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猫の動き

2011-09-05 22:29:00 | 格闘技、武道
お盆の二日くらい前から、私宅に迷い猫がやって来た。
長男と次男は「飼おう!飼おう!!」と大喜び。結果、家内の反対を押し切って、長男が世話をするということで、いつの間にか我家の家族が一人、いや、一匹増えた。
名前はミャーミャー鳴くから「みゃーちゃん」。最初は反対していた家内もなんだかんだ言って、今はすっかり癒されている。

さて、私が16歳くらいの時も実家に迷い猫がやって来て、そのまま飼うことになったことがあった。
その時はただ、可愛がるだけであったが、長年、太氣拳をやっていると、その当時はわからなかった猫の動きの凄さに感動の毎日である。

座っている時のたたずまい、歩く時の所作、机に飛び乗る時の跳躍など、どれをとっても一流の武術家以上である。
特にピンポン球をあてがって、じゃれて遊んでいる時の動きは凄まじい。
ノーモーションで突進したかと思うと、身体をうねらせる様にピンポン玉にからみついていく。
その動きはまさに歩法、身法の極致である。

この動き、よく見ていたことがある。そう、岩間先生の動きである。

7月に佐藤聖二先生の神戸講習会に参加させていただいた稽古後の会食の際、単重、双重の話になり、最初、意味がわからなかったが、箸置きを二つ並べてその上に箸を置いた状態と、一つの箸置きの上に箸を置いて、そこでバランスをとる状態との差異、そして後者の重要性を説かれて、大体の意味を理解することができた。
立禅における獲得目標として、試力等以上にこのバランス、均整が重要であるとも述べられていた。

この点、7/26付けの佐藤先生のブログに「王向斉先生論・単双重と不象着」が紹介してあるので、門下生各位には是非とも目を通されておいて頂きたい。
http://blog.goo.ne.jp/kengakukenkyuukai

岩間先生は攻防の際、この均整が実に高いレベルで保たれているように思える。

あらゆる脊椎動物の中でも特に柔軟な脊椎を持つ猫は、あらゆる状況で自然にこの均整能力を発揮する。
動物の動きは人間のそれを軽く凌駕しており、鳥が飛行中に翼の動きを止めてホバーリングしている時のバランス感覚、澤井先生が「氣」を説明する時よく用いられていた、魚が水中で見せる瞬間的な動きなど、よく考えてみると、普通の人間には真似できない動きの数々である。

人間の身体の均整を考えてみた場合、二足立位の状態で要求されるもので、重要なのは股関節と肩関節であると考える。

指などは蝶番関節で曲げ伸ばしのみの可動であるが、肩関節、股関節は、ともに球関節であり、曲げ伸ばし以外に、捻る、回すと云った可動性を有する。
見方を変えて、動くためではなく、関節を安定させる、支持するといった観点で見てみると、これはあらゆる方向、角度からの荷重に対応できる構造的な特徴を兼ね備えているとも言える。

這い、揺り、練りなどの訓練は、片足になったり、両足立ちになったりの動きの中で、股関節にかかる荷重の微妙かつ精妙な位置変化をゆっくりと行うことで、より正確に均整を保つことが出来る様に、その能力を引き出していく訓練であるのかも知れない。
脊柱をはじめ全身の骨格が微妙に変化し、特に肩関節は股関節の変化と対応して動くものと考えられる。
その際、体内で力の衝突は起きず、無理に身体を支えている感じは無い。

動作の最中に身体の中で力が衝突すると、この均整は崩れやすくなり、身体の重心は大きく崩れる。
形体訓練で要求される運動状態も、この体内での力の衝突が無くなっている状態であるものと考える。

故に、この均整が保たれている状態から、関節の有効な可動範囲の中で理想的な出力ができる状態を自身の身体で認識する必要があり、これが、太氣拳における出力のポイントではないかとも考える。

ともあれ、「みゃーちゃん」は私の武術の先生となって、その動きを日夜勉強させてもらっている毎日である・・・。


太氣拳成道会
http://www.joudou.jp/