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セミナー後の組み手

2009-07-21 00:50:00 | 格闘技、武道
今回もセミナー終了後に八田健二・練士を交えて、成道会門下生の組み手稽古を行なった。

目的は、岩間先生に成道会の組み手の現状を直に把握してもらい、評価やご指摘、ご指導を仰ぐためと、将来、練士候補となるであろう人材を確認しておいてもらうため、といったところである。

昨年も組み手を行ない、映像として記録はしておいたが、当初、販売用DVDに収録するつもりはなかった。
理由として、現状では太気拳の特性を組み手の場で体現できる人材が(私も含めて)育成できておらず、成道会の組み手そのものが、その真価を世に問うべき段階には来ていないと考えていたからである。

セミナーの中で、岩間先生が示される動き、攻防理論を組み手で実践するのは容易なことではない。
知ったから、見たからといって、たやすく体現できるレベルのものではない。
だから、先生の示される攻防法が出来ている者は私も含めて、まだひとりもいない。
にもかかわらず、組み手を収録したのは、その困難さを暗に示すためと、太気拳には組み手と云うある意味、非日常的な稽古が当たり前に存在し、成道会ではその生々しい訓練方法を放棄せずに、一般の社会人が実践しているということを提示するためにDVDに収録したまでである。

公開した以上は批判や指摘もいとわないが、すでに私共全員が自覚している反省点を超える様な鋭さがなければ、見識の低さ、着眼の甘さを露呈しているだけで、泳ぎ上手、歌い上手な雑魚の戯言に過ぎず、耳を傾けるだけ時間の無駄というものである。

今回は、直前の道場内の組み手で拳を骨折したりと負傷者が数人出たため、練士の連続組み手はナシにしようと思っていたが、当日になってやっぱりやることにした。
組み手のルールは、成道会でいうところの素面掌底式である。

私は1人目の八田君との組み手でかなり消耗してしまい(八田君も私との組み手でバテバテになってしまったと後で言っていた)、2人目の田中初段との組み手で、不覚にも右ストレートを顔面に受け、左こめかみ辺りを大きくカット、出血が止まらずに、無念ながらリタイヤ(直後、病院に行ったら5針縫う裂傷であった)。

続いて八田健二・練士の連続組み手。
実際に手合わせした私の感想だが、組み手自体の見栄えはよくないが、独自の理論に基づいて攻防を構築しており、前に出続ける手強いタイプと言える。
彼の掌底は予想以上に重かった。
しかし、八田練士も消耗戦を繰り返し、予定人数のうち2人を残しリタイヤ。

続いて馬原浩・練士。
現在56歳であり、又、直前の空手の稽古で左膝を負傷、膝が伸びない状態であったにもかかわらず、連続組み手を辞さずにやり遂げたことは評価に値する。
一見するとその動きは空手であるが、立禅や這いといった太気拳特有の鍛錬法がその実力を支えているのは間違いないと思われる。

今回、特筆すべきだったのは田中旭臣・初段。
連続組み手の1人目に登場し、練士を苦しめた。
そのキレのいい動きは、成道会特有の実践空手、つまり打撃訓練によって身に付いたものであり、太気拳に専念している昨今でもそれはサビついていない。
今後が楽しみである。

今回、組み手を行なった門下生は、皆30を超えたクレージーなオヤジばっかりで、端から見ていて(このオッサン達、いい歳こいて、よ~こんなことやりよるな~)と思っていた。
そんな私も42歳、まだまだこれからが我ながら楽しみである。
そう思えるのは、太気拳の訓練法があるからであり、社会人、家庭人としても佳境を迎えるこれからの年代でも、武術を手放す気には全くならない。
これまでも門下生の動きからいい所はパクッてきたが、今回も掌底の使い方等に新たな発見があり、そんな現状にワクワクしており、組み手の結果にかかわらず、こんなポジティブな心境でいられるのも、勝敗にこだわらない太気拳の特性か。

先生がセミナーの際に言われていた「太気拳は各人により異なって当たり前、各人なりの太気拳を完成させよ」とのセリフは、これから1人1人の太気拳がどの様に開花していくのか、誰にもわからないというものでもある。

岩間先生の示される攻防は、その動きあってこそのものであり、その動きの性質がある人物に宿った時、それは、先生とは異なるものになるであろう。
そして、どのようなものになるかは予測できない。
であるから、今回のセミナーでも表面的な観察に終わらずに、その動きの本質を感じとる必要性があった。
感性が洗練されていなければならない。

その前提として、名誉も栄光も手に入らないと知りながら、組み手の中に己の身を投じていけるだけの内に秘めた狂気、それを使いこなす理性が必要である。

田中・初段と中野・弐段の攻防



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