立禅によって構造力が強化されてくると、パンチ等の打撃が強くなる。
私自身の経験上、それは間違いないもので、パンチの威力にその性質の変化が大きく現れる。
打撃そのものが重くなるというよりも、打撃が硬くなる。打撃の硬度が増強する。
立禅に真剣に取り組むようになった40歳台後半になってからの変化と実感である。
若い頃はウェイトトレーニングの成果で、打撃に重さはあったと自負する。
しかし、ウェイトトレーニングからすっかり離れた現在の方がパンチは重く、以前にはなかった硬さが備わっている。
実際にミットトレーニングをしてみると、インパクトが以前とは全然違う。
立禅にはあらゆる打撃の性質を変えてくれる内容がある。
そして、一度、身に付けてしまうと余程のことがない限りは落ちないものと思われる。
それは、骨格の支持強度を形状に求めたものであり、形状をつかみとり、保持するだけの身体の中の最低限の筋力を、立ち続けることで構築強化していくからであり、日常生活の歩く、立つ、座るなどの基本動作にもそれは反映され、日常生活の行動そのものが構造力を使いこなすトレーニングになるからなのではないかとも考えられる。
立禅は太氣拳特有の訓練方法だが、打撃の性質を大きく変換する特質があり、それのみをもってしても取り組むべき価値がある。
5月から稽古日程の打撃練習を週2回にしているが、あくまでも各自で立禅にしっかり取り組んでもらうことが前提で、門下生が集まって行なう合同練習の際は、対人やミットでそれを検証していくという稽古スタイルである。
私自身、練りによる太氣拳独特の動きもさることながら、打撃の動きにもその変化が顕著に感じられ、50歳になってもそれを試してみたくなる。
一見すると標準的な打撃系の動きであっても、立禅によって養成される三角力、螺旋力、斜面力、弾力等の各種能力をその動き中に適用させて使いこなしていくようにしている。
動きの中身が立禅であることが最重要であり、そうなると、外見的な動きにはあまりこだわらずに自身の動きを追求してみたくなっている。
そして、立禅による能力を太氣拳のみでなく、打撃系格闘技として反映させる試みがあってもよいものと考えるようになっている。
自身の身体が自然に導き出してくれる動きに従って、自身の武術を作り上げていきたい。
太氣拳成道会
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