一定時間の間、姿勢を変えることなく立ち続けることが出来るようになると、辛いながらも心地よい、心地よいけれど辛いといった矛盾した状態になる。
これは余分な筋肉の緊張が取り除かれて姿勢を維持するためだけに必要な筋肉の緊張を保つことで立ち続けることが出来ている状態へと移行して来ている段階とも言える。
すると、少しずつ自身の身体内部の状態を感じ取れるようになってくる。
この段階での要求としては身体全体にずっしりとした重みを感じることである。
姿勢を保持するために緊張している筋肉とは反対に余分な緊張が取り除かれた筋肉は弛緩し骨格に対して垂れ下がる、ぶら下がるといった状態になる。
骨格を引っ張って支えようとしている状態の筋肉と、骨格に対してだらんと垂れ下がっている筋肉が混在してこの状態を保持しているのであるが、弛緩している筋肉の部位が増えると、身体全体にずっしりとした感覚、重みが感じ取れるようになる。
慣れてくると呼吸を利用して筋肉の弛緩を誘導できるようになる。
息を吸って吐いての吐く時に身体がずっしりしてくると感じるようにイメージする。
次にそのずっしり感を息を吐くのと同時に身体の下の方に降ろしていく。
身体全体にあったずっしり感が次第に下半身にしっかりと感じとれるようなってきたら、そのずっしり感、重みをより体の最下部にもってくる。
足の下、足首あたりから、可能であれば足の裏に持ってくる。
この状態になると重心が安定してちょっと押されたくらいではぐらつかない状態になる。
いわゆる「気を下に降ろした」状態である。
この時点で、身体内部では緊張と弛緩が配合された武術的な状態に移行して来ていると言える。
立禅における要求の第1段階が一定時間、姿勢を変えることなく立禅を組み続けることであるとして、第2段階は身体の重みを感じ取り、その重みを身体の最下部に降ろせるようになることである。
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