患者さんから『自律神経失調症に鍼灸は効果がありますか?』とお問い合わせがありました。
WHO(世界保健機関)で鍼灸療法の有効性を認めた病気には
【神経系疾患】では 神経痛・神経麻痺・痙攣・脳卒中後遺症・自律神経失調症・頭痛・めまい・不眠・神経症・ノイローゼ・ヒステリーが挙げられており、「自律神経失調症」も含まれています。
当院では東洋医学的な人体観に基づき「自律神経失調症」に経絡的な治療を行っております。
ここで簡単に自律神経について説明すると。
自律神経には「交感神経系」と「副交感神経系」の二つの神経が存在します。
全身のほとんどの器官はこの二つの神経系がバランス良く働くことで適正に保たれています。
呼吸・血液循環・消化吸収・排泄・生殖・内分泌など、自分の意志ではコントロールできない部分のシステムを調整し、生命維持に必要な体内循環を整えるのが自律神経の役割であり、こうした自律神経がうまく機能しなくなった状態が「自律神経失調症」です。
自律神経をコントロールする中枢は視床下部という脳の一部です。
ここは同時にホルモンの分泌中枢の役目もあるため、急激なストレスを受けて自律神経のバランスが崩れると、成長ホルモンや性ホルモンなどのホルモン分泌にも影響がでてきます。
また反対に、更年期に生じる、急激なホルモンバランスの変化は「のぼせ(ホットフラッシュ)・火照り・冷え・不眠・精神不安」などの自律神経失調症状をもたらすことにもなります。
鍼灸やマッサージなどの外的刺激は、過緊張状態に陥った自律神経の働きを和らげることが出来ます。
さらに、皮膚刺激を通して脳の視床下部にも良い影響を与えて、ホルモン分泌のバランスを整えることにもつながります。
最近の研究では、「気持ちいい」という快刺激が脳内のβエンドルフィン等の神経ペプチドの分泌を活性化させ、自律神経の機能を正常化させる働きがあることが分かっています。
鍼やお灸の気持ちの良い治療を受けた後、眠くなったり、ふぅっと楽になるのは、治療の気持ちよさがβエンドルフィンを活性化させ、自律神経の働きを効果的に和らげるからだと思われます。
「自律神経失調症」は、目眩・肩こり・冷え性・不眠症・下痢・便秘・食欲不振やどの場所が悪いかはっきり分からない「不定愁訴」などの症状を一緒に伴っている場合が多くみられます。
当院は、東洋医学的な人体観に基づき「自律神経失調症」の患者さんが抱える具体的な症状に合わせて、お一人お一人に合わせた治療いたしております。