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立禅の健康法としての効果

2017-04-16 17:15:00 | 格闘技、武道
             

今回は、立禅の健康法としての効果について考えてみたい。

意拳、太氣拳は組み手を行なう実践的な流派として知られているが、稽古方法自体は何歳になっても取り組めるような、身体にとって無理のない運動が多い。

その中でも立禅は、一見するとジッとして立っているだけなので、それ自体は運動能力や年齢に関係なく行なうことができる。

立禅によって身体を強くするという点で、真っ先に挙げられるのが姿勢の強化である。

2本足で立つと言う、動物の中では人間だけが有する能力は、本来は4足歩行である動物としての骨格を、2本足で立って行動できるように進化させた人間だけの特性である。

         
立つという行動には、常に姿勢の問題がついてまわる。

この姿勢の良し悪しがその人の健康状態を大きく左右する重要な要因となる。

骨格を支えるためには筋力が必要となるが、それは、まず足の筋力を連想する人が多いと思うが、脊柱、つまり背骨を支える筋力が重要である。

背骨を支えるとなると背筋や腹筋が連想されるが、最も重要なのはお腹の奥にある大腰筋、腸骨筋、それをセットにした腸腰筋が要となる。

         

この腸腰筋を効果的に鍛えてくれるのが立禅である。

腸腰筋を使ってしっかりと立つことができると、背中にある起立筋も参加してして、よりしっかりと脊柱を支えることになる。

姿勢を支える力が弱くなってくると、体が前に傾いて猫背になったりするが、そのことで腰や首に負担をかけてしまい、腰痛や肩こりといった筋肉系症状のトラブルの原因となる。

立禅は腸腰筋を鍛錬して脊柱を支える筋力を強化してくれるので、結果として腰痛や肩こりの予防となる。

又、前に傾いた身体は、横隔膜の緊張を引き起こし、それが、さらに身体を前側に引っ張ることになり、腰や首といった背中側の負担増になってしまうが、横隔膜の緊張は呼吸が浅くなってしまい、酸素の摂取能力が低下してしまい、脳疲労や慢性的な倦怠感の原因ともなる。

              

立禅では、特に何かを意図した呼吸法などは行なわないが、自然呼吸によって、横隔膜の緊張を緩和させる効果がある。

これが、倦怠感の軽減につながってくる。

脊柱の歪みは様々な症状の原因となると言われているが、立禅には脊柱のおおまかな歪みを正してくれる矯正効果もあるようである。
原因のわからない不定愁訴と呼ばれる様々な症状には、脳脊髄液の循環不良が関わっていることが多いが、立禅は脳脊髄液の循環も引き上げてくれるようである。

          

つまるところ、健康面においては姿勢の問題が実に重要であり、立禅はそれを無理なく強化してくれるものと考える。

太氣拳をされている方は、岩間先生をはじめとしてそれなりの年齢になっても実に元気な方が多く、何歳になっても武術を追求されているということは、やはり、その訓練方法に無理がなく、少しずつだが、確実に身体の中を変化させていってくれる内容があるのだと言える。

私はこれを、「姿勢力」と勝手に呼んでいる。

この姿勢力の高さ、強さが何歳になっても変わらぬ健康をもたらしてくれるのだと考える。

2足歩行である人間にとって、年齢に関わらずつきまとってくる姿勢の問題に、立禅は大きく貢献してくれるものと考える。

私自身、二分脊椎症という先天的な脊椎の障害があり、高校生の頃に脊椎の手術を余儀なくされ、さらに腎臓の手術も2回、経験した。
その後も、原因不明の倦怠感や頭痛、身動きもとれないほどの突発的な背中の痛み等、身体の不調には散々悩まされてきたが、整体施術業を生業とするようになってから、随分と身体の状態がよくなった。
その一方で、太氣拳に出会い、立禅によって時間をかけて姿勢の強化を行なってきたことが、何もしないでいると歪みやすい骨格の持ち主である私自身の健康回復、健康管理に大きく関わっているものと実感している。

王薌斎先生は、その晩年、武術としてでなく養生法としての立禅を多くの人たちに指導して、実際にかなり重い症状の人たちを健康へと回復させた実績がある。

これは、立禅には人を健康にし得る内容があることの証明である。

これから先、武術としてはもちろんだが、積極的な健康管理のためにも立禅を追求していきたい。


太氣拳成道会
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