茂原市ことぶき堂鍼灸院

茂原市で鍼灸治療院を営んでおります。
東洋医学や日常生活のあれこれを日々綴っています。

壽堂日記29年7月5日「のぼせ・頭痛・全身の痛み・腰痛と頭を醒めさせる鍼の治療。」

2017-07-05 07:38:07 | 日記

「のぼせによる上気症状」と「頭痛」「全身の慢性疼痛」「腰痛」「右手の痺れ」の症状をお持ちの患者さんが来院されました。

特に頑固な頭痛にお悩みとのことで「醒脳開竅法」をお願いしたいとのこと。

醒脳開竅法は脳卒中の急性期に発生する意識障害と後遺症に対する特殊な鍼治療法です。

醒脳開竅法は麻痺の治療だけでなく、疼痛の治療、痺れの治療、筋力低下の治療などに応用でき、脳卒中後遺症の治療は神経障害、高次脳機能障害、感情障害(気分障害)などの症状に効果があります。


先ず「のぼせ」に代表される「上気症状」の気を降ろすために本治法で「積聚治療」の腎虚証で丁寧に鍼をしていきます。

鍼をする事で全身の筋肉が緩み疼痛が緩和すると共に、体の上部に昇り降りてこなかった気が下がりはじめました。

「腰痛」も腎の気の異常が原因と考えられます。東洋医学では腰部は「腎の府」と言われ腎の気が衰えると腰痛が起こりやすいのです。

膀胱経と脊柱脊際穴の治療を終えると「のぼせ」は殆ど治まりましたので、次は脊柱上の督脈のお灸に移ります。

私は背面を治療する前に背面を軽擦して背部の状態を観察するのですが、この方は肩甲骨間の神堂・心兪・神道に違和感を感じました。

督脈のお灸は神堂穴と澤田流命門穴に行いました。

今回は「腎虚証」で治療を進めましたが証としては「心腎不交証」では?と考えています。

「心腎不交証」を簡単に説明いたしますと、正常な場合は心陽(火)は腎に下降して腎水を温めており、また腎陰(水)は上に作用して「心火」が亢進しすぎないように「心火」を養っており腎(水)と心(火)がお互いに助けあっています。
この状態を東洋医学では心腎相交と言います。

しかし病や疲労や不規則な生活などにより腎水が不足したために心火が亢進したり、ストレスなどにより思慮過敏や情志が失調し心火が上部で亢進したため、下にある腎と相交できなくなると「心と腎の陰陽と火水の協調関係」が失調して心煩・不眠・心悸・健忘・頭痛・眩暈・耳鳴り・腰のだるさ・五心煩熱・咽乾・口燥などの症状が出ます。

治療方針としては心と腎の交通を再開させる事と腎陰を補い亢進している心火を下げる事になりますが、「腎虚証」として「腎虚」を丁寧に補う治療を行うと、亢進していた心火も降下して、心火亢進による諸症状も改善いたします。

本治法で腎陰を補った後に標治法として頭部に鍼をして「醒脳開竅法」を行いました。他院で人中を刺されて大変痛かったそうなので、配穴は数多くありますが今回は古典的な四神聡+百会を採用しました。


頭に鍼と言うと痛いと考えがちですが、当院の鍼は沿皮鍼なので痛くありません。患者様も「鍼は痛くないし、この刺激は頭痛に効きます。」との事でした。

背部の治療を終了して仰向けで「右手の痺れ」の治療に移ります。
配穴は外関穴・合谷穴選択しました。

治療終了後は気が下がり、頭痛・腰痛も緩和して、頭がスッキリしたそうです。

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