「9」のつく日は空倶楽部の日。
緊急事態宣言が出て以来、
休日の外出は朝夕のかのんを連れた散歩と
家内に付き添っての買い物だけだ。
ただ、買い物といっても、
かのんの夕方の散歩ついでに
近所のスーパーに寄るだけだから、
外出は日に二回に留めている。
外出が制限されるとストレスを感じる人も多いようだが、
買いだめした本を読んだり、古い映画を観たりと
今のところ暇を楽しんでいる。
一方で、少ない外出の機会も貴重で
物々しくカメラを持ち出して
今まで気づかなかった景色を探したりもしている。
今の自宅に引っ越してきて20年あまりも経つが、
自宅と職場の往復がほとんどだったせいか
振り返ってみると近所のことはあまり知らない。
それで、もの珍しい散歩の道中が楽しいのかもしれない。
さて、先週末の朝のこと。
Sony α7R3 Vario-Sonnar 24-70㎜/f2.8 (50㎜ f/5.6,1/200sec,ISO100)
自宅近く、川沿いの八重桜が満開となっていた。
並木道に差し掛かったときは先を急ぐかのんに引かれ、
桜を時折り見上げる程度だったが、
川と空を大きく見渡せる橋の上に出たところでふと足が止まった。
まぶしい快晴の空と、空の色が映り込んだ川面に映える八重桜。
そのブルーとピンクの取り合わせに心惹かれたからだ。
そしてその時、ふと、ひんやりとした川風を顔に感じた。
4月もあとわずか、日中には汗ばむほどの暖かさとなることもある。
けれども、早朝の気温はまだまだ低く10℃に満たない。
その気温の中でも尚、川面を渡って来る風はさらに冷たく感じる。
その風を大きく吸い込んだ。
たっぷりとした水の上を渡ってきた風なら
混じりっけがなく新鮮だろう、と思ったからだ。
そして、久しぶりの新鮮な空気の感触とともに
あらためてこの景色に見入ったのである。
タイトル「Fresh Air」のこと。
いきなりこの言葉を思いついたわけではない。
記憶の中にある刷り込みから出たもので、それがこの曲だった。
Fresh Air Quicksilver Messenger Sirvice
1960年代にウェストコーストの音楽シーンで活躍した
クイックシルバー・メッセンジャー・サービス。
ただ、活躍したといっても、
それを知っている人がいたなら、
洋楽ファンでもかなりマニアックな方だと思う。
(...というか、ほとんど「病気」に近いかも)
そして、「フレッシュ・エア」のこと。
当時のウェストコーストにはCSN&Yやイーグルスなど
世界的に名を馳せる「優等生」もいたが
一方でサイケデリックやシュールレアリズムなどと言った言葉が示す
どこかドラック体験が付きまとうグループもいた。
そのひとつがクイックシルバー・メッセンジャー・サービスで
この「Fresh Air」にしても、
歌詞をつらつらと眺めてみても
爽やかな朝の雰囲気ではないようだ。
「新鮮な空気」を想像した方の梯子を外すようだが、念のため。