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立禅地獄

2012-09-18 22:40:00 | 格闘技、武道
5月の佐藤聖二先生の講習会で「立禅は最低30分は組むように。出来れば、50分、1時間と、なるべく時間をかけて取り組むように」とのご指導があって以来、出来るだけ長い時間、立禅を組むように心掛けている。

更に「一旦立禅に入ったら、一切、姿勢を変えない様に」とのご指導もあった。

数年前にある意拳の講習会に参加した門下生が、站椿、すなわち立禅は正しい型であれば、ほんの数分で十分であるとの指導を受けたと聞いて、それから、ひとつの形の立禅を組む時間は短くなっていた。

最も知られている抱球の立禅を20分くらい組むと、別の形の立禅に変えて、それを繰り返してトータルでは1~2時間組むのであるが、ひとつの形を身じろぎもせずに組み続けるというのからは随分と遠ざかっていた。

立禅も意拳の先生によって言われることがそれぞれ異なる様で、2分間くらいでもよいとする先生もいれば、少しでも長く立ち続けることが重要、とする先生もいるようで、どちらが正しいのかということになると、私見ではどちらも正しく、どちらも間違っていないと考えている。

さて、講習会の後、自主稽古で立ってみると30分が精一杯であった。
講習会では1時間10分くらい立っていたと思うのだが、1人でやってみると、これが存外しんどかった。
以前は30分くらいは立てていたのだが・・・。
それからというもの、今度は5分間長く、次はもう5分間長く、今回は前回よりも1分間長く、といった感じで、先日、なんとか1時間15分を立つことが出来た。

一旦、立禅に入ったら、少しでも腕を動かしたり、体勢を変えたりすると、それまでの努力が水の泡となり、1時間立禅を組んだと言っても、途中で動くと、それまでの時間、例えば30分で動いたら、30分の立禅を2回組んだということにしかならない、と考えて、ひとたび立禅を組み始めたら、とにかく姿勢を変えない様に注意している。

しかも、ただ立つだけではなく、立禅を組んでいる間は佐藤先生の御指導にあった「指の関節、脊椎の関節、全身の関節が少しずつ伸びようとしている、毛穴は全て開き・・・」といった意念、イメージを持ち続けて立つわけで、これで、必要な箇所のインナーマッスルは活動状態になり、身体の膨張感も保ち続けられるのだが、これが結構きつい。

私の場合、この数カ月の間、時間があれば立禅の記録更新に励んでいたので、5月当初は30分が精一杯だったのが、現在は30分位なら問題なくなっている。
しかし、50分を過ぎたあたりから結構つらくなって来る。
子供の頃に悪さをして、親から何分間も正座なんかをさせられて「まだ終わんないのか、まだなのか」といった、あの頃の心境を思い出す。
それでも今日はこれだけの時間は立つ!と決めた時間は意地で立つ。

しかし、正直、夏は外で立禅を組むと、蚊がいっぱい集まってきて立禅どころではなくなってしまうので、自宅の室内で組むことが多くなったのだが、その場合、家内や子供たちから話しかけられても一切応じないのはいいとしても、仕事の電話は取らないわけにはいかないので(という言い訳があって)、1時間も立ち続けていると、秘かに電話が鳴ってくれることを期待してしまっている自分がいる。

立禅の途中、気持ちがよくなってくる時間もあるのだが、1時間もやると最後のあたりは自分の心との格闘となっている。

しかし、それでしか得られないものがある、と自身の身体で理解したからにはやるしかないし、やって、もっと多くを獲得したいと思う。

過去、岩間先生のもとで太氣拳の稽古に取り組んでいた頃、稽古は先ず山に行って立禅を組むことから始まる。
大体30~50分位が立禅で、その後、おもむろに半禅に移行するのだが、それが片側を20~30分位であった記憶している。
岩間先生のその時の気分や、その日の練習計画によって変わるけれど、やはり長い時間、身じろぎもしないで立つことに徹しておられた。
当時、立禅に対して細かい要求は一切なかった。「とにかく無心で立て」というのみで、詳細な要求はなかった。
にもかかわらず、あの動物の様な動き、手と手がぶつかり合った時のあの異様な強さがあることを知っている私としては、やはり、立禅は15分よりも30分、30分より40分、40分より50分、50分より1時間、組んだ方が得られるものが多いと云うのは本当だと思う。

私自身のここわずか数カ月の体験でもそう言える。
私自身の中で変わったこと。これまで佐藤先生や拳学研究会の方々のご指導の中でわからなかった部分が、以前より少し身体で理解できるようになった。

しかし、長時間の立禅は最後の数分はホントに地獄である。
しかし、そこを乗り越えることに武術としての鍛練の意義があると思う。

会員各位には是非ともこの立禅地獄を味わって、より多くを得ていただきたい。


太氣拳成道会
http://www.joudou.jp/