三重県菰野町にあるパラミタミュージアムに行きました。
前回も書きましたが、パラミタというのは、漢字で書くと「波羅密多」、六波羅蜜とか、般若波羅蜜多心経とかいうときの「波羅蜜多」です。
仏さまの悟りの境地に到達することを意味します。
そういう仏教にちなんだ名を持つだけに、仏像や仏画も数多く収められています。
長快作 長谷寺式十一面観音像です。
昨年、重要文化財に指定されたばかりです。
三重県内の旧家で「興福寺よりの請来仏」という口伝とともに家族に厚く信仰され、受け継がれてきた仏さまで、平成20年(2008年)にパラミタミュージアムに収蔵されました。
専門的に調査したところ、鎌倉時代の著名な仏師快慶の弟子、長快の作と確認されました。長慶作の仏像は今まで京都・六波羅蜜寺に伝わる弘法太子像(重文)一体のみしか知られていませんでしたが、史上二体目の発見となりました。
長谷寺の像高10mにもなるご本尊の観音様を正確に8分の1に縮小してそっくりに作られているそうです。
長谷寺のご本尊は創建以来、何度も火災にあい、作り直されてきましたが、鎌倉時代、4度目に作り直されたときは快慶が作成し、その余材を用いて作成し、興福寺に収められたのが、この十一面観音像なのだそうです。
修理痕が明治期廃仏毀釈で寺外に流出し、その後行方不明となっていた興福寺禅定院観音堂の本尊の修理記録と一致し、もと興福寺にあったものとみて間違いないようです。
展示室ではなく、廊下のようなところにガラスケースに収められて展示されていました。写真撮影も許可されていて、正面からも横からも後ろからも間近に拝見することができました。
あちらこちらの美術館から引っ張りだこで、パラミタミュージアムにいらっしゃらないことも多いようで、つい先頃も奈良の国立博物館で行われた「特別展 快慶 日本を魅了した仏のかたち」にも出品され、戻っていらっしゃったばかりのようです。運良く拝見することができました。(読売テレビのウエブページ)