止まった。

レジ横のいわば死角ともいえる場所で、

そこには金沢の古い写真を絵葉書にしたものが20種類ほど置いてあった。

金沢城や兼六園、繁華街など誰もが知っている場所が

モノクロや色褪せたカラーの風景として収まっていて、

それぞれ興味深いものだったが、中でもつい今しがた歩いてきた香林坊の風景に釘づけとなった。

                                                               絵葉書資料館 所蔵

2台の市電が合流しようとするあたりが香林坊交差点。

金沢の市電については、以前、当同好会で投降した記事 「晩秋 都電が走る風景」で触れた。

触れた、といっても市電が廃止されたのが昭和42年のことだから、

昭和30年代、子供の頃のほんのわずかな記憶のことを書いたに過ぎない。

一方でこの写真、表示される横書き文字が右から始まっていることから、明らかに戦前の風景である。

したがって、自分の記憶の中にある香林坊や市電の車両はこの写真の風景と様子は違うのだが、

金沢の今昔として眺めるなら、市電が走る懐かしい風景と思えるのである。

 

さて、外せない所用とは卒業した大学のOB役員会のこと。

参加者の年代は40代後半から80代半ばまで、

この写真も含め買い求めた絵葉書を披露したところ大盛り上がり。

金沢の今昔が思わぬ酒の肴となった次第だ。

 


 

なんとなくの選曲はライ・クーダー。


Across the border line Ry Cooder

しみじみとした歌声、伸びやかなスライド・ギターが

この夜の気分にハマった。

 

**絵葉書の掲載について

絵葉書の掲載について発売元の「絵葉書資料館」様(神戸市)に問い合わせたところ、
個人のブログの場合、出所を明記することでご許可をいただきました。
ご厚意に感謝申し上げます。
そのお礼と言ってはなんですが、「絵葉書資料館」様のホームページアドレスを掲載させていただきました。

絵葉書資料館  http://www.ehagaki.org/
〒655-0037 神戸市垂水区歌敷山1-7-20
電話 078-705-1512

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空は暗霞みの中に By空倶楽部

2018-02-09 | 空倶楽部

「9」のつく日は空倶楽部の日。

     ※詳しくは、発起人 かず某さん chacha○さん まで


 

空倶楽部、毎月9日は「お題」の日。

そして今回のお題は「樹木と空」を金沢城は二の丸広場から。

ずばり日の丸構図で失礼を。

なにぶんにも久しぶりの豪雪、

除雪作業の合間ということで言葉少なに投稿。


 

 サイモンとガーファンクルの名曲で邦題は「冬の散歩道」。


Simon & Garfunkel - A Hazy Shade Of Winter

Look around leaves are brown             
And the sky is a hazy shade of winter

辺りを眺めると木々の葉は枯れはて
そして、空は冬の暗霞みの中に

 

 

 

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立春大吉 スカイツリーのある風景

2018-02-04 | 語りかける街

2月4日、金沢の今朝の積雪は45センチ。

この後の降水確率が100%、さらに風雪、着雪の各注意報が出されているということから、

雪に対する備えは万全にと覚悟しておいたほうがよさそうだ。

しかし、そうはいっても今日は立春。

二十四節気の始まり、あくまでも暦の上でのことと理解しつつも、

それでも春という字が暦に記されただけでもうれしい。

ともあれ、めでたい立春大吉。

ご挨拶がわりに、冬晴れの空にスカイツリーのある風景を。


RICOH GR DIGITAL Ⅲ   f/4,1/250sec,ISO-64 

 

東京へ出張した際、墨田区の仕事先へ向かう途中で見かけたもので、

冬の真っ青な空を突き上げるかのようなスカイツリー、

その凛とした姿と、それとは対照的に川面へ揺らいで映りこむ姿が印象的だった。

しばし足を止めてこの風景に見入った次第だが、

明るい春の訪れを予感させる元気な光景として記憶にとどめている。

 


 

先月の話だが。

アイルランドのロックグループ、クランベリーズのボーカル、ドロレス・オリオーダンが亡くなった。

自分にとっては、年代的にもジャンル的にも馴染みのなかったグループだったが、

アイルランド系イギリス人である妹のダンナの影響で、ある時期によく聴いていたものだ。

まだ46歳という若さ、残念である。


The Cranberries - Ode To My Family

「家族への叙情歌」とでも訳すのだろうか、

ドロレスの私小説的な内容のようにも思える。

数あるヒット曲の陰に隠れた感はあるが、

彼女のしみじみとした、そして透明感のある歌声が印象的な名曲だと思う。

 

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