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ウェイトトレーニングの是非

2010-05-13 13:17:00 | 格闘技、武道
武術的な訓練と、アスリートとしてのトレーニングとは区別して考えていると述べた。
自宅を引っ越してから、何年かぶりに再開したアスリーティック・トレーニングであるが、武術としての完成を目指す上では大して意味のあるものではない、と実際やってみてつくづく思う。

身体操法としてはより高い次元を要求される太気拳の諸訓練においては、それを妨げない様に注意してトレーニングを組み込む必要がある。

ウェイトトレーニングは、従来のスポーツトレーニングとしては補強としての大きな効果が認められている事は、今更言うまでもない。

ウェイトトレーニングのメリットしては、身体の各パーツを部分的に強化し、通常の動作練習のみでは不足しがちな最大筋力の向上、筋肥大による過負荷に対する抵抗力の強化等を獲得する点が挙げられる。

格闘技としては、当然、自身の重量も大きな武器となるので、フルコンタクト空手等の無差別競技では、積極的に取り組まれているところである。
現に、筋肉の装甲による打たれ強さ、打撃の重量感等において、その効果は立証済みである。

私が大道塾で大会に向けてウェイトに取り組んでいた頃は、身体を7ブロックに分け、週6日、1日2時間近くのウェイトトレーニングを行っていた。

ウェイトのいい所は、効果が数字で現れるので、きついトレーニングも意欲を持って継続していけるところにある。
ベンチプレスでは、自己最高130㎏まで差したことがある。

さて、ウェイトトレーニングのデメリットである。

まず、トレーニングから離れると、3ヶ月、半年、1年と経つうち、あっという間に最大筋力も肥大した筋肉も落ちてしまう。
したがって、トレーニングを常に自身の身体に与え続けていかなればならない。
この点、仕事をこなしながら通常の練習時間を確保することさえも四苦八苦している社会人にとっては実に厳しい。

次、最も注意しなければならないのが、レジスタンストレーニングの最大の弊害、「リキみ」である。

過負荷による筋肉の超回復を引き出すために、この「リキみ」は不可欠であるが、これが、動作形成の上ではリスクとなって現れる。
人間の脳は実に繊細で、補強として取り組んだウェイトの動作習慣が、自身の動作に反映されてしまう事が多々あり、筋力はアップしたが実際の運動パフォーマンスはガチガチになってしまい、実際動作の点ではそれほどの効果が得られないか、反対にスランプに陥ることさえある。

又、筋力強化の反面、筋肉の硬化が形成され、理想的な動作獲得においては重要な関節の可動域を狭めてしまい、つまり固くなってしまい、これも動作の円滑化の妨げとなってしまうことがある。
特に胸や肩甲骨と云った肩周りは要注意である。

初動負荷理論の小山裕史氏は、自身も世界的なボディビルダーであったに関らず、「日本のスポーツ界をダメにしたのはエアロビクスとウェイトトレーニングだ」と言い切っている。

従って、ウェイトトレーニングに取り組むに当たっては、数字を上げることだけに囚われたり、全体のトレーニング量の中でウェイトトレーニングの占める比重が多くなると、効果がマイナスに働いてしまうことがあることは頭に入れてお必要がある。
その上で、ウェイトのいい所だけが自身に残るように調整する必要があると考える。

さて、こんなことは今更言うまでもない、と云う方がほとんどではないだろうか。
そんな訳で、前回のブログからウェイトについてなんか書こうとしてたら、イマイチ気が乗らず、気が付いたら2ヶ月も経ってしまっていた。

ウェイトを自身のトレーニングプログラムに組み込む際は、これはあくまでも補強であり、主たる訓練ではないという事、いや、武術としては、全く別物であるこという事を心得ておく必要がある。

私がロードワークやウェイトを再開したのは、引っ越してからその様な環境がすぐ近くにあったので、兼ねてから考えていた減量ををやってみようとしたに過ぎない。
武術として考えたら、今更やる必要はないだろう。
しかし、おかげで食事制限や禁酒をせずに、体重が6~7㎏減ってくれたのは事実である。

話は変わるが、2月下旬に組み手した際に左膝を痛めてしまい、その後、ロードワークは休んでいる。
こんな状態でも、立禅や這いは取り組んでいけるから有難い。

そんな訳で、次回は太気拳の様に実践組み手をその訓練体系に有し続ける武術を続けていく上で、避ける事の出来ない怪我やその対応について考えてみたい。


空手拳法成道会
http://www.joudou.jp/